文献情報
文献番号
202321036A
報告書区分
総括
研究課題名
パーソナルヘルスレコードを活用した診療(オンライン診療中心とした)における行動変容に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23IA1014
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
米田 隆(国立大学法人金沢大学 融合研究域融合科学系)
研究分担者(所属機関)
- 稲津 明広(金沢大学 保健学系)
- 村山 敏典(金沢大学附属病院 臨床開発部)
- 野村 章洋(金沢大学 融合研究域融合科学系)
- 古川 健治(北陸先端科学技術大学院大学 保健管理センター)
- 米田 貢(金沢大学 医薬保健研究域保健学系)
- 高村 禅(北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科)
- 出村 昌史(金沢大学 医学系)
- 唐島 成宙(金沢大学 国際基幹教育院(GS系))
- 米谷 充弘(国立大学法人 金沢大学 附属病院)
- 南保 英孝(金沢大学 融合研究域融合科学系)
- 原 章規(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
- 青野 大輔(金沢大学 医学教育研究センター)
- 野田 侑子(権藤 侑子)(金沢大学 融合学域)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
6,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
パーソナルヘルスレコード(PHR)等で患者本人が医療情報の閲覧による行動変容変化に関し、国内外のエビデンスを、論文データベース、研究事業報告書、ガイドラインから収集・レビューをする。また既にPHR活用している医療機関・企業、厚生労働省の関係者による討論の場を設け(遠隔医療学会等の連携)、内容を論文化しエビデンス構築をする。さらにオンライン診療および健診・人間ドックでのフィールドで医療情報の閲覧やPHRから得られる情報での利活用することでの行動変容への影響に関して、より高いエビデンスを構築する。
研究方法
本研究では、①PHRに関わる国内外のエビデンスの収集・レビュー、研究会の開催、②PHRを用いたオンライン診療による生活習慣病患者への有用性の検討、③新たなPHRの利活用に関する実証研究を行う。
結果と考察
①PHR に関する研究報告数は年々増加も、行動変容への影響を評価した論文は少ない。行動変容は、一般的な体重や臨床検査値等の数値指標と違い、評価が難しいが、Patient Activation Measureを用いた研究が最近散見され、生活習慣病やワクチン接種、健康診断受診などセルフマネジメントが重要な疾患への治療意識や疾患知識の向上、予防接種や受診勧奨には有効である。
『Impact of personal health record use on behavior change/modification for various conditions』として、2023年12月末に論文校正・投稿を予定している。研究会は、医師、企業、厚労省、経産省の方々が参加される2024年の第28回日本遠隔医療学術大会での開催調整中である。高齢者等でのデジタルデバイスのリテラシー向上も重要であるが、これまで論文などで扱われていなかった。
②現在、中間解析では、オンライン診療でのPHR利用は従来診療より臨床採血データを再度、閲覧するとの結果であった。
後期高齢者(75歳以上)割合 36%(max90歳の方も参加)であった。③新たな研究(厚労省健康づくりのため身体活動・運動ガイド2023を反映+血糖リアルタイムモニタリングを応用)したPHR(YaDocアプリ)実証研究実施中である。中間解析では平均1.4kgの減量を認め、血糖値変動(TIR:Time in Range)の改善も見られている。また、令和6年能登地震による被災者を対象に 本手法を応用し、効果を上げている。
考察:
各国・研究グループのPHRに関する論文を収集・レビューすることで、個々のPHRの機能および利活用の方法は多種多様で、より我々が予定している研究会の開催の必要性を認識できた。一方で、PHRと行動変容の関連に関してはまだ研究数は少なく、どのような行動変容に有効であるが、どのようなデジタルデバイスが有効か?さらに、高齢者等のデジタルデバイスリテラシー向上に関する研究が必要である。我々の従来研究での高齢割合が高いことは、より広範囲での社会実装が高いと思われる。また、新規PHR論文+身体運動などに関する厚労省ガイドラインをベースにした新規研究を実施、その中間解析からは、災害時のオンライン診療の導入という点も含めて、本研究の社会実装も可能と思われる。
『Impact of personal health record use on behavior change/modification for various conditions』として、2023年12月末に論文校正・投稿を予定している。研究会は、医師、企業、厚労省、経産省の方々が参加される2024年の第28回日本遠隔医療学術大会での開催調整中である。高齢者等でのデジタルデバイスのリテラシー向上も重要であるが、これまで論文などで扱われていなかった。
②現在、中間解析では、オンライン診療でのPHR利用は従来診療より臨床採血データを再度、閲覧するとの結果であった。
後期高齢者(75歳以上)割合 36%(max90歳の方も参加)であった。③新たな研究(厚労省健康づくりのため身体活動・運動ガイド2023を反映+血糖リアルタイムモニタリングを応用)したPHR(YaDocアプリ)実証研究実施中である。中間解析では平均1.4kgの減量を認め、血糖値変動(TIR:Time in Range)の改善も見られている。また、令和6年能登地震による被災者を対象に 本手法を応用し、効果を上げている。
考察:
各国・研究グループのPHRに関する論文を収集・レビューすることで、個々のPHRの機能および利活用の方法は多種多様で、より我々が予定している研究会の開催の必要性を認識できた。一方で、PHRと行動変容の関連に関してはまだ研究数は少なく、どのような行動変容に有効であるが、どのようなデジタルデバイスが有効か?さらに、高齢者等のデジタルデバイスリテラシー向上に関する研究が必要である。我々の従来研究での高齢割合が高いことは、より広範囲での社会実装が高いと思われる。また、新規PHR論文+身体運動などに関する厚労省ガイドラインをベースにした新規研究を実施、その中間解析からは、災害時のオンライン診療の導入という点も含めて、本研究の社会実装も可能と思われる。
結論
PHRの機能・利活用はさまざまで、行動変容への影響に関する検証には、多くの知見と研究成果が必要である。それらを取りまとめ、マイナポータルという本邦の国民すべてが有するPHRをいかに活かし、社会実装につなげる手法を提言していく。また利活用方法の一つとして、新たな診療形態であるオンライン診療というフィールドでのPHRの有効性に関して、エビデンスを構築する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2024-06-25
更新日
-