文献情報
文献番号
202321021A
報告書区分
総括
研究課題名
希少疾病・難病等の分野における診療ガイドライン等の評価に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22IA1014
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
堀田 信之(横浜市立大学 附属病院 化学療法センター)
研究分担者(所属機関)
- 竹内 正樹(横浜市立大学大学院医学研究科 視覚器病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
公益財団法人日本医療機能評価機構(Minds)では、ガイドラインを「システマティックレビューによりエビデンス総体を評価し(略)推奨を提示する文書」と定義している。Mindsでは採用したエビデンスの評価にGRADEを用い、現代の診療ガイドライン作成の中核となっている(Schünemann. GRADE Handbook)。GRADEはエビデンスの確実性を「A(強い)」「B(中程度)」「C(弱い)」「D(とても弱い)」の4段階で評価する。希少疾病・難病等の場合、ランダム化試験や大規模観察研究が行われておらず、小規模観察研究やケースシリーズ等からエビデンスを抽出せざるを得ないことがほとんどである。結果として、希少疾患に関するエビデンスの大半は「エビデンスの確実性D(とても弱い)」と評価されてしまう。希少疾患・難病ガイドラインでは「エビデンスの確実性D(とても弱い)」を細かく評価する必要性がある。また、エビデンスの確実性が各ガイドラインにおいて適切に評価されているかどうかを検討した。
研究方法
既存の希少疾病・難病等の分野のガイドラインにおけるGRADE評価の実態を確認し、「エビデンスの確実性D(とても弱い)」をどのように扱うべきかを検討した。また、「D:とても弱い」の細分化に関する検討を行った。ガイドラインにおけるエビデンスの評価について、Mindsとの意見交換を行った。
(倫理面の配慮)既存のデータを用いた研究であり、倫理面では特に問題を認めなかった。
(倫理面の配慮)既存のデータを用いた研究であり、倫理面では特に問題を認めなかった。
結果と考察
2023年10月1日時点でMINDSの公開している「難治性疾患・希少疾患」のカテゴリーにあるガイドライン 44本のうち、アクセス不可(6本)、GRADE評価なし(5本)を除いた33本を対象とした。各ガイドラインにおいて最大10個のCQを順に検討した。(合わせて247のCQを評価)A 19個(7.7%), B 57個(23.1%), C 83個 (33.6%), D 88個(35.6%)であったが、エビデンスを過大評価している傾向が確認された。「D(とても弱い)」については、エビデンスの質がさまざまであり、「D1:RCTまたは共変量の調整された比較群のある観察研究で、総患者数が100を超える」「D2:D1、D3に該当しないもの」「D3:エキスパートオピニオン、症例報告、総患者数が10未満」などへの細分化が提案された。
患者数が少ない希少疾患・難病分野では良質なRCTの施行が困難でエビデンスの確実性が低いことが予期されるにもかかわらず、不適切に強いエビデンスと評価されていることが多い。ガイドライン執筆者の意見を補強するためにエビデンスを過剰評価しているのではないかと懸念された。
患者数が少ない希少疾患・難病分野では良質なRCTの施行が困難でエビデンスの確実性が低いことが予期されるにもかかわらず、不適切に強いエビデンスと評価されていることが多い。ガイドライン執筆者の意見を補強するためにエビデンスを過剰評価しているのではないかと懸念された。
結論
既刊ガイドラインにおけるエビデンスの確実性評価ならびに「D:とても弱い」の細分化に関する研究を行った。
公開日・更新日
公開日
2024-06-25
更新日
-