皮膚難病の自己免疫水疱症の自己抗原のプロテオミクスによる同定と診断システムの確立

文献情報

文献番号
200936065A
報告書区分
総括
研究課題名
皮膚難病の自己免疫水疱症の自己抗原のプロテオミクスによる同定と診断システムの確立
課題番号
H21-難治・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 隆(久留米大学 医学部・皮膚科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 安元 慎一郎(久留米大学 医学部・皮膚科学教室 )
  • 名嘉真 武国(久留米大学 医学部・皮膚科学教室 )
  • 辛島 正志(久留米大学 医学部・皮膚科学教室 )
  • 濱田 尚宏(久留米大学 医学部・皮膚科学教室 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
天疱瘡を代表とする自己免疫性水疱症は抗皮膚自己抗体により皮膚に水疱を形成する皮膚疾患で、正確な診断のもとに適正な治療を行わないと死に至ることもある。今回の研究の第一の目的は、各種の自己免疫性水疱症の生体試料として血清と凍結生皮膚を渉猟し世界的な生体試料バンクを構築することである。第二の目的は、この生体試料バンクを利用し、プロテオミクスの手法を用いて、現在まで未知である自己免疫性水疱症の抗原を同定し、その蛋白を用いた抗原検出法を確立し、自己免疫性水疱症の完全な診断システムを確立することである。
研究方法
当該研究施設で診察している患者から定期的に凍結生皮膚試料と血清試料を集める。さらに、国内外の施設から送付された多くの試料を集める。そして、本施設で過去20年以上にわたって渉猟してきたサンプルとあわせて世界有数の生体試料バンクを構築する。その後、この生体試料バンクを利用し、プロテオミクス手法を用いて、現在まで未知の自己免疫性水疱症の抗原を同定し、その蛋白を用いた抗原検出法を確立する。最終的に、すべての自己免疫性水疱症の完全な診断システムを確立する。
結果と考察
研究期間中に、当該研究施設および国内外の施設の各種の自己免疫性水疱症患者から、約400検体の凍結皮膚試料と約1,200検体の血清を渉猟した。これにより、過去の試料とあわせて、約4,000検体の凍結皮膚試料と約10,000検体の血清試料よりなる生体試料バンクを達成した。現在、多くの未知の抗原をプロテオミクス法で同定した。また、すでに、VII型コラーゲン、ラミニン332、LAD-1、エンボプラキン、ペリプラキン、ラミニンガンマ1などの新しいELISAを作成した。
結論
自己免疫性水疱症の的確な治療には正確な診断が重要である。今回の研究の第一の目的は、この稀少な疾患群の生体試料バンクを作成することであり、最終的に、当該施設・国内外の多くの施設から非常に多数のサンプルを渉猟し、世界有数の生体試料バンクを作成することができた。同時に、多くの未知の自己抗原をプロテオミクス手技で同定した。そのcDNAからリコンビナント蛋白を作成し、新しいELISA法を開発した。今後、これらの実験系をまとめて、すべての自己免疫性水疱症を診断できるシステムを構築する。この診断システムにより、この難病に対して最良の治療を選択することができる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200936065C