文献情報
文献番号
202321055A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模臨床データベースを活用した地域における治療の実態把握および地域医療提供体制とアウトカム評価に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22IA2003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
宮田 裕章(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 岩中 督(東京大学 医学部附属病院)
- 瀬戸 泰之(東京大学 医学部附属病院)
- 掛地 吉弘(神戸大学大学院医学研究院 食道胃腸外学)
- 横山 斉(福島県立医科大学 医学部)
- 本村 昇(東京大学医学部心臓外科)
- 神野 浩光(帝京大学 医学部)
- 佐藤 幸夫(筑波大学 医学医療系 呼吸器外科学)
- 藤代 準(東京大学 医学部附属病院)
- 隈丸 拓(東京大学医学部附属病院)
- 山本 博之(東京大学医学部附属病院)
- 立森 久照(慶應義塾大学 医学部医療システムイノベーション寄附講座)
- 瀬川 泰正(慶應義塾大学 医学部医療政策・管理学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
3,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は地域医療構想の検討に資する資料の作成を進めるために、都道府県および二次医療圏単位で将来の症例数予測を加味した医療提供体制とアウトカム(死亡率、合併症発生率、再入院率など)への影響を具体的に示し、技術集積による医療の質を検討する。
研究方法
・研究1:消化器外科領域における部位別・難易度別の手術数将来推計
消化器外科領域の将来の手術件数を部位・難易度ごと・地域(全国・都道府県・二次医療圏)ごとに推計した.将来の手術件数は 2019 年単年の人口当たり手術件数(以下,手術率)を将来推計人口にかけて求めた.手術率の算出は,NCDの消化器外科データから求めた 2019 年手術件数と,国勢調査から求めた 2019 年人口を用いて行った.全国と都道府県の手術率は手術件数を人口で割ることにより算出した.一方二次医療圏の手術率はベイズ推定により算出した.将来推計人口は人口問題研究所の将来推計人口を用いた.
・研究2:消化器外科領域における施設単位の手術実施数と手術成績の関係の評価
施設単位の手術実施数と手術成績の関係を,文献のレビューおよびNCD の解析に基づいて評価した.レビューではPubMed データベースを使用して以下のクエリで文献検索を行った.
ク エ リ :’(”Digestive System Surgical Procedures”[MeSH] OR gastroenterology OR ”digestive surgery”) AND (surgery OR operation OR procedure) AND (”volume-outcome” OR ”hospital volume”OR ”surgical volume” OR ”outcome relation”) AND Japan’
検索によって得られた全 48 文献のうち,レビューやメタアナリシス,および日本国外のデータに基づく文 献を除く 23 文献を対象とした.
また解析として、各臓器・難度カテゴリについて,年ごと・都道府県ごとに,集約状況の指標を算出しヒートマップで可視化した.さらに,2018–2020 年において「高頻度病院で実施された術式件数の割合」に関して,それぞれの都道 府県について東京都の割合に対する母比率の差の仮説検定を行い,p 値 < 有意水準かつ東京都よりも値が小さい都道府県を抽出した.さらに、各術式について,年ごとに病院カテゴリ別のアウトカム発生割合と 95%信頼区間を算出した.さらに,2018 年から 2020 年のデータにもとづいて,病院カテゴリ間でアウトカム発生割合に差があるかどうか,分割表のカイ二乗検定によって仮説検定を行った.
・研究3:新生児外科領域における施設症例数と手術成績の評価
NCD に登録された 2015 年から2020年の小児外科領域の手術のうち、特に新生児外科手術を集計し、施設症例数と新生児外科手術の手術成績の関係を評価した。
消化器外科領域の将来の手術件数を部位・難易度ごと・地域(全国・都道府県・二次医療圏)ごとに推計した.将来の手術件数は 2019 年単年の人口当たり手術件数(以下,手術率)を将来推計人口にかけて求めた.手術率の算出は,NCDの消化器外科データから求めた 2019 年手術件数と,国勢調査から求めた 2019 年人口を用いて行った.全国と都道府県の手術率は手術件数を人口で割ることにより算出した.一方二次医療圏の手術率はベイズ推定により算出した.将来推計人口は人口問題研究所の将来推計人口を用いた.
