職域での歯科口腔保健を推進するための調査研究

文献情報

文献番号
202322003A
報告書区分
総括
研究課題名
職域での歯科口腔保健を推進するための調査研究
課題番号
21JA1005
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
上條 英之(東京歯科大学 歯科社会保障学)
研究分担者(所属機関)
  • 品田 佳世子(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 口腔疾患予防学分野)
  • 恒石 美登里(公益社団法人 日本歯科医師会 日本歯科総合研究機構)
  • 大山 篤(東京医科歯科大学 口腔疾患予防学分野)
  • 澁谷 智明(日立製作所京浜地区産業医療統括センタ 新川崎健康支援センタ)
  • 吉野 浩一(東京歯科大学 衛生学講座)
  • 石塚 洋一(東京歯科大学 歯学部)
  • 江口 貴子(東京歯科大学短期大学 歯科衛生学科(東京歯科大学本館14階))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
3,405,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
約30年ぶりに改正されたTHP指針に基づき職域での歯科口腔保健を推進するため事業所で発展途上の職域での歯科口腔保健の円滑な推進を図るため事例集を策定するとともに評価事例をまとめるとともに、事業所での歯科口腔保健推進の環境整備を図るため本研究を行いました。
研究方法
1 事業所での歯科口腔保健の取り組みについてのヒアリング調査実施
日本産業衛生学会産業看護部会の会員の調査等を参考に令和5年度は日本製鉄和歌山事業所の保健サービスを担う、一財)NSメディカル・ヘルスケアサービス並びに住友商事を対象にヒアリング調査を行いました。
2 評価指標の検討
日本産業衛生学会産業歯科保健部会および労働衛生研究協議会の会員に対して行った調査結果を用いて事業場で円滑に歯科口腔保健の事業を進めるための評価指標について個々の項目で調査を行いました。
3 事例集並びに評価指標についての小冊子の取りまとめの方法
2021年に厚生労働省が策定した「職場における心とからだの健康づくりのための手引き」で示されている各事例の構成を参考に、ヒアリングを実施した事業場の事例をとりまとめるとともに事業場で歯科口腔保健サービスを実施する場合の評価指標を研究班でまとめました。
4 口腔保健指導を進めるための効果把握並びに指導媒体提供のための資料作成
Daigasグループ健康開発センターの協力を得て、歯科口腔保健指導を受診した者に対して質問紙調査により状況把握を行いました。また、保健指導で用いる媒体となる資料作成について本年度も実施しました。
5 事業所での歯科口腔保健サービスを推進するための知見収集
インターネット調査を実施し労働者の歯科口腔保健行動と歯科疾患との関わりについて調査知見をまとめました。
結果と考察
1 事業所での歯科口腔保健の取り組みについてのヒアリング調査の実施
1)日本産業衛生学会産業看護部会での質問紙調査
業種別では製造業が最も多く36.1%を占め、歯・口の健康保持事業の実施状況について2018~2021 年度までの間、「貴事業所での歯・口の健康保持に関するサービス(歯科健診、歯科口腔保健指導等)の計画立案や事業の実施をされたとの回答は48.2%で、歯・口の健康保持事業を進めていく上で、今後の課題として、費用の問題や業務の多忙さ、労働者のニーズの不明確さなどが挙げられました。
2)事業場でのヒアリングについて
一財)NSメディカル・ヘルスケアサービス(和歌山市)でのヒアリングでは様々な職種がいる中、栄養や運動、歯科などで生活習慣も含めた総合的な健康づくり支援が行われており多職種連携のモデルケースにもなりえると考えられました。住友商事東京本社でのヒアリング調査を行ったところ歯科口腔保健に関する取組として①「歯科リテラシー」の向上、②社内イントラ等を利用した歯科保健情報の発信、③海外派遣労働者への歯科保健対策など歯科健診以外でも非常に充実し、歯科リテラシーを向上させる仕組みが考えられました。
2 評価指標について
評価指標について過去の調査等から検討した結果、評価指標を1)健康に関連する指標、2)歯・口の健康に関連する指標、3)医療費(歯科医療費を含む)に関連する指標に分類しました。
3 事例集並びに評価指標についての小冊子の取りまとめ
事例集については11の事例についてまとめるとともに評価指標については研究班の中で行った分類に基づき記載するとともに各項目を分類しそれぞれ評価指標ごとに目的・意義、メリットなどの記載を行いました。
4 口腔保健指導を進めるための効果把握並びに指導媒体提供のための資料作成
受診者が歯科健診・歯科保健指導を受けるとき重要と考えてる点は「歯や口の病気の有無がわかること80.5%,歯や口の病気の予防方法を教えてもらうことが68%で高い回答率でした。
資料作成については以下の内容について行いました。
「基礎編:①解剖・機能、②歯・口腔の付着物、③疫学・調査データ」、「う蝕」、「歯周病」、「口腔清掃、セルフケア」、「フッ化物の応用」、「定期健診」、「矯正歯科、ホワイトニング等」、「顎関節症等」、「口臭」、「口内炎、口腔がん等」、「口腔機能低下、オーラルフレイル」
5 事業所での歯科口腔保健サービスを推進するための知見収集
年1回以上の定期的歯科受診をしてない人の場合未処置歯の保有割合が高くなることがわかりました。
結論
事業場で普及途上にある歯科口腔保健サービスの充実を目的に先進事例を収集し評価指標の取りまとめを行うため、職場での歯と口の健康づくりを進めている事業場の事例集および歯と口の健康づくり事業を進めるための評価指標をとりまとめました。また、事業場でのサービスの提供にあたって歯科健診と歯科保健指導の組み合わせによる対応が望ましいと考えられました。

公開日・更新日

公開日
2024-09-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2024-09-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202322003B
報告書区分
総合
研究課題名
職域での歯科口腔保健を推進するための調査研究
課題番号
21JA1005
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
上條 英之(東京歯科大学 歯科社会保障学)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-09-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202322003C

収支報告書

文献番号
202322003Z