病院薬剤師へのタスク・シフト/シェア普及に対する阻害要因の把握とその解決に向けた調査研究

文献情報

文献番号
202321010A
報告書区分
総括
研究課題名
病院薬剤師へのタスク・シフト/シェア普及に対する阻害要因の把握とその解決に向けた調査研究
課題番号
22IA1001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
寺田 智祐(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
4,760,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和3年9月30日に厚生労働省から「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」が発出され、現行制度の下で医師から他の医療関係職種へのタスク・シフト/シェアが可能な業務の具体例や、推進するに当たっての留意点等が示されている。医師から薬剤師へ薬剤関連業務をシフトすることで、医師の業務負担軽減のみならず、医薬品適正使用や医療安全の推進の効果が期待される。しかし、病院薬剤師へのタスク・シフティングは必ずしもすべての病院で進んでいるわけではなく、進展の阻害要因の解明が求められる。すなわち、病院薬剤師業務をより効率的で生産性の高い業務構造に変革するための現状課題の抽出、論点整理が必要である。
研究方法
本研究では、薬剤師・医師・患者へのインタビュー調査もしくはアンケート調査による意識やニーズに関する質的調査を実施した。研究プロトコルを作成し、倫理委員会の審査を受け研究を実施した。
結果と考察
医師から薬剤師へのタスク・シフト/シェアが期待される業務内容は、単なる代行入力などの単純作業を期待しているのではなく、患者の意見を考慮し薬学的知見に基づいた支援を含めて数多くあることが示唆された。また、患者からのニーズも大きく、抗がん剤の説明や副作用マネジメント以外にも、医師と患者をつなぎ、治療において心の支えになること等多岐に渡る患者への関わりが求められていることがわかった。これらを実現するためには、各施設の状況に応じたPBPMの作成、薬剤師の余力の確保、教育(スキルアップ)およびタスク・シフト/シェアの有用性評価がキーポイントとなることが示唆された。また、薬剤師以外の者へのタスク・シフト/シェアの推進の実現には、法律や行政通知による薬剤師以外の者の業務拡大、手順書の整備、費用確保のための診療報酬の新設、資格・認定制度による薬剤師以外の者の知識・技能の担保、薬剤師以外の者のキャリアの構築・地位向上が望まれることが示唆された。また、医師と協働で実施する処方箋問い合わせ簡略化プロトコルの作成、処方変更内容の記録、処方箋応需薬局との連携などの手順を整備することを目的に「院外処方箋の問い合わせ簡素化プロトコルの業務ガイドライン」を作成した。それを基に今後この業務を日常臨床に実装し、その効果を検証することにより、広く普及させることが可能と考える。
結論
医師から薬剤師へのタスク・シフト/シェアが期待される業務内容は、単なる代行入力などの単純作業を期待しているのではなく、患者の意見を考慮し薬学的知見に基づいた支援を含めて数多くあることが示唆された。また、患者からのニーズも大きく、抗がん剤の説明や副作用マネジメント以外にも、医師と患者をつなぎ、治療において心の支えになること等多岐に渡る患者への関わりが求められており、外来治療においても患者が病院薬剤師と面談できる時間・場所の確保が、医師および患者双方にとって有用であることが示唆された。
これらを実現するためには、各施設の状況に応じたPBPMの作成、薬剤師の余力の確保、教育(スキルアップ)およびタスク・シフト/シェアの有用性評価がキーポイントとなることが示唆された。また、薬剤師以外の者へのタスク・シフト/シェアの推進の実現には、法律や行政通知による薬剤師以外の者の業務拡大、手順書の整備、費用確保のための診療報酬の新設、資格・認定制度による薬剤師以外の者の知識・技能の担保、薬剤師以外の者のキャリアの構築・地位向上が望まれることが示唆された。
院外処方箋の問い合わせ簡素化業務は、医師から薬剤師へのタスク・シフティングの好事例であり、医師の負担軽減をもたらすだけでなく、処方箋応需薬局の業務負担の軽減や患者の待ち時間短縮にもつながる。今回、医師と協働で実施する処方箋問い合わせ簡略化プロトコルの作成、処方変更内容の記録、処方箋応需薬局との連携などの手順を整備することを目的に「院外処方箋の問い合わせ簡素化プロトコルの業務ガイドライン」を作成した。それを基に今後この業務を日常臨床に実装し、その効果を検証することにより、広く普及させることが可能と考える。

