文献情報
文献番号
202322013A
報告書区分
総括
研究課題名
高年齢労働者の身体的能力の実態把握とそれに基づく転倒を始めとした労働災害防止対策の効果の検証のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23JA1004
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
財津 將嘉(産業医科大学 高年齢労働者産業保健研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 東 尚弘(国立大学法人 東京大学 大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
- 酒井 一博(公益財団法人 大原記念労働科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,714,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、高年齢労働者の心身機能の測定に関する項目を整理し、試行を通じて測定項目を選定するとともに高年齢労働者の労働災害データの分析を行い、特色を明らかにすることを目的とした。
研究方法
労働災害疫学研究チームでは、労働災害の疫学的傾向の評価の手法を確立するために、公開データを用いた日本の労働災害の全数調査による記述分析およびトレンド分析を実施した。心身機能等人間工学研究チームでは、高年齢労働者の心身機能の測定及び最新指標の作成のため、まずはPubMedと医中誌を用いて文献レビューに着手した。
結果と考察
労働災害の疫学的な検証として、厚生労働省から死傷病報告書データを取得し、高年齢労働者の転倒災害を始めとした労働災害の発生の傾向や介入効果の検証を、年齢調整直接法を用いて統計学的に分析した。死亡災害の年齢調整発生率は年間5%の有意な減少が観察された。一方、全労働災害の年齢調整発生率の推移には統計学的な経年変化は観察されなかった。各業種では、死亡災害は製造業、建設業、商業に減少傾向が見られたが、運輸業と保健衛生業では経年変化は見られなかった。全労働災害は建設業では減少傾向が見られたが、製造業と運輸業では経年変化が見られず、商業と保健衛生業では増加傾向であった。また、転倒に関する労働者等のセルフチェックデータや身体骨格系指標、バランス機能データなどの予備調査も試みた。
心身機能等の人間工学的指標作成のために、測定項目を決定するために、高年齢労働者の心身機能を示すのに必要な項目(体力・運動機能、認知・判断機能)及び測定方法を、各指標と労働災害の実態との関連を注視し、産業構造の変化(第3次産業や女性労働者など)、働き方の変化における身体的負担の軽減や精神的負担の増加、複合的能力、認知判断機能、心身能力の維持、精神的な持久力、新しいものへの適用性などにも着目し文献レビューを実施した。過去10年間では、身体機能の評価指標212項目、認知機能の評価指標216項目が抽出された。
心身機能等の人間工学的指標作成のために、測定項目を決定するために、高年齢労働者の心身機能を示すのに必要な項目(体力・運動機能、認知・判断機能)及び測定方法を、各指標と労働災害の実態との関連を注視し、産業構造の変化(第3次産業や女性労働者など)、働き方の変化における身体的負担の軽減や精神的負担の増加、複合的能力、認知判断機能、心身能力の維持、精神的な持久力、新しいものへの適用性などにも着目し文献レビューを実施した。過去10年間では、身体機能の評価指標212項目、認知機能の評価指標216項目が抽出された。
結論
本研究により、年齢分布の影響を考慮した死亡災害と全労働災害の年齢調整発生率を明らかにし、年齢調整発生率の経時的変化について、死亡災害と全労働災害の一様ではないパターンを明らかにすることができた。また、若年者と高年齢労働者の身体測定には測定機器の組み合わせで実現可能性が高いことが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2025-01-08
更新日
-