難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
200936033A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-025
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
坪内 博仁(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学)
研究分担者(所属機関)
  • 中沼 安二(金沢大学大学院医学系研究科 形態機能病理学)
  • 恩地 森一(愛媛大学大学院医学系研究科 先端病態制御内科学)
  • 石橋 大海(国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター)
  • 國土 典宏(東京大学大学院医学系研究科 臓器病態外科学)
  • 持田 智(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科)
  • 廣石 和正(昭和大学医学部内科学講座 消化器内科学部門)
  • 銭谷 幹男(東京慈恵会医科大学大学院医学研究科 器官病態・治療学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
65,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、劇症肝炎(FH)、肝内結石症を対象に最新の実態調査にもとづき、適正な診断基準、肝移植適応基準および治療法の標準化を目指す。
研究方法
①全国調査により、従来の診断基準をより適正に改訂する。②重症例、治療抵抗例、小児例などに対する診断基準および治療指針を作成する。③既に作成したガイドラインを検証する。④臨床検体、疾患モデルなどの解析により、新規診断法および治療法の開発を行う。
結果と考察
AIHでは全国調査が実施され、その実態が明らかにされた。ワーキンググループ(WG)研究では、急性肝炎、重症肝炎、IgG関連AIHの病態が明らかになり、抗核抗体測定法、従来型・簡易型システムによる診断法の問題点が示された。またUDCA、ステロイド、免疫抑制剤などの治療指針が示された。PBCではWG研究で、PBC診断基準の見直し案が作成され、診療ガイドラインの作成が行われている。また、本邦オーバーラップ症候群の予後が良好であること、抗gp210抗体が予後予測に有用であることが検証された。PSCでは全国調査からステロイド著効例の存在が明らかになった。血縁ドナー由来の肝移植の長期成績と再発率および再発危険因子が報告された。FHでは全国調査より免疫抑制・化学療法によるHBV再活性化肝炎の現況が報告され、B型肝炎対策ガイドラインの重要性が確認された。WG研究では診断基準の問題点が示され、急性肝不全全国調査から、本邦の劇症肝炎以外の急性肝不全が、劇症肝炎とは病態が大きく異なることが明らかにされた。新肝移植適応ガイドラインの検証では良好な成績が得られ、データマイニング解析による予後予測アルゴリズムの有用性も示された。FHに対する肝移植成績が良好であることが報告された。肝内結石症ではWG研究により、発癌関連因子が明らかにされ、適切な治療指針が示された。また、肝内結石症に合併する胆管癌の画像診断の問題点が示されるなど、診療ガイドラインの作成が進行している。発癌WGでは胆管癌発癌とHSP27との関連性が示され、胆汁中microRNAより複数の発癌予測バイオマーカー候補が明らかにされた。
結論
4つの分科会の各WGを中心に研究がすすみ、各疾患に対する最新の診断基準、治療指針など診療ガイドラインが作成されつつある。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
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