プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究

文献情報

文献番号
200936021A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 調 漸(長崎大学)
  • 山田 正仁(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 小林 篤史(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 細矢 光亮(福島県立医科大学 医学部)
  • 市山 高志(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 新 竜一郎(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 中村 好一(自治医科大学)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所)
  • 横山 隆(動物衛生研究所)
  • 松田 治男(広島大学 大学院生物圏科学研究科)
  • 堀田 博(神戸大学 大学院医学研究科)
  • 澤 洋文(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター)
  • 金子 清俊(東京医科大学)
  • 作道 章一(琉球大学 医学部)
  • 坂口 末廣(徳島大学 疾患酵素学研究センター )
  • 毛利 資郎(動物衛生研究所)
  • 田中 元雅(理化学研究所)
  • 桑田 一夫(岐阜大学)
  • 村山 繁雄(東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 堀内 基広(北海道大学 大学院獣医学研究科)
  • 照屋 健太(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 湯浅 龍彦(鎌ヶ谷総合病院)
  • 山田 達夫(福岡大学 医学部)
  • 三條 伸夫(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 楠原 浩一(産業医科大学 医学部)
  • 柳 雄介(九州大学 大学院医学研究院)
  • 網 康至(国立感染症研究所 村山庁舎)
  • 黒岩 義之(横浜市立大学 大学院医学研究科)
  • 佐々木 真理(岩手医科大学)
  • 岩崎 靖(小山田記念温泉病院)
  • 岸田 修二(都立駒込病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
128,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
プリオン病、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、進行性多巣性白質脳症(PML)のわが国における疫学的実態を明らかにし、発症機序の解明、治療法・予防法の開発、感染予防対策、患者等のケアなどを推進する。
研究方法
プリオン病、SSPEではサーベイランス委員を研究協力者として組織し、各都道府県の行政担当者、難病担当専門医と協力して全国サーベイランスと2次感染予防対策を行い、PMLも疫学研究を推進する。発症機序等の研究は基礎医学者、獣医学者、臨床研究者が研究分担者・研究協力者として各々の研究を推進するとともに、共同研究など緊密な連携により全体の向上を目指し、国際的にその成果を発信する。
結果と考察
プリオン病では、約10年間の全国サーベイランスにて2494例を調査し1402例を認定した。高齢発症例や遺伝性プリオン病で欧米との差異があることや、E200Kの全脳型の特殊性などが明らかになった。脳生検事例や医療行為を介する二次感染への対応についてインシデント委員会を新設した。SSPEは全国疫学調査と解析を継続し、PMLは髄液検査からのサーベイランス体制の準備を進めた。プリオン病の診断では髄液中の異常プリオン蛋白の検出に世界で初めて成功し、遺伝子・髄液検査を継続、画像診断援助体制を確立し診断困難例に対応した。基礎研究ではプリオン蛋白と細胞死の関係、モデル動物での感染効率やトレースバック研究、SSPE感染における宿主免疫因子、感受性遺伝子、ヌードマウスによるモデル動物の開発を行った。PMLではメチル化遺伝子結合蛋白やlarge T抗原の関与が明らかとなるなど顕著な研究成果が得られ、多くが国際的一流誌に掲載され世界へ向けて発信された。プリオン病のペントサン治療の臨床試験、SSPEのリバビリン治療の臨床試験が進展し、ホ-ムページや冊子体を活用してSSPEやPMLの診療ガイドラインの普及に努めた。プリオン病の国際会議に参加し、SSPEでは海外多発地域との共同研究が進展した。
結論
対象3疾患いずれも疫学研究、診断法開発や試験治療を含む臨床研究、発症機序に係わる基礎研究などが大きく進展した。プリオン病、SSPEに続き、PMLの疫学調査体制やケア対策を整備し、プリオン病インシデント委員会を新設した。これらの成果は、国際会議や共同研究などを通じて発信され国際的にも高く評価されている。

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
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