文献情報
文献番号
200936073A
報告書区分
総括
研究課題名
球脊髄性筋萎縮症のデータベースおよび生体試料バンク構築
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-018
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
田中 章景(名古屋大学 大学院医学系研究科( 神経内科))
研究分担者(所属機関)
- 祖父江 元(名古屋大学 大学院医学系研究科(神経内科))
- 勝野 雅央(名古屋大学 高等研究院(大学院医学系研究科 神経内科))
- 森田 光哉(自治医科大学(内科学講座 神経内科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は緩徐進行性の四肢筋力低下や球麻痺を主症状とする神経変性疾患である。SBMAを含む神経変性疾患では治療法開発が急務だが、症例が少なく、進行が緩徐で、治療判定に用いる客観的指標が未確立という特徴のため、臨床試験のデザインが困難であり、治療法開発が難航している。我々がこれまで本疾患に対する一貫したトランスレーショナルリサーチの中で明らかにしてきたことの一つが、病勢および薬効判定の客観的指標としてのバイオマーカーの重要性である。本研究は、臨床情報と各種サンプルを前向きに収集・解析することでSBMAのバイオマーカーを探索し、治療法開発を迅速化することを目的とした。
研究方法
遺伝子検査で診断が確定し、過去に治療介入試験に参加していないSBMA患者を対象とし、以下の臨床情報を6ヶ月ごとに収集した。1)運動機能評価、2)嚥下機能評価、3)QOL評価、4)血液・尿検査、5)その他の自他覚的随伴症状
また、血清・尿などのサンプルの一部については凍結保存を行った。尿サンプルを利用し、酸化的ストレスのマーカーとして神経疾患のほか、糖尿病・癌などの領域に幅広く応用されている8-hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG)を計測した。
本研究は、臨床研究に関する倫理指針を遵守した。またIRBならびに倫理委員会の承認のもと、文書による説明・同意を得た上で、被験者の自由意志およびプライバシーを損なわないよう配慮した。
また、血清・尿などのサンプルの一部については凍結保存を行った。尿サンプルを利用し、酸化的ストレスのマーカーとして神経疾患のほか、糖尿病・癌などの領域に幅広く応用されている8-hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG)を計測した。
本研究は、臨床研究に関する倫理指針を遵守した。またIRBならびに倫理委員会の承認のもと、文書による説明・同意を得た上で、被験者の自由意志およびプライバシーを損なわないよう配慮した。
結果と考察
SBMA患者34例において臨床情報と各種サンプルを収集した。SBMA患者における尿中8-OHdGは正常値よりも上昇していた。また6分間歩行での歩行距離および握力と尿中8-OHdGとの間に負の相関関係を認めた。本研究では尿中8-OHdGの縦断的なデータ解析には至らなかった。
尿中8-OHdGがSBMA患者において上昇していたことから、SBMA患者では酸化ストレスが病態に何らかの影響を与えている可能性が示唆される。また、尿中8-OHdGと運動機能との間に有意な相関関係が確認されたことから、尿中8-OHdGはSBMAの重症度を反映するバイオマーカーの候補であると考えられる。
尿中8-OHdGがSBMA患者において上昇していたことから、SBMA患者では酸化ストレスが病態に何らかの影響を与えている可能性が示唆される。また、尿中8-OHdGと運動機能との間に有意な相関関係が確認されたことから、尿中8-OHdGはSBMAの重症度を反映するバイオマーカーの候補であると考えられる。
結論
前向きに収集したSBMA患者における臨床情報と各種サンプルを解析し、尿中8-OHdGがSBMAの重症度を反映するバイオマーカーの有力な候補であるとの結論を得た。
公開日・更新日
公開日
2010-05-28
更新日
-