新たな診断・治療法開発のための免疫学的手法の開発

文献情報

文献番号
200936044A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな診断・治療法開発のための免疫学的手法の開発
課題番号
H20-難治・一般-036
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科 内科学講座・第二内科)
研究分担者(所属機関)
  • 畠山 鎮次(北海道大学大学院医学研究科 生化学講座)
  • 渥美 達也(北海道大学大学院医学研究科 内科学講座・第二内科)
  • 住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻臨床免疫学)
  • 山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻アレルギーリウマチ学)
  • 上阪 等(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 膠原病・リウマチ内科学)
  • 山村 隆(国立精神・神経センター 神経研究所免疫研究部)
  • 桑名 正隆(慶応義塾大学 内科)
  • 坂口 志文(京都大学再生医科学研究所 生体機能調節学分野)
  • 三森 経世(京都大学大学院医学研究科 臨床免疫学)
  • 千住 覚(熊本大学大学院生命科学研究所 免疫識別学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性全身性自己免疫疾患は自己免疫現象がその発症機序といわれるが、その分子機構は未だ明らかではない。本研究では、自己免疫疾患の発症機序を分子レベルで明らかにし、その分子をマーカーにした診断法や、それをターゲットとした特異的治療法の開発を目的とする。
研究方法
1) 自己免疫の機序解明:ES細胞由来樹状細胞、Th17細胞、制御性T細胞、NKT細胞等の免疫担当細胞の機能と自己免疫における意義を検討する。
2) 自己免疫疾患の機序解明:自己抗体の産生機序と自己抗体の病原性を検討する。
3) 治療法開発:新規自己免疫疾患動物モデルでの疾患発症や増悪にかかわる分子を検討し、Th17細胞や転写因子に関与する新規分子を用いた疾患発症制御につき解析する。
結果と考察
①免疫抑制分子と標的自己抗原を同時に発現するNODマウスのES細胞由来の樹状細胞を用いて、NODマウスにおける自己免疫糖尿病の発症の抑制機構を解析した。②核内受容体を標的としたT細胞機能の制御を明らかにした。③自己免疫反応の制御を目指して、制御性T細胞の分化・機能の分子メカニズムの解析を行った。④Foxp3陽性制御性T細胞とは異なる新たな制御性T細胞サブセットの候補であるCD4陽性CD25陰性CD45RB低発現細胞につき解析した。⑤関節リウマチでのNKT細胞の自己免疫発症・調節における役割を解析した。⑥ヒト自己免疫疾患におけるTh17A/Fの病態学的意義を解析した。⑦世界初の多発性筋炎・皮膚筋炎の動物モデルを確立し、病態解明や治療法の開発を行った。⑧SLE患者における抗DNA抗体を産生するB細胞・形質細胞の末梢動員機序を解析した。⑨抗リン脂質抗体による向血栓細胞活性とその分子メカニズムを解析した。⑩A20の上流の制御分子及び下流の基質分子を網羅的に同定することで、分子レベルでのNF-κBシグナルにおける抑制機序を解析した。
初年度はおもにin vitroにおける免疫難病の誘発あるいは制御分子の同定や制御法の確立がなされた。平成21年度はそれらを患者検体での測定(診断法の確立)や自己免疫応答制御の動物モデルでの検討(治療法の確立)を検討した。最終年度は免疫分子マーカーを用いた診断基準の提案や分子制御のclinical trialへ応用すべく研究を進めたい。
結論
本研究の成果は、難治性全身性自己免疫疾患の早期診断や画期的な特異的治療法に早晩貢献することになる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
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