脊柱靱帯骨化症に関する調査研究

文献情報

文献番号
200936040A
報告書区分
総括
研究課題名
脊柱靱帯骨化症に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-032
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
戸山 芳昭(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 耕三(東京大学 医学部)
  • 四宮 謙一(東京医科歯科大学 医学部)
  • 持田 讓治(東海大学 医学部)
  • 千葉 一裕(慶應義塾大学 医学部)
  • 池川 志郎(理化学研究所 遺伝子多型研究センター)
  • 内田 研造(福井大学 医学部)
  • 小宮 節郎(鹿児島大学 大学院運動機能修復学講座整形外科学)
  • 米延 策雄(国立病院機構大阪南医療センター)
  • 芳賀 信彦(東京大学 医学部)
  • 片桐 岳信(埼玉医科大学ゲノム医学研究センター)
  • 鬼頭 浩史(名古屋大学整形外科)
  • 中島 康晴(九州大学病院整形外科)
  • 神薗 淳司(北九州市立八幡病院小児救急センター)
  • 須佐美 隆史(東京大学 医学部)
  • 吉川 秀樹(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 木村 友厚(富山大学 医学部)
  • 藤 哲(弘前大学 医学部)
  • 鐙 邦芳(北海道大学保健管理センター)
  • 井樋 栄二(東北大学大学院医学系研究科)
  • 田口 敏彦(山口大学大学院医学系研究科)
  • 中村 孝志(京都大学大学院医学研究科)
  • 山崎 正志(千葉大学大学院医学研究院)
  • 谷 俊一(高知大学 医学部)
  • 吉田 宗人(和歌山県立医科大学整形外科・脊椎外科)
  • 中原 進之介(国立病院機構岡山医療センター整形外科)
  • 山本 謙吾(東京医科大学整形外科学教室)
  • 松山 幸弘(浜松医科大学整形外科)
  • 川原 範夫(金沢大学 医学部)
  • 永田 見生(久留米大学整形外科学講座)
  • 星野 雄一(自治医科大学整形外科)
  • 里見 和彦(杏林大学 医学部)
  • 遠藤 直人(新潟大学教育研究院医歯学系整形外科学分野)
  • 森 幹士(滋賀医科大学整形外科)
  • 野原 裕(獨協医科大学整形外科)
  • 松本 守雄(慶應義塾大学 医学部)
  • 藤原 奈佳子(愛知県立大学 看護学部)
  • 吉村 典子(東京大学 医学部)
  • 江藤 智生(財団法人実験動物中央研究所 動物資源管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
69,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
疫学研究、疾患関連遺伝子・タンパク質の検索、多施設共同臨床研究およびガイドライン策定などを通じて、脊柱靭帯骨化症に対する診断・治療体系を確立する。
研究方法
疫学研究および多施設共同臨床研究は複数の施設の共同作業で推進し、疾患関連遺伝子は兄弟姉妹例を研究班全体で探索・採血を行い、理化学研究所にて解析を行う。ガイドライン改訂作業は日本整形外科学会との共同で推進する。
結果と考察
疫学調査(OPLL有病率)を行い、単純X線における発生頻度は2.1%(男性2.8%、女性1.7%)であった。同胞採血の採取のサンプル数は193にまで到達した。目標(200サンプル)へ目処がつき、次年度に罹患同胞対法による連鎖解析を開始する。ガイドライン改訂作業は文献検索および構造化抄録の作製が終了し、改訂版発行のロードマップが示された。多施設共同臨床研究では幾つか新たな知見が報告された。1)神経症状発現に関する前向き調査(5年間)において、無症状の骨化が新たに脊髄障害を呈する割合は約20%である。2)術中モニタリングにおいて、MEPの振幅が30%にまで低下した時点が麻痺予防に有用なアラームポイントである。3)頸椎椎弓形成術後の下肢麻痺の発生頻度は3.1%であり、特に手術当日に発生する頻度が高い。4)胸椎OPLLの手術治療成績では、平均改善率が45.5% であり、術式別の有意差は認めなかったが、前方からの除圧を行った群で良好な成績が得られる傾向がある。分担研究では、特に疾患特異的タンパク質が新たに同定され知的財産の申請を行った。この新規タンパク質は、疾患のマーカーおよび治療への応用が期待される。画像解析に関しては、multidetector CTを用いた全脊椎の評価の重要性や微細な動的因子の評価が可能となったことが示された。
進行性骨化性線維異形成(FOP)に関してはALK2活性を阻害するシグナルを解析し、DRAGONとPPM1Aは構成的活性型BMP受容体を抑制した。また、1040種類の米国食品医薬品局(FDA)認可薬のなかで2種類のカルシウムチャンネルブロッカーがId1プロモーター活性を濃度依存性に低下させることを確認できた。一方、臨床研究では、アンケート調査結果から小学校から中学校にかけて、ADLの支援が必要となることが明らかとなり、FOPに母趾変形が高頻度に認められ有用な早期診断のツールとなることが示された。
結論
疫学研究・基礎研究・多施設共同臨床研究を推進し、脊柱靭帯骨化症に対する診断・治療体系に対する新たな知見を得た。

公開日・更新日

公開日
2010-06-04
更新日
-