公開日・更新日

公開日
2024-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-07-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202321010B
報告書区分
総合
研究課題名
病院薬剤師へのタスク・シフト/シェア普及に対する阻害要因の把握とその解決に向けた調査研究
課題番号
22IA1001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
寺田 智祐(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和3年9月30日に厚生労働省から「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」が発出され、現行制度の下で医師から他の医療関係職種へのタスク・シフト/シェアが可能な業務の具体例や、推進するに当たっての留意点等が示されている。医師から薬剤師へ薬剤関連業務をシフトすることで、医師の業務負担軽減のみならず、医薬品適正使用や医療安全の推進の効果が期待される。しかし、病院薬剤師へのタスク・シフティングは必ずしもすべての病院で進んでいるわけではなく、進展の阻害要因の解明が求められる。すなわち、病院薬剤師業務をより効率的で生産性の高い業務構造に変革するための現状課題の抽出、論点整理が必要である。
研究方法
本研究では、薬剤師・医師・患者へのインタビュー調査もしくはアンケート調査による意識やニーズに関する質的調査を実施した。研究プロトコルを作成し、倫理委員会の審査を受け研究を実施した。
結果と考察
医師から薬剤師へのタスク・シフト/シェアが期待される業務内容は、単なる代行入力などの単純作業を期待しているのではなく、患者の意見を考慮し薬学的知見に基づいた支援を含めて数多くあることが示唆された。また、患者からのニーズも大きく、抗がん剤の説明や副作用マネジメント以外にも、医師と患者をつなぎ、治療において心の支えになること等多岐に渡る患者への関わりが求められていることがわかった。これらを実現するためには、各施設の状況に応じたPBPMの作成、薬剤師の余力の確保、教育(スキルアップ)およびタスク・シフト/シェアの有用性評価がキーポイントとなることが示唆された。また、薬剤師以外の者へのタスク・シフト/シェアの推進の実現には、法律や行政通知による薬剤師以外の者の業務拡大、手順書の整備、費用確保のための診療報酬の新設、資格・認定制度による薬剤師以外の者の知識・技能の担保、薬剤師以外の者のキャリアの構築・地位向上が望まれることが示唆された。また、医師と協働で実施する処方箋問い合わせ簡略化プロトコルの作成、処方変更内容の記録、処方箋応需薬局との連携などの手順を整備することを目的に「院外処方箋の問い合わせ簡素化プロトコルの業務ガイドライン」を作成した。それを基に今後この業務を日常臨床に実装し、その効果を検証することにより、広く普及させることが可能と考える。
結論
医師から薬剤師へのタスク・シフト/シェアが期待される業務内容は、単なる代行入力などの単純作業を期待しているのではなく、患者の意見を考慮し薬学的知見に基づいた支援を含めて数多くあることが示唆された。また、患者からのニーズも大きく、抗がん剤の説明や副作用マネジメント以外にも、医師と患者をつなぎ、治療において心の支えになること等多岐に渡る患者への関わりが求められており、外来治療においても患者が病院薬剤師と面談できる時間・場所の確保が、医師および患者双方にとって有用であることが示唆された。
これらを実現するためには、各施設の状況に応じたPBPMの作成、薬剤師の余力の確保、教育(スキルアップ)およびタスク・シフト/シェアの有用性評価がキーポイントとなることが示唆された。また、薬剤師以外の者へのタスク・シフト/シェアの推進の実現には、法律や行政通知による薬剤師以外の者の業務拡大、手順書の整備、費用確保のための診療報酬の新設、資格・認定制度による薬剤師以外の者の知識・技能の担保、薬剤師以外の者のキャリアの構築・地位向上が望まれることが示唆された。
院外処方箋の問い合わせ簡素化業務は、医師から薬剤師へのタスク・シフティングの好事例であり、医師の負担軽減をもたらすだけでなく、処方箋応需薬局の業務負担の軽減や患者の待ち時間短縮にもつながる。今回、医師と協働で実施する処方箋問い合わせ簡略化プロトコルの作成、処方変更内容の記録、処方箋応需薬局との連携などの手順を整備することを目的に「院外処方箋の問い合わせ簡素化プロトコルの業務ガイドライン」を作成した。それを基に今後この業務を日常臨床に実装し、その効果を検証することにより、広く普及させることが可能と考える。

公開日・更新日

公開日
2024-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-07-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202321010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
①研究目的の達成度(成果)
・タスク・シフト/シェアの進展の阻害要因や課題を抽出することができ本研究の目的を達成できた
・患者のニーズを明らかにできた
・院外処方箋の問い合わせ簡素化プロトコルの業務ガイドライン(案)が作成できた
②研究成果の学術的・国際的・社会的意義
・研究論文発表については準備中である
・医療の質の向上につながると期待する
③研究成果の発展性
・タスク・シフト/シェア推進へ向けた次の研究に繋がる
④研究内容の効率性
・オンラインでの班会議を定期的に実施し、効率的に研究を遂行できた
臨床的観点からの成果
特記無し
ガイドライン等の開発
特記無し
その他行政的観点からの成果
研究成果の政策等への活用(公的研究としての意義)
・本研究成果を元に、通知、ガイドライン、診療報酬等の施策へ反映する基礎的情報を収集できた
・学会での発表等を通して医療関係者への啓発活動を定期的に実践したため、タスク・シフト/シェア推進の波及効果が期待できる
・院外処方箋の問い合わせ簡素化プロトコルの業務ガイドラインは、薬剤師業務の発展に直接寄与する
その他のインパクト
特記無し

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2024-07-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
202321010Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,188,000円
(2)補助金確定額
6,188,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,162,779円
人件費・謝金 506,524円
旅費 1,490,980円
その他 1,600,096円
間接経費 1,428,000円
合計 6,188,379円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-07-11
更新日
-