文献情報
文献番号
200936012A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性血管炎に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
槇野 博史(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
研究分担者(所属機関)
- 有村 義宏(杏林大学第一内科)
- 山村 昌弘(愛知医科大学腎臓・リウマチ膠原病内科)
- 針谷 正祥(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科薬害監視学)
- 藤井 隆夫(京都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学)
- 和田 隆志(金沢大学大学院医学系研究科 血液情報統御学)
- 天野 宏一(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ膠原病内科)
- 高崎 芳成(順天堂大学医学部膠原病内科)
- 山田 秀裕(聖マリアンナ医科大学リウマチ・膠原病・アレルギー内科)
- 本間 栄(東邦大学医学部医学科内科学講座)
- 土橋 浩章(香川大学医学部内分泌代謝・血液・免疫・呼吸器内科・リウマチ膠原病学・臨床免疫学)
- 伊藤 聡(筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻臨床免疫学)
- 重松 宏(東京医科大学外科学第二講座)
- 磯部 光章(東京医科歯科大学大学院循環制御内科学)
- 井上 芳徳(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科血管・応用外科学分野)
- 小室 一成(千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学・循環器内科学)
- 太田 敬(愛知医科大学外科学講座血管外科・血管外科学)
- 古森 公浩(名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学専攻病態外科学講座血管外科学分野・血管外科)
- 種本 和雄(川崎医科大学・胸部心臓血管外科)
- 能勢 眞人(愛媛大学大学院医学系研究科ゲノム病理学分野・病理学)
- 石津 明洋(北海道大学大学院保健科学研究院病態解析学分野・病理学)
- 加藤 智啓(聖マリアンナ医科大学生化学)
- 岩月 啓氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学)
- 勝岡 憲生(北里大学医学部医学科・皮膚科)
- 土屋 尚之(筑波大学大学院人間総合科学研究科生命システム医学専攻)
- 長谷川 均(愛媛大学大学院生体統御内科学)
- 鈴木 和男(千葉大学 大学院医学研究院・免疫分子生物学)
- 小林 茂人(順天堂大学附属順天堂越谷病院内科)
- 藤元 昭一(宮崎大学医学部内科学講座循環体液制御学)
- 平橋 淳一(東京大学医学部附属病院腎臓内分泌内科)
- 佐田 憲映(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
63,000,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
わが国の患者実態に即し,国際的に通用する研究活動の実現のために,エキスパートの総力を結集し、血管炎への多角的な取り組みを行う.
研究方法
当研究班を中小型血管炎に関する臨床分科会、大型血管炎に関する臨床分科会、基礎・病理分科会、国際研究協力分科会の4分科会で構成し、以下の研究成果を得た.
結果と考察
中小型血管炎分科会では、国際的な評価基準を取り入れた前向き研究、治療中止の可能性についての研究を開始した。アレルギー性肉芽腫性血管炎に関して疫学班と合同調査を行い二次調査票の回収が終了した.個人調査票解析から,わが国の血管炎診療の実態が明らかとなった.また新規治療に関する臨床研究についても検討を行った.大型血管炎分科会では、疫学,病因,診断法と診断基準,治療法についての研究を進めた.Buerger病の成因に歯周病菌の関与が示唆され,重症虚血肢例に対する血行再建や血管新生療法の有用性が明らかとなった.高安病の病態推移についてはCRPのみではなくpentraxin3やMMP-9などを加えた評価の重要性が明らかとなった.炎症性腹部大動脈瘤に対する血管内治療では,合併症の軽減や死亡率の低下が見られ,有用な治療法として期待される.基礎病理分科会では、血管炎感受性遺伝子の機能解析や,自己血管反応性T細胞の発現機構と標的分子の同定,新しい腎炎モデルの作製,冠動脈炎モデルの解析,ケモカインアンタゴニストや血管再生による治療モデルの開発などの成果を得た.また,治療前後での遺伝子発現プロフィールの解析,ANCA対応抗原の翻訳後修飾の解析,新たな遺伝子多型の同定など,計画通りの成果は挙がっている.さらに,皮膚血管炎アトラスの作成にも取り組んでおり資料の蓄積を進めている.また,国際研究協力分科会を中心にEULAR/ACRの概念・分類・診断の新基準の検証研究に参加するための組織体制の構築を行った.
結論
血管炎データベース構築はわが国では初の試みであり、長期の臨床研究を継続させるための基盤体制を確立し、エビデンスを世界に発信するための基礎となる。また、先端技術を用いた基礎研究により診断と活動性・重症度評価ツールの開発が期待され、前向き臨床試験の実施・解析から、わが国の血管炎患者に即したエビデンスが確立される。分子標的療法や血管再生治療の有用性の確立は、血管炎治療の新たな展開となることが期待される.
公開日・更新日
公開日
2010-04-01
更新日
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