進行性核上性麻痺(PSP)の生体試料等の収集体制整備に関する研究

文献情報

文献番号
200936066A
報告書区分
総括
研究課題名
進行性核上性麻痺(PSP)の生体試料等の収集体制整備に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H21-難治・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
中島 健二(鳥取大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中野 今治(自治医科大学 内科学講座)
  • 難波 栄二(鳥取大学 生命機能研究支援)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
進行性核上性麻痺(PSP)はいまだ根本治療法がなく、患者は医療機関への通院を継続しないことも多い。また、希少性疾患であるところから、治療法開発や病態解明などの検討が進みかねている。本研究では、臨床情報の整ったPSP生体試料収集体制の整備について検討した。また、PSPには臨床的な亜型が存在するところから、臨床的特徴についての検討も進め、臨床的亜型別の生体試料収集体制の整備を進めた。同時に、現在の本症有病率を明らかにし、療養の実態についても調査した。
研究方法
1) 鳥取県内医療機関にアンケートを送付してPSP患者の有無を確認した。
2) 鳥取県米子市・境港市の医療機関調査、米子市の特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、ケアハウス、有料老人ホームへのアンケート調査を行い、未診断の歩行障害、易転倒性を有する患者については神経内科医が直接診察し、画像検査などを随時施行した。
3) 厚生労働省科学研究費補助金事業難治性疾克服事業“神経変性疾患に関する調査研究”班(以下、”神経変性班”)との連携による全国PSP生体試料収集共同研究体制の整備について協議を進めた。また、高知大学医学部老年病・循環器・神経内科と連携し、高知県におけるPSP生体試料収集体制を整備した。
4) PSP生体試料収集を開始した。
結果と考察
1)米子市においては、男性6例、女性8例の計14例がprobable PSPと診断され、人口10万人あたりのPSP有病率は男性が8.46、女性が10.23、計9.39であった。
2) 2009年12月までに、12例のPSP患者から生体試料を収集した。
3) 全国的な共同研究体制について”神経変性班”と連携し、試料収集に向けての協力体制の整備を進めた。また、高知大学医学部老年病・循環器・神経内科と連携し、高知県におけるPSP生体試料を収集する体制を整備した。
結論
PSPの生体試料収集研究体制について地域において整備し、同時に、全国的な共同研究体制の整備を検討した。今後、本研究をさらに推進することにより、多数例での生体試料収集が望まれる。また、鳥取県米子市においては有病率の増加がみられ、同時に、未診断PSPが相当数存在することも明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2010-05-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936066C

成果

専門的・学術的観点からの成果
進行性核上性麻痺(PSP)は、有効な根本治療法がないため通院を継続しないことも多く、治療法開発や病態解明などの検討が進みかねている。本研究では、臨床情報の整ったPSP生体試料収集体制の整備を行なった。また、検体保存システムの整備についても検討を進めた。PSPには臨床的な亜型が存在するところから、本症患者の臨床的特徴についての検討も進め、臨床的亜型別の生体試料収集体制を整備した。同時に、PSP生体試料収集を開始した。
臨床的観点からの成果
本研究においては、患者数把握、有病率算出、療養実態調査も行なった。鳥取県米子市において調査し、新規に診断された未診断進行性核上性麻痺(PSP)女性3例を含めて、男性6例、女性8例の計14例がprobable PSPと診断された。この患者数から10万人あたりのPSP有病率を算出すると、9.39(男性:8.46、女性:10.23)であった。この有病率は、前回同地域で行なった調査(5.82人)に比較して増加していた。
ガイドライン等の開発
ガイドラインの開発は行なっていない。
その他行政的観点からの成果
本邦において、進行性核上性麻痺(PSP)有病率調査はほとんど行なわれていない。我々の施設では本症有病率調査を1999年に行なって報告した。今回、再度のPSP有病率調査を行い、現在の有病率を明らかにすると共に、経年的な変化を検討した。また、医療を受けることなく放置されている未診断本症患者が相当数いることが明らかになった。これらの成果は、行政的資料としても有用であると考える。
その他のインパクト
本研究の研究期間が1年間であったため、一般国民への普及・啓発活動までは行なえなかった。そこで、鳥取県難病相談・支援センターとの連携・共同により、鳥取県米子市内の特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、ケアハウス、有料老人ホームに対してアンケートや訪問を行い、これらの福祉・介護関係機関関係者の本症への理解を進めた。本活動は、今後も継続する予定である。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
12件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-