文献情報
文献番号
202321022A
報告書区分
総括
研究課題名
看護と歯科口腔ケア分野の医療情報標準化とFHIR仕様策定に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22IA1015
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(国立大学法人東京大学 医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
- 秋山 智弥(名古屋大学 医学部附属病院)
- 井田 有亮(東京大学 医学部)
- 鈴木 志保子(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉)
- 利光 久美子(愛媛大学医学部附属病院 栄養部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
国のデータヘルス改革において、健康医療情報のデータ報告・提供、実施計画書、専門チーム記録などをその発生源を起点として、標準的なデータ形式で効率的に集積し必要な組織や関係者が共有できる情報基盤の確立が必要不可欠である。
一方、昨今、新しいデータ交換手法HL7 FHIRが次世代医療情報標準規格として注目されており、申請者らは電子化処方箋、特定健診結果、退院時サマリ、診療情報提供書について、FHIR標準仕様案を令和2年度厚労科研班で策定し、これらは平成3年度末に厚生労働省標準に認定された。
こうした中で、訪問看護や栄養管理などを含めた看護領域、歯科口腔ケア領域、などの領域においては、口腔診査情報の標準化など一部で標準化が進められているが、情報連携の観点ではまだ医療情報の標準化が進んでおらず、情報システム等で連携することが不十分である。
看護、栄養、歯科口腔の3領域は密接、医療、看護、介護連携において密接に関連する情報であり、重なる情報項目も多いことから一体的に検討することにより、保険医療機関、歯科診療期間、介護施設等との相互間の健康医療介護情報の連携を効率的に実施できる。そこで、これらの重要な領域において、標準化が必要な文書・情報等を検討し、次世代の標準規格である HL7FHIR等に適用可能な規格を策定することを目的とする。
一方、昨今、新しいデータ交換手法HL7 FHIRが次世代医療情報標準規格として注目されており、申請者らは電子化処方箋、特定健診結果、退院時サマリ、診療情報提供書について、FHIR標準仕様案を令和2年度厚労科研班で策定し、これらは平成3年度末に厚生労働省標準に認定された。
こうした中で、訪問看護や栄養管理などを含めた看護領域、歯科口腔ケア領域、などの領域においては、口腔診査情報の標準化など一部で標準化が進められているが、情報連携の観点ではまだ医療情報の標準化が進んでおらず、情報システム等で連携することが不十分である。
看護、栄養、歯科口腔の3領域は密接、医療、看護、介護連携において密接に関連する情報であり、重なる情報項目も多いことから一体的に検討することにより、保険医療機関、歯科診療期間、介護施設等との相互間の健康医療介護情報の連携を効率的に実施できる。そこで、これらの重要な領域において、標準化が必要な文書・情報等を検討し、次世代の標準規格である HL7FHIR等に適用可能な規格を策定することを目的とする。
研究方法
看護領域において、(1)診療報酬算定における別紙様式50「看護及び栄養管理等に関する情報」をもとに標準化を検討した。(2)栄養管理、在宅訪問栄養食事指導時の栄養情報、介護報酬で活用している様式を中心に標準化を検討した。(3)歯科口腔ケア領域では、診療情報提供書、特に周術期等口腔機能管理にかかる情報をHL7 FHIR形式で交換することを前提として調査、検討を行った。
結果と考察
看護領域では、看護情報提供書の標準化項目は139項目、大分類としては8つに設定された。整理したFHIRリソースの種類は、26リソースであった。看護上の問題という特異性があるため、看護情報提供書でよく使用される問題をまとめる役割を担うJP_Condition_Nursingのような新たなFHIRリソースの提案が考えられた。既存の看護用語集として、電子的な活用可能な用語集では、看護診断NANDAが1つの候補となり得ると考えられ、看護問題に関連したターミノロジーとしての整備も今後必要になる。