・研究2:消化器外科領域における施設単位の手術実施数と手術成績の関係の評価
施設単位の手術実施数と手術成績の関係を,文献のレビューおよびNCD の解析に基づいて評価した.レビューではPubMed データベースを使用して以下のクエリで文献検索を行った.
ク エ リ :’(”Digestive System Surgical Procedures”[MeSH] OR gastroenterology OR ”digestive surgery”) AND (surgery OR operation OR procedure) AND (”volume-outcome” OR ”hospital volume”OR ”surgical volume” OR ”outcome relation”) AND Japan’
検索によって得られた全 48 文献のうち,レビューやメタアナリシス,および日本国外のデータに基づく文 献を除く 23 文献を対象とした.
また解析として、各臓器・難度カテゴリについて,年ごと・都道府県ごとに,集約状況の指標を算出しヒートマップで可視化した.さらに,2018–2020 年において「高頻度病院で実施された術式件数の割合」に関して,それぞれの都道 府県について東京都の割合に対する母比率の差の仮説検定を行い,p 値 < 有意水準かつ東京都よりも値が小さい都道府県を抽出した.さらに、各術式について,年ごとに病院カテゴリ別のアウトカム発生割合と 95%信頼区間を算出した.さらに,2018 年から 2020 年のデータにもとづいて,病院カテゴリ間でアウトカム発生割合に差があるかどうか,分割表のカイ二乗検定によって仮説検定を行った.
・研究3:新生児外科領域における施設症例数と手術成績の評価
NCD に登録された 2015 年から2020年の小児外科領域の手術のうち、特に新生児外科手術を集計し、施設症例数と新生児外科手術の手術成績の関係を評価した。
結果と考察
・研究1:消化器外科領域の2050年までの症例数将来推計を行い、全国の将来推計において手術件数は2035年までにピークを迎え、また部位や難易度によるピークの違いはないことが分かった。しかしながら、都道府県別では、2025年比で2050年の高難易度手術件数が増加する7都県(東京都,沖縄県,神奈川県,愛知県,埼玉県,千葉県,滋賀県)が判明した。
・研究2:症例集約度とアウトカムの関係性の解析を消化器外科領域にて行ったところ、NCDデータの解析と既報のVolume-outcome関係に関する知見はおおむね一致していたものの、一部の低難度の術式群(胃・十二指腸, 小腸・結腸,直腸・肛門の領域等)においてもNCDデータでは Volume-Outcome関係が検出された。
・研究3:小児外科領域における症例集約度とアウトカムの関係性の解析を実施し、High-volumeとされる病院でも年間1-5件程度しか行われない手術でも集約化が検討される必要性が示された。
・研究2:症例集約度とアウトカムの関係性の解析を消化器外科領域にて行ったところ、NCDデータの解析と既報のVolume-outcome関係に関する知見はおおむね一致していたものの、一部の低難度の術式群(胃・十二指腸, 小腸・結腸,直腸・肛門の領域等)においてもNCDデータでは Volume-Outcome関係が検出された。
・研究3:小児外科領域における症例集約度とアウトカムの関係性の解析を実施し、High-volumeとされる病院でも年間1-5件程度しか行われない手術でも集約化が検討される必要性が示された。
結論
悉皆性の高いNCDデータを用いたVolume-outcomeに関する解析を他の外科手術領域にも展開することで、より汎用的な知見が得られる可能性がある。一方で、心臓・大血管領域など、手術の緊急度がより高い領域ではアクセシビリティが医療の質により影響を与えると考えられることから、より複合的な解析が必要な可能性がある。
将来的に患者数が減少する中で,地域における医療の質担保のためには機能集約や再編統合が必須となる。しかしながら、全国一律の集約化施策ではなく、地域特性や治療方法など実態を十分に考慮し,地域の医療需給に応じた検討が必要である。
将来的に患者数が減少する中で,地域における医療の質担保のためには機能集約や再編統合が必須となる。しかしながら、全国一律の集約化施策ではなく、地域特性や治療方法など実態を十分に考慮し,地域の医療需給に応じた検討が必要である。
公開日・更新日
公開日
2024-06-18
更新日
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