ホルモン受容機構異常に関する調査研究

文献情報

文献番号
200936015A
報告書区分
総括
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松本 俊夫(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 茂明(東京大学分子細胞生物学研究所)
  • 森 昌朋(群馬大学医学部 第一内科)
  • 中村 浩淑(浜松医科大学第二内科)
  • 赤水 尚史(京都大学医学部附属病院探索医療センター)
  • 村田 善晴(名古屋大学環境医学研究所 生体適応・防御研究部門、発生・遺伝分野)
  • 大薗 惠一(大阪大学大学院医学系研究科生体統合医学小児発達医学)
  • 杉本 利嗣(島根大学医学部 第一内科)
  • 岡崎 亮(帝京大学ちば総合医療センター 第三内科)
  • 福本 誠二(東京大学医学部附属病院腎臓 内分泌内科)
  • 皆川 真規(千葉大学大学院医学研究院小児病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本副甲状腺関連疾患として偽性および特発性副甲状腺機能低下症、ビタミンD(VD)抵抗性くる病とその類縁疾患、甲状腺関連疾患として甲状腺ホルモン不応症(RTH)、TSH受容体異常症および抗体病(バセドウ病)などのホルモン受容機構異常に基づく難病とその関連疾患を対象に、患者実態を把握するとともに臨床・基礎からの研究の融合・発展を通じ原因・病態の解明、診断基準の作成、治療法の確立を行う。
研究方法
副副甲状腺ホルモン(PTH)、活性型VD、甲状腺ホルモン、TSHなどのホルモン受容機構異常症の遺伝子解析やホルモン測定等の診断法の確立、診断基準の策定と全国実態調査、治療指針の策定等を行う。同時にホルモンの情報伝達系の解析、遺伝子改変動物等の疾患モデルの解析に基づき、病態解明や新規治療法の開発への基盤を築く。
結果と考察
PHPでは、Ib型の一部でも骨でのPTH反応性が障害されることを見出した。FGF23関連低リン血症性疾患の全国一次疫学調査を行った。FGF23のプロセッシングで断片が生じ、FGF23作用を阻害することを見出した。VD不足症の基準値を28pg/mlと設定した。VD不足でもPTHが上昇しない例で骨折危険率が高いことを示した。ビタミンDおよびPTH依存性の1α水酸化酵素遺伝子の転写制御機構において可逆的なDNAメチル化制御が重要な役割を担うことを見出した。甲状腺クリーゼの推計患者数が5年間で1585人とかなり多いことが判明した。粘液水腫性昏睡の診断基準案を策定し、バセドウ病悪性眼球突出症の診断・治療指針および甲状腺結節取り扱いガイドラインの作成を進めた。バルプロ酸がRTHにおける中枢神経障害を改善する可能性を示した。
結論
PHPでは、病型を考慮した治療が必要であることが示された。FGF23関連低リン血症性疾患の疫学調査により実態解明が進み、診断・治療法の開発が加速するものと期待される。VD不足症の基準値の設定により25(OH)D測定の保険適用に向けた検討が加速するものと思われる。甲状腺クリーゼの診断基準に基づく疫学調査の結果、実態の解明が進むものと期待される。重症例も多い粘液水腫性昏睡の診断基準案、難治性のバセドウ病悪性眼球突出症の診断・治療指針、頻度の高い甲状腺結節の取り扱いガイドライン等の策定は、健康増進への社会的影響も大きく積極的な推進が必要である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-