急性高度難聴に関する調査研究

文献情報

文献番号
200936029A
報告書区分
総括
研究課題名
急性高度難聴に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-021
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小川 郁(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 喜多村 健(東京医科歯科大学 医学部)
  • 中島 務(名古屋大学 医学部)
  • 宇佐美 真一(信州大学 医学部)
  • 岡本 牧人(北里大学 医学部)
  • 暁 清文(愛媛大学 医学部 )
  • 福田 諭(北海道大学 医学部)
  • 佐藤 宏昭(岩手医科大学 医学部)
  • 山岨 達也(東京大学 医学部)
  • 水田 邦博(浜松医科大学 医学部)
  • 福島 邦博(岡山大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では対象疾患を1)急性高度感音難聴(突発性難聴、外リンパ瘻、ムンプス難聴、急性低音障害型感音難聴、急性音響性感音難聴)と2)進行性または慢性高度感音難聴(遺伝性難聴、特発性進行性感音難聴、加齢性感音難聴、騒音性感音難聴)として、これらの疾患の難聴発症メカニズムを解明し、診断基準を定めて、治療・予防法を確立することが目標である。今回は特にこれまでの診断基準を見直すこと、高度感音難聴発症に関与する遺伝子または遺伝子変異を検出し、難聴発症機構を分子細胞レベルで解明することを大きな目標とする。
研究方法
本研究の特徴は多施設での横断的研究が行えることであり、この特徴を利用して疫学調査、診断基準の見直し、QOLの調査、新しい治療法の確立など、国際的にも不明な事項について明らかにする。
結果と考察
各疾患の診断基準を見直し、特に新しい抗ムンプスIgM抗体のキットを用いたムンプス難聴診断基準を改訂した。急性感音難聴のQOLについて多施設での調査を開始した。高分解能MRIによる内耳画像診断法を報告した。急性低音障害型感音難聴における内リンパ水腫のシミュレーション解析を行った。バゾプレッシン投与により突発性難聴モデルを作成し、新しい薬物療法の可能性を検証した。Cochlinペプチドを用いた自己免疫性感音難聴モデルマウスによる発症機序の解明、内耳に高発現するユビキチンなどの検索を行った。突発性難聴の関連遺伝子の解析を開始した。また、突発性難聴、急性低音障害型難聴、特発性両側性感音難聴の遺伝的背景について遺伝子バンク構築を行う研究班と共同で試料の収集を開始した。突発性難聴患者のSNP解析を行った。加齢性難聴に特異的なミトコンドリア遺伝子多型をはじめとする遺伝子検索を行った。急性感音難聴におけるストレスをストレス関連物質およびバイオマーカーを用いて検討した。急性高度感音難聴の新しい治療法としてのステロイド鼓室内注入療法について検討した。低体温療法、種々な抗酸化療法、バゾプレッシン、バラシクロビルなどの多施設臨床試験を行った。
結論
高度難聴は重篤なコミュニケーション障害を来たすが、ハンディキャップが適切に克服されれば、通常の社会生活に復帰することが可能であり、国民の健康増進という厚生労働行政上の観点からも、その病態解明および治療法・予防法の確立は重要な研究テーマのひとつであり、さらに1年、これらの確立のため研究を継続する。

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
-