臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師のタスクシフテイング/タスクシェアリングの安全性と有効性評価

文献情報

文献番号
202321059A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師のタスクシフテイング/タスクシェアリングの安全性と有効性評価
研究課題名(英字)
-
課題番号
22IA2010
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
小坂 鎮太郎(公益社団法人地域医療振興協会 地域医療研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
2,611,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2021年度の法改正により、臨床検査技師・臨床工学技士・診療放射線技師の3職種において、医師の業務の一部を担う20行為(臨床検査技師8、臨床工学技士6、診療放射線技師6)が実施可能となった。今後の医師の働き方改革を進める上で、これらのタスクシフトを安全に推進することが喫緊の課題である。本研究では、先駆的にタスクシフトを実施している医療機関を対象に、その安全性・有効性・効率性および普及に向けた課題を明らかにし、安全な実施体制を確立・普及させることを目的とした。
研究方法
2023年度は、前年度に引き続き、亀田総合病院、藤田医科大学病院、済生会熊本病院、済生会川口総合病院、済生会松阪総合病院、聖隷浜松病院の6施設を中心に、臨床検査技師・臨床工学技士・診療放射線技師によるタスクシフトの継続モニタリングを実施した。
加えて、熊本大学病院(RI検査におけるタスクシフト)および恵佑会札幌病院(ロボット手術におけるタスクシフト)を新たに調査対象とし、安全性の評価と取組内容を検証した。
安全性評価は、インシデント・アクシデント・ヒヤリハットの報告数をタスクシフト行為実施数で除した「タスクシフト安全性指数」を用い、2022年度と同一の基準で比較可能な形で算出した。また、各施設における標準作業手順書、行為実施マニュアル、院内認定制度、教育プログラム等の整備状況を調査した。さらに、臨床検査技師会・診療放射線技師会・臨床工学技士会との協力のもと、得られた成果を会員向けに共有し、好事例の普及を進めた。
結果と考察
モニタリングを実施した各施設では、タスクシフトの実施件数が増加していたが、インシデントやアクシデントの発生件数に有意な増加は認められず、総じて安全に実施されていた。
済生会熊本病院および聖隷浜松病院では、臨床工学技士によるスコープオペレーター業務や麻酔補助業務が年間数百件規模で実施されていたが、事故報告はなかった。亀田総合病院では、臨床検査技師による救命救急業務(静脈路確保等)が累計約5万件行われ、重大な有害事象は発生していない。藤田医科大学病院でも、ERでの静脈路確保を月30件程度実施し、インシデント報告はなかった。
また、済生会松阪総合病院では造影超音波における造影剤注入を臨床検査技師が担い、業務効率化と看護師の負担軽減に寄与していた。済生会川口病院および熊本大学病院では、放射線技師による静脈路確保やRI薬剤投与が安全に行われ、札幌恵佑病院では臨床工学技士によるロボット手術支援が約2,000件実施され、インシデントは認められなかった。
これらの結果から、手順書や院内認定制度、力量評価の仕組みが整備された施設では安全性が確保されており、教育体制と人員配置が安全推進の鍵であることが確認された。一方で、講習会受講者数は増加しているが、実際にタスクシフトを導入する施設の拡大は限定的であり、行為実施者の育成手法に関する課題が明らかになった。
結論
2023年度の研究により、3職種におけるタスクシフトは、適切な教育と手順整備のもとで安全に実施可能であることが確認された。特に、手順書・院内認定制度・教育プログラムなどを整備し、他職種と連携しながら継続的な安全モニタリングを行うことで、安全性の高い運用が維持できることが示された。
また、診療放射線技師会では関連学会と連携して「タスク・シフト/シェアのためのガイドライン集」を公開し、全国的な標準化の基盤が整備された。今後は、これらの好事例を多施設に共有し、安全性評価指標を用いた継続的な検証を進めることで、国内におけるタスクシフトの安全基準を確立し、医師の業務負担軽減とチーム医療の質向上に寄与していくことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-10-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-11-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202321059Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,394,000円
(2)補助金確定額
1,509,351円
差引額 [(1)-(2)]
1,884,649円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 323,807円
人件費・謝金 0円
旅費 267,144円
その他 135,400円
間接経費 783,000円
合計 1,509,351円

備考

備考
精算過程において一部経費の執行残(旅費・消耗品費等)が発生したため。未使用分については補助金返納額として整理済み。

公開日・更新日

公開日
2025-10-07
更新日
-