ハンチントン病のバイオリソース構築に関する研究

文献情報

文献番号
200936070A
報告書区分
総括
研究課題名
ハンチントン病のバイオリソース構築に関する研究
課題番号
H21-難治・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 一子(独立行政法人 国立病院機構 相模原病院 相模原病院臨床研究センター,神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 貫名 信行(独立行政法人 理化学研究所 神経科学)
  • 武田 篤(独立行政法人 国立大学機構 東北大学大学院医学系研究科・神経・感覚器病態学講座)
  • 村田 美穂(国立精神・神経センター病院,神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ハンチントン病(以下HD)は希少難病であるが,この希少性故に遺伝子発現様式や病態生理の解明,モデル動物との差異を明らかにすることが困難な状況にある.本研究の目的はHD患者のバイオリソースを構築することにある.
研究方法
1)HDのバイオリソースを構築するにあたり,何をどのくらい,どのように保存するかを検討する.2)バイオリソース構築に関して班員の所属機関で倫理審査を受審し,承認を得る.3)倫理審査での承認後,本研究についての説明を行い,同意が得られた患者から血液,髄液などのバイオリソースの保存を開始する.4)バイオリソースとともに,個人情報保護法に則って神経所見,画像所見をバンク化する.5)神経変性班と共同してHDの病態の評価尺度である日本語版UHDRSの信頼性の検定を行い,病態についての標準化した把握法を構築する,6)UHDRS信頼性評価の際に,バイオリソースに関する広報活動を行う.
 倫理面への配慮としては個人情報保護法,ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針,疫学研究に関する倫理指針,臨床研究に関する倫理指針を遵守した.
結果と考察
1)様々な病態および病期の髄液,血液,血漿をそれぞれ5mlずつ各症例について保存することとした.また,HD病因遺伝子であるhuntingtinのCAG繰り返し配列数については国立精神センターで一括して再検査を行うこととし,また,可能であればcell line化することとし,採取を開始した.2)倫理審査についてはすべて承認された.3)通院中のHD患者について本研究の趣旨を説明し,同意が得られた症例について髄液,血漿について臨床所見と連結し,バンク化を開始した.4)一年目であったが,剖検が得られ,脳についてバンク化を行った.脳のバンク化は神経病理学会およびこころの科学の方式を遵守して凍結切片,およびブロックを作成した.5)日本語版UHDRSについては現在統計解析中である.なお,運動パート以外については検定が終了し信頼性が確認できた.6)バイオリソースに関する広報活動を東京,旭川,岡山,仙台,大阪で開催した.広報活動を通じて本研究事業に対する理解が得られてきたものと思われる.
結論
(1)ハンチントン病のバイオリソースのバンク化を行った.(2)今後はバンクの充実を図ると共に,運用に関する取り決めを作成する必要がある.

公開日・更新日

公開日
2010-05-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936070C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ハンチントン病は欧米に比較して1/10の有病率であることが推定されている.今回のバイオリソース構築に関する研究により,バイオリソースの種類,剖検材料などについての採取,保存方法について決定することが出来た.わが国のハンチントン病研究の病態解明や治療法の開発に当たり,バイオリソースを利用することが本研究により可能となることが期待される.
臨床的観点からの成果
ハンチントン病は全身病であるという認識がなされつつある.本研究により病期によるバイオリソースの構築がなされ,バイオリソースを採取する際によりハンチントン病の病態を詳細に評価することが可能となる.これにより,それぞれの病態に対応する薬物療法の開発がもたらされることが期待される.
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
患者会および厚生労働科学研究補助金 神経変性疾患に関する調査研究班と共同し,ハンチントン病の臨床評価スケールであるUHDRSの日本語版について,信頼性評価を行った.現在,けっかについては解析中であり,論文化の予定にある.

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-