スモンに関する調査研究

文献情報

文献番号
200936042A
報告書区分
総括
研究課題名
スモンに関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-034
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小長谷 正明(独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院 神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 昭久(市立札幌病院 神経内科)
  • 鈴木 裕(日本大学医学部 神経内科)
  • 小池 春樹(名古屋大学医学部附属病院 神経内科)
  • 小西 哲郎(独立行政法人国立病院機構宇多野病院 神経内科)
  • 井原 雄悦(独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター 臨床研究部)
  • 藤井 直樹(独立行政法人国立病院機構大牟田病院 神経内科)
  • 橋本 修二(藤田保健衛生大学医学部 衛生学講座)
  • 千田 圭二(独立行政法人国立病院機構岩手病院 神経内科)
  • 乾 俊夫(独立行政法人国立病院機構徳島病院 診療部)
  • 久留 聡(独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院 神経内科)
  • 齋藤 由扶子(独立行政法人国立病院機構東名古屋病院 診療部)
  • 武藤 多津郎(藤田保健衛生大学医学部 神経内科)
  • 矢部 千尋(京都府立医科大学医学研究科 薬理学)
  • 山田 淳夫(独立行政法人国立病院機構呉医療センター 神経内科)
  • 大沼 歩(広南会広南病院 神経内科)
  • 蜂須賀 研二(産業医科大学医学部 リハビリテーション医学)
  • 寳珠山 稔(名古屋大学医学部 保健学科)
  • 朝比奈 正人(千葉大学医学部附属病院 神経内科)
  • 吉田 宗平(関西医療学園関西医療大学)
  • 池田 修一(信州大学医学部 内科)
  • 片桐 忠(山形県立河北病院)
  • 吉良 潤一(九州大学大学院医学研究院脳神経病研究施設 神経内科 )
  • 小池 亮子(独立行政法人国立病院機構西新潟中央病院 統括診療部神経部)
  • 藤村 晴俊(独立行政法人国立病院機構刀根山病院 臨床研究部)
  • 水落 和也(横浜市立大学附属病院 リハビリテーション科)
  • 溝口 功一(独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター 診療部)
  • 阿部 康二(岡山大学大学院医歯学総合研究科 脳神経内科)
  • 犬塚 貴(岐阜大学大学院医学系研究科 神経統御学)
  • 上坂 義和(虎の門病院 神経内科)
  • 上野 聡(奈良県立医科大学 神経内科)
  • 大井 清文(いわてリハビリテーションセンター)
  • 大竹 敏之(東京都保健医療公社荏原病院 神経内科)
  • 岡本 幸市(群馬大学大学院医学系研究科 脳神経内科)
  • 階堂 三砂子(市立堺病院脳脊髄神経センター 神経内科)
  • 川井 元晴(山口大学大学院医学系研究科 神経内科)
  • 木村 円(熊本大学医学部附属病院 神経内科)
  • 楠 進(近畿大学医学部 神経内科)
  • 熊本 俊秀(大分大学医学部 総合内科)
  • 栗山 勝(福井大学医学部附属病院 神経内科)
  • その他(当研究班の分担者は73名。その他の分担者については研究報告書を参照。)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
84,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 スモン患者恒久対策のために全国検診を行い、神経学的および全身的病態、療養や福祉サービス状況を調査し、実態を明らかにする。対症療法の開発や療養状況の悪化予防、神経障害患者の予後の縦断的検討、および薬害防止の為の各種啓発活動を行う。
研究方法
 各班員が検診を行い、検診結果を集計し、医学的・福祉的状況を解析し、問題点を抽出した。また、過去3年間スモン検診を受けていない患者を対象にアンケートを行い、検診受診者との相違、検診への意識を調査した.
 キノホルム神経毒性の基礎的検討を、培養細胞を用いて行った。
結果と考察
 データ解析に同意した検診受診者867例は、男女比240:627、平均年齢76.4歳で、後期高齢者増加が顕著であった。高度視力障害8%、杖歩行以下の歩行障害61%、中等度以上の異常感覚75%であった。身体的合併症は98%にあり、54%に精神徴候が、認知症は7%であった。障害度が極めて重度5%、重度24%であり、障害要因はスモン+合併症が60%を占めた。介護保険は46%が申請し、要介護度4と5は6%であった。626例の検診非受診者のアンケートでは、受診者より年齢が高く、重症度も強かった。DNAチップを用いた遺伝子解析では、キノホルムにより「アポトーシス」「酸化ストレス」など38経路発現変動が見られた。
 検診データベースの解析で白内障、脊椎疾患、四肢関節疾患、高度な下肢筋力低下、高度な下肢振動覚障害がそれぞれ歩行能力に関連していた。スモン患者のバランス障害と転倒との関係が明らかにされ、高齢者群ほど、大腿骨頸部骨折後に移動能力、ADL、療養状況の悪化比率が高かった。
 療養上の課題は、(1)スモンの症状の理解が得られにくく、適切なサービスが得られない、(2)介護保険では支援サービスがたりない、(3)症状のスモンとの関連および他合併症との鑑別、などであり対応策構築が必要であった。
 患者や医療・福祉従事者を対象に「スモンの集い」を行った。
結論
 高齢化にともない、スモン患者での認知機能低下や四肢機能悪化例が増加しており、身体的、福祉的状況の維持には、医療はもとより基本的ADLを維持・向上するための生活指導やリハビリテーションの実施が重要である。また、今後、介護の必要性が高まると予想され,医療および福祉面からの対応が必要である。

公開日・更新日

公開日
2010-06-16
更新日
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