栄養領域では、栄養データは、介護に関わる栄養情報と医療・介護における栄養情報の連携を軸として整理し、大分類を6つに設定し、項目の必須・選択の位置づけについては、必須 695項目、選択 112項目、全807項目とした。介護における栄養データスタイルは、ID型 25、コード 314、数値 291、文字列 151に設定し、HL7 FHIRのカテゴリーに合わせて整理した。介護データについて情報を想定することはできたがコード化まで行うことができなかった。今後において、電子カルテの標準化や健診、介護等との情報連結を行うために、看護と歯科口腔ケア分野等も踏まえた介護分野との突合など、更なる検討が必要であると考えられる。
歯科口腔領域では、周術期等口腔機能管理に必要なおいてあらたにHL7 FHIR形式として定めるべき事項として、診療情報提供書HL7 FHIR記述仕様に(1)紹介目的セクションで使用されるReasonCodeに「周術期等口腔機能管理」を追加、(3)周術期等口腔機能管理依頼の場合は、診療方針指示セクションへの治療方針の記載を必須、(3)周術期口腔機能管理計画、周術期口腔機能管理計画の各ドキュメントを定義するBundleリソースの新設が必要であった。
栄養領域では、栄養データは、介護に関わる栄養情報と医療・介護における栄養情報の連携を軸として整理し、大分類を6つに設定し、項目の必須・選択の位置づけについては、必須 695項目、選択 112項目、全807項目とした。介護における栄養データスタイルは、ID型 25、コード 314、数値 291、文字列 151に設定し、HL7 FHIRのカテゴリーに合わせて整理した。介護データについて情報を想定することはできたがコード化まで行うことができなかった。今後において、電子カルテの標準化や健診、介護等との情報連結を行うために、看護と歯科口腔ケア分野等も踏まえた介護分野との突合など、更なる検討が必要であると考えられる。
歯科口腔領域では、周術期等口腔機能管理に必要なおいてあらたにHL7 FHIR形式として定めるべき事項として、診療情報提供書HL7 FHIR記述仕様に(1)紹介目的セクションで使用されるReasonCodeに「周術期等口腔機能管理」を追加、(3)周術期等口腔機能管理依頼の場合は、診療方針指示セクションへの治療方針の記載を必須、(3)周術期口腔機能管理計画、周術期口腔機能管理計画の各ドキュメントを定義するBundleリソースの新設が必要であった。
結論
看護情報の標準化は、継続看護の推進に大きく繋がるものであり、保健医療介護の情報の利活用とともに、国民一人ひとりの健康増進、疾病予防・重症化予防、重度化予防・介護予防に寄与することができる。今後、看護情報における処置や医療挿入物等へのケアについ適切な粒度のリソースについて検討し、FHIR準拠仕様の策定を進め、profileに基づきvalidationを実施していく必要がある。
栄養情報の標準化では、電子カルテ等との連結、国のデータベースに蓄積に繋げるためにも栄養コードの整備が必要である。これにより、健診・医療・介護の情報との連携により利活用とともに、国民一人ひとりの健康増進、疾病予防・重症化予防、介護予防・重度化予防に寄与することができる。
また歯科口腔ケア分野の診療情報提供書では「歯」や「歯式」の情報を扱うことから、標準歯式コード仕様をはじめとする歯科関連の既存標準コードのFHIR記述仕様に対応できる仕様について早急に改訂を含む策定を行い、周術期の医科歯科連携でもこれらの情報を円滑に相互利用できる状況を作る必要がある。
栄養情報の標準化では、電子カルテ等との連結、国のデータベースに蓄積に繋げるためにも栄養コードの整備が必要である。これにより、健診・医療・介護の情報との連携により利活用とともに、国民一人ひとりの健康増進、疾病予防・重症化予防、介護予防・重度化予防に寄与することができる。
また歯科口腔ケア分野の診療情報提供書では「歯」や「歯式」の情報を扱うことから、標準歯式コード仕様をはじめとする歯科関連の既存標準コードのFHIR記述仕様に対応できる仕様について早急に改訂を含む策定を行い、周術期の医科歯科連携でもこれらの情報を円滑に相互利用できる状況を作る必要がある。
公開日・更新日
公開日
2024-06-25
更新日
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