運動失調症の病態解明と治療法開発に関する研究

文献情報

文献番号
200936022A
報告書区分
総括
研究課題名
運動失調症の病態解明と治療法開発に関する研究
課題番号
H20-難治・一般-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
西澤 正豊(新潟大学 脳研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 辻 省次(東京大学医学部付属病院 神経内科 )
  • 佐々木 秀直 (北海道大学 神経内科)
  • 貫名 信行(独立行政法人 理化学研究所)
  • 鈴木 康之(岐阜大学医学部)
  • 祖父江 元 (名古屋大学 神経内科)
  • 小野寺 理(新潟大学 脳研究所)
  • 山田 光則(独立行政法人国立病院機構 さいがた病院)
  • 黒岩 義之(横浜市立大学 神経内科)
  • 糸山 泰人(東北大学 神経内科)
  • 和田 圭司(国立精神・神経センター 神経研究所)
  • 吉田 邦広 (信州大学 第三内科)
  • 高嶋 博(鹿児島大学 神経病学講座)
  • 中島 健二(鳥取大学 脳神経内科)
  • 永井 義隆 (国立精神・神経センター)
  • 加藤 俊一(東海大学医学部)
  • 吉良 潤一(九州大学大学院)
  • 加我 牧子(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
  • 加藤 剛二(名古屋第一赤十字病院 小児医療センター)
  • 瀧山 嘉久(山梨大学医学部 神経内科学講座)
  • 水澤 英洋(東京医科歯科大学大学院)
  • 今中 常雄(富山大学大学院)
  • 宮井 一郎(特定医療法人大道会 森之宮病院)
  • 中田 力(新潟大学 脳研究所)
  • 平井 宏和(群馬大学大学院)
  • 岡澤 均(東京医科歯科大学)
  • 二村 直伸(国立病院機構 兵庫中央病院)
  • 池田 佳生(岡山大学医学部)
  • 山海 嘉之(筑波大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
57,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臨床的に運動失調症を共通の主症状とする脊髄小脳変性症SCD、多系統萎縮症MSAおよび副腎白質ジストロフィーALDを対象として、その病態を解明し、臨床経過を反映するバイオマーカーを確立し、病態の進行を阻止できる治療法を確立することにより、総数2万人を超えるこれらの難治性神経疾患を克服することを目的とする。
研究方法
次のプロジェクト研究をチームとして推進している。1)臨床治療研究:運動失調症の臨床経過を反映する代理バイオマーカーを開発する。併せて運動失調症に対して最も有効なリハビリテーションの方法論を確立する。2)基礎研究:蛋白質合成の品質管理機構の研究など、運動失調症の分子病態の進行阻止を実現するための基礎的研究を行う。3)自然歴研究:臨床調査個人票に基づくSCDの自然歴に関する前向き研究を継続する。MSAを対象とした多施設共同研究組織であるJAMSACと家族性痙性対麻痺を対象としたJASPACを研究班として支援し、症例登録と遺伝子解析を継続する。4)原因遺伝子同定研究:遺伝子が未同定であるSCDの原因遺伝子同定を目指す。5)ALD治療研究:小児大脳型の早期診断と造血幹細胞移植治療の実施体制を確立する。

結果と考察
1)MRI画像から得られる指標等のバイオマーカーとしての有用性を検討し、蓄積物質を直接イメージングする技術の開発に取り組んだ。運動失調に対する短期集中リハビリの効果を検証する臨床治験をほぼ終了し、中間解析では世界で初めて有望な結果を得た。装着型ロボットの臨床応用にも取り組んだ。2)オートファジー機構の解析等蛋白質分解系の機能解析を進めるとともに、小脳への遺伝子導入技術を確立した。3)臨床治験に向けてSCD自然歴の解明のため、各病型の症例登録と遺伝子解析を継続した。4)第16染色体に連鎖する優性遺伝性小脳失調症SCA31の責任遺伝子変異を同定した。5)小児大脳型ALDの造血幹細胞移植治療の普及に向けた活動に取り組んだ。

結論
SCD各病型における原因遺伝子変異と病態の解析を進め、進行抑制治療を行うための分子標的の同定を目指すとともに、臨床治験の実施に向けて代理バイオマーカーの開発と各病型の自然歴解析を進めた、小脳機能の維持を目的としたリハビリの方法論を確立し、有効性を実証した。併せて、小児大脳型ALDの早期治療体制を構築した。

公開日・更新日

公開日
2010-06-03
更新日
-