文献情報
文献番号
199700678A
報告書区分
総括
研究課題名
環境エストロジェン様化学物質に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
井上 達(国立医薬品食品衛生研究所毒性部長)
研究分担者(所属機関)
- 井口泰泉(横浜市大理学部教授)
- 伊藤明広(広島大原爆放射能医学研究所教授)
- 岩本晃明(聖マリアンナ医科大教授)
- 菅野純(国立医薬品食品衛生研究所毒性部第3室長)
- 黒川雄二(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長)
- 瀬高守夫(帝京大薬学部教授)
- 高野隆雄((社)日本化学物質安全・情報センター調査部長)
- 林裕造(北里大薬学部客員教授)
- 藤本成明(広島大原爆放射能医学研究所助教授)
- 松島泰次郎(日本バイオアッセイ研究センター所長)
- 三森国敏(国立医薬品食品衛生研究所病理部第3室長)
- 宮本純之(住友化学工業?特別顧問)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 健康地球研究計画推進研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
69,375,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
化学物質の中には、生体内に取り込まれて内分泌機能(ホルモン機能)を中心に広範に影響を及ぼすものがあり、これがヒトを始めとする生体系に深刻な影響を及ぼしている可能性があると報告がある。この一連の議論が「内分泌かく乱問題」と言われている。
内分泌かく乱化学物質に関する問題は、欧米においても大きな問題となっており、それぞれの国において内分泌かく乱化学物質の疑いのある物質を指定し、必要に応じ規制等を実施しつつある状況にある。
この問題を健康影響の観点から検討するため、知られている状況、検出する試験方法の研究、人を指標とした暴露の可能性等を検討をし、もって内分泌かく乱化学物質の知見の収集を図ることを目的とする。
内分泌かく乱化学物質に関する問題は、欧米においても大きな問題となっており、それぞれの国において内分泌かく乱化学物質の疑いのある物質を指定し、必要に応じ規制等を実施しつつある状況にある。
この問題を健康影響の観点から検討するため、知られている状況、検出する試験方法の研究、人を指標とした暴露の可能性等を検討をし、もって内分泌かく乱化学物質の知見の収集を図ることを目的とする。
研究方法
内分泌かく乱化学物質に関する研究は、平成8年度厚生科学研究班「化学物質のクライシスマネジメントに関する研究」において、内分泌かく乱問題について調査研究を実施し、今後の検討事項として早期に対処するべき研究を提案したが、平成9年度は、これらのうち早急に調査研究が必要である、以下の3項目について、検討を実施。
(1) 内分泌かく乱化学物質と疑われる化学物質の毒性に関する文献調査研究
(2) 内分泌かく乱化学物質の作用メカニズムに関する研究
(3) 暴露対象としてのヒト健常者の精子測定に関する研究
(1) 内分泌かく乱化学物質と疑われる化学物質の毒性に関する文献調査研究
(2) 内分泌かく乱化学物質の作用メカニズムに関する研究
(3) 暴露対象としてのヒト健常者の精子測定に関する研究
結果と考察
(1) については、研究班発足当時、内分泌かく乱化学物質の疑いがあるとして米国において報告されていた約70種の化学物質について、1992~1997年に報告された文献から、毒性影響の評価を実施した。
その結果、農薬等については、既にデータが過去に評価等がなされているものが多く、新規の知見が収集されたものが少ない状況であった。
産業化学物質については、従来、リスク評価がなされているものが少なく、文献として内分泌かく乱作用を及ぼすもの等の知見が散見された状況であった。
今後は、更に情報を収集し、毒性インベントリーとして利用可能なものにしていき、これを広く公開することが望まれた。
(2) については、5種の研究テーマについて実施。
・天然、植物及び合成エストロゲンのラット乳腺の修飾と乳がん発生に及ぼす影響に関する研究
・環境エストロゲン物質の新しいアッセイ系としての下垂体腫瘍株の検討に関する研究
・環境エストロゲン物質相互及びPK-A、cAMP系との相互作用に検討に関する研究
・高次系(ホメオスタシス維持機構)としての神経系に対する内分泌障害性物質の影響に関する研究
・内分泌かく乱物質のエストロゲン代謝に及ぼす影響
5テーマとも、新規の簡便な検出法に関するものであり、今後、その試験の詳細について検討を進めていくことが必要との判断であった。
(3) については、内分泌かく乱化学物質の暴露系として、ヒト健常者の精子に関する測定等を、我が国のみでなく、デンマーク等の欧州各国と同一の基準で、相違点の分析、原因の検討等を実施した。
その結果、平成9年度内で自然妊娠した妊婦のパートナー76例について中間的に調査を実施したところ、精子濃度が20×106/ml未満は11名 14%であり、WHOの基準で精子濃度及び運動率ともに満たさなかった例は7%であった。
形態検査及び疫学的調査等の評価解析は、平成10年度に実施していくこととされた。
その結果、農薬等については、既にデータが過去に評価等がなされているものが多く、新規の知見が収集されたものが少ない状況であった。
産業化学物質については、従来、リスク評価がなされているものが少なく、文献として内分泌かく乱作用を及ぼすもの等の知見が散見された状況であった。
今後は、更に情報を収集し、毒性インベントリーとして利用可能なものにしていき、これを広く公開することが望まれた。
(2) については、5種の研究テーマについて実施。
・天然、植物及び合成エストロゲンのラット乳腺の修飾と乳がん発生に及ぼす影響に関する研究
・環境エストロゲン物質の新しいアッセイ系としての下垂体腫瘍株の検討に関する研究
・環境エストロゲン物質相互及びPK-A、cAMP系との相互作用に検討に関する研究
・高次系(ホメオスタシス維持機構)としての神経系に対する内分泌障害性物質の影響に関する研究
・内分泌かく乱物質のエストロゲン代謝に及ぼす影響
5テーマとも、新規の簡便な検出法に関するものであり、今後、その試験の詳細について検討を進めていくことが必要との判断であった。
(3) については、内分泌かく乱化学物質の暴露系として、ヒト健常者の精子に関する測定等を、我が国のみでなく、デンマーク等の欧州各国と同一の基準で、相違点の分析、原因の検討等を実施した。
その結果、平成9年度内で自然妊娠した妊婦のパートナー76例について中間的に調査を実施したところ、精子濃度が20×106/ml未満は11名 14%であり、WHOの基準で精子濃度及び運動率ともに満たさなかった例は7%であった。
形態検査及び疫学的調査等の評価解析は、平成10年度に実施していくこととされた。
結論
平成9年度研究においては、緊喫に対処するべき事項について研究を実施してきたが、これらの成果より、更に以下の点につき検討をすることが求められた。
・内分泌かく乱化学物質に疑われる物質の徹底的文献調査とその毒性学的な検査
更に、構造類似物質についての評価解析手法の開発
・鋭敏に検出することが可能なアッセイ系の開発及びその発生メカニズムの検討
特に、生殖系のみでなく、生体システム全体を踏まえた検討
・暴露系としてのヒト組織の効率的利用及びその標準的手法の開発
平成10年度も、これらのテーマについて継続して実施し、調査研究を進めることが必要であると判断された。
・内分泌かく乱化学物質に疑われる物質の徹底的文献調査とその毒性学的な検査
更に、構造類似物質についての評価解析手法の開発
・鋭敏に検出することが可能なアッセイ系の開発及びその発生メカニズムの検討
特に、生殖系のみでなく、生体システム全体を踏まえた検討
・暴露系としてのヒト組織の効率的利用及びその標準的手法の開発
平成10年度も、これらのテーマについて継続して実施し、調査研究を進めることが必要であると判断された。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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