強皮症における病因解明と根治的治療法の開発

文献情報

文献番号
200936037A
報告書区分
総括
研究課題名
強皮症における病因解明と根治的治療法の開発
課題番号
H20-難治・一般-029
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 伸一(東京大学医学部附属病院 皮膚科)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 治(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 尹 浩信(熊本大学 大学院医学薬学研究部)
  • 山本 俊幸(福島県立医科大学 医学部)
  • 遠藤 平仁(北里大学 医学部)
  • 桑名 正隆(慶應義塾大学 医学部)
  • 藤本 学(金沢大学 大学院医学系研究科)
  • 高橋 裕樹(札幌医科大学 医学部)
  • 小川 文秀(長崎大学 医学部・歯学部附属病院)
  • 川口 鎮司(東京女子医科大学附属病院膠原病リウマチ痛風センター)
  • 後藤 大輔(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 浅野 善英(東京大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全身性強皮症(以下、強皮症)は皮膚および肺、腎、消化管、心をはじめとする内臓諸臓器を系統的に侵す慢性疾患であり、膠原病に分類される。本研究の目的は、実績のある本邦の強皮症の専門家を集め研究チームを編成することによって、強皮症の病因解明、そして根治的治療法の開発を行うことである。
研究方法
基礎研究である病因・病態解明プロジェクトでは、(1) 免疫異常の一つである新規自己抗体の同定、(2)線維芽細胞異常の機序の解明、(3)血管異常の機序の解明、(4)強皮症動物モデルを用いた薬剤の有効性のスクリーニングを行った。臨床研究では、(1)既存の治療薬で、本症に有効と考えられるいくつかの薬剤の有効性の検証、(2)診療ガイドラインの全面改訂、(3)受診医療機関リストの作成などを行った。
結果と考察
1.基礎研究—病因・病態解明プロジェクト
①免疫系の異常として、新規自己抗体である抗RuvBL1/RuvBL2抗体を同定し、抗トポイソメラーゼ I抗体と臨床症状発現との時間的関連性やFAM167A-Blkの遺伝子多型を明らかにした。②線維芽細胞異常として、imatinibによるコラーゲン産生抑制機序の解明、visfatinの強皮症関連間質性肺炎に対する関与を明らかにした。③血管異常として、循環血中血管内皮前駆細胞の定量法の標準化、血管障害に対するFli1の関与などを明らかにした。④動物モデルを用いた薬剤のスクリーニングによって、ラパマイシン、硫化水素、HSc025、sunitinibの有効性が示された。
2. 臨床研究
①皮膚潰瘍に対するエンドセリン受容体拮抗薬の有用性や、肺高血圧症、皮膚硬化および微小血管障害に対するimatinibの有用性などが明らかにされた。②診療ガイドラインを全面改訂し、来年度初めには完成予定となった。④強皮症診療医リストをホームページ上に公開した。
結論
強皮症における、免疫異常、線維芽細胞異常、血管異常という3つの主要な異常において、病因の一端に迫る基礎研究における成果をあげたのみならず、マウスを用いた実験より今後有効性が期待される薬剤や、既存のもので有効性が期待される薬剤をいくつかリストアップすることができた。

公開日・更新日

公開日
2010-04-01
更新日
-