特殊健康診断等のデータ入力標準化およびデータ利活用ツール開発のための研究

文献情報

文献番号
202322006A
報告書区分
総括
研究課題名
特殊健康診断等のデータ入力標準化およびデータ利活用ツール開発のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22JA1003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
大神 明(産業医科大学 産業生態科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 宮本 俊明(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 上野 晋(産業医科大学 産業生態科学研究所)
  • 川波 祥子(産業医科大学 産業生態科学研究所)
  • 塩田 直樹(産業医科大学 医学部 小児科学)
  • 安藤 肇(産業医科大学 産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学研究室)
  • 山本 誠(産業医科大学 産業生態科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,718,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
中小企業にも提供可能な特殊健康診断統合パーソナルヘルスレコード(PHR)あるいはツールを開発し、より実効的な産業保健サービスの定着と産業保健活動の充実を図る事を目的とする。
研究方法
電子媒体による特殊健康診断の個人健康記録(PHR)構築においては、健康管理面からは問診票による情報及び採血などの検査結果情報、作業管理面からは作業記録管理システム、作業環境管理面からはCREATE-SIMPLE等による化学物質ばく露濃度推定を通じたリスク評価、などが必要となると思われる。今年度の当研究班では、PHRとして記録されるべき標準的な問診票の作成とその実証実験の計画作成と、UBE株式会社の協力の下、作業記録管理システム、および入力省力化システムの制作を行い、プログラムの開発と単体テスト、ユーザーテストを行った。
結果と考察
標準問診票は、昨年の報告書に記載された自覚症状に関する83項目を基本として、14のレイヤーを作成した。特殊健診受診者は、アプリケーション上で14のレイヤーの質問に答える形を取っており、自覚症状に該当するものがあればそれをチェックすることにより、自覚症状をコードとして格納する仕様となっている。
レイヤーは①全身一般(4項目)②メンタル系(4項目)③神経系(12項目)④筋骨格系(7項目)⑤眼科系(8項目)⑥耳鼻咽喉科系12項目)⑦呼吸器系(5項目)⑧循環器系(3項目)⑨消化器系(9項目)⑩血液系(2項目)⑪皮膚科系(8項目)⑫泌尿器系(5項目)⑬口腔歯科系(3項目)⑭その他の症状、より成っている。
他覚所見は、医師が診察した際に所見があれば記録する体裁を取り、こちらの問診票案は、①神経系(8項目)②筋骨格系(5項目)③眼科系(5項目)④耳鼻咽喉科系(11項目)⑤呼吸器系(5項目)⑥循環器系(3項目)⑦皮膚科系(7項目)⑧口腔歯科系(3項目)の8つのレイヤーで構成されている。
 特殊健診電子PHR・システムは、労働衛生関係における電磁的記録化を行なう上で満たすべき法令要求事項を明らかにするため、まず始めに分担研究者の所属事業所を対象にしてデザインし制作された。今回開発された労働安全衛生3管理システムは①健康管理システム、②作業管理システム、③作業環境管理システムの構成で構築された。
システム全体の要件設定については、➀健康管理システムは、既存の当社システムをそのまま継続利用とする。
②作業管理システムは、これまでも使用していた工場向け作業管理システムを「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(令和4年政令第51号)」や「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号)」の要求に準拠させ、さらに化学物質以外の騒音や電離放射線などの化学物質同様に作業管理が必要な作業を追加で記録できるようにした『新作業管理システム』を改修する。
③作業環境管理システムは、これまで紙報告書で扱ってきた環境測定結果報告書を電子データ化してファイルサーバに移転する。
ウエアラブルデバイス等の活用による簡便かつ正確な個人曝露情報の把握および個人記録としての利活用についての検討については、特殊健診対象作業場従事者やその職制(化学物質取扱従事者、騒音環境での作業従事者、電離放射線作業従事者などの特殊健診の対象となる自社の業務従事者や派遣など自社の管理下で同業務を行なう協力会社の従業員ら)、化学物質管理者、保護具着用管理責任者(作業従事者や職制に労働安全衛生向上の立場で労働安全衛生上の具体的な指示を行なう責務を負う責任者ら)、労働安全管理関係者(工場等の労働安全管理全体を運営、維持管理する関係者ら)が共に活用できる作業記録システムとなるよう入力オプション設定等を行った。

結論
特殊健診における電子データによるデジタルな個人健康記録(PHR)を策定するために、標準問診票の作成と実証実験のプロトコールについて検討を行った。
また、特殊健診の健診項目のひとつである有害物質や有害要因への個人曝露情報(作業時間、作業頻度、保護具に関する情報や作業環境測定結果含む)のデータ入力標準化およびデータ利活用ツールを開発し、事業所における介入実装実験を開始した。また、特殊健診対象作業場において、ウエアラブルデバイス等の活用により簡便かつ正確な個人曝露情報が把握可能か、またその情報が個人記録として利活用可能か否かについて検討し、ツールを開発し、事業所における介入実装実験を開始した。

公開日・更新日

公開日
2025-01-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-01-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202322006Z