ウイリス動脈輪閉塞症の診断・治療に関する研究

文献情報

文献番号
200936026A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイリス動脈輪閉塞症の診断・治療に関する研究
課題番号
H20-難治・一般-018
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 信夫(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 宝金 清博(北海道大学医学部)
  • 冨永 悌二(東北大学医学部)
  • 宮本 享(京都大学医学部)
  • 永田 泉(長崎大学医学部)
  • 鈴木 則宏(慶應義塾大学医学部)
  • 野川 茂(東京歯科大学市川総合病院)
  • 中川原 譲二(中村記念病院)
  • 黒田 敏(北海道大学医学部)
  • 菊田 健一郎(福井大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は第一に家族性もやもや病を端緒としてもやもや病の病因を究明すること、第二に従来の診断治療と疾患進行度の検討として研究班で更新している1000人規模のデータベースを用いて診断治療の検証と厚生労働行政上重要な進行例の頻度や脳微小出血の脳出血転化を大規模に調査する。また片側および類もやもや病の病態を明らかにする。
研究方法
[1] 病因究明 3世代にわたり家族集積性のあるもやもや病25家系の収集が終了し遺伝解析を行う。
[2] 進行症例の解析と従来の診断治療の検証
2003年度から班員施設症例を用いて継続作成している詳細なもやもや病データベースは既に962例に達している。新規研究ではこれに画像情報を追記して更新する。また、全国2998施設に片側および類もやもや病の全国調査のアンケート調査を行い、その資料を用いて片側および類もやもや病の特徴分析、もやもや病と同一疾患なのか否か、および対応法を検討する。
[3 ] 新規治療法の開発
2001年度から成人出血型もやもや病に対するバイパス手術の再出血予防効果を検証する繁多施設間前向きランダム化研究であるJAM trialを継続している。
[4] 患者日常生活上の重要問題の解決
もやもや病特有の頭痛の頻度が4.3%であり、脳虚血との相関を示唆したが、新規研究ではその治療法について検討する。また脳卒中リスクの高い妊娠出産時の管理、帝王切開を行った頻度などについて全国調査を行い指針を作成する。IMZ-SPECT解析が本疾患における高次脳機能障害の指標になりうることを小規模で報告したが、本疾患における高次機能障害の簡易評価法とIMZ-SPECTによる診断基準を作成する。
結果と考察
家族性もやもや病は常染色体優性遺伝形式と判断された。22の常染色体およびX染色体についてパラメトリック解析を行い、17番染色体長腕(17q25-ter)にLOD Score 8.07と強い連鎖領域を認めた。アンケート調査においては、酔もやもや病はもやもや病と同様の血行不全状態にあることを指摘し、片側もやもや病の全国疫学調査により332症例を集積した。成人もやもや病の自然歴を明らかにし、無症候性もやもや病の調査を行い症候性に至る頻度を報告し、無症候性といえども発作予備群が潜在する危険を指摘した
結論
引き続き、もやもや病の病因を究明することをこの研究班の使命とする。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-