原発性免疫不全症候群に関する調査研究

文献情報

文献番号
200936011A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性免疫不全症候群に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
原 寿郎(国立大学法人九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 宮脇 利男(富山大学 医学薬学研究部)
  • 有賀 正(北海道大学 医学研究科)
  • 土屋 滋(東北大学 医学系研究科)
  • 野々山 恵章(防衛医科大学校 医学研究科)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学 医歯学総合研究科)
  • 上松 一永(信州大学 医学研究科)
  • 近藤 直実(岐阜大学 医学系研究科)
  • 蒲池 吉朗(名古屋大学 医学系研究科)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学 医学系研究科)
  • 中畑 龍俊(京都大学 iPS細胞研究センター)
  • 小林 正夫(広島大学 医歯薬学総合研究科)
  • 布井 博幸(宮崎大学 医学部)
  • 岩田  力(東京家政大学 家政学部)
  • 峯岸 克行(東京医科歯科大学 医学研究科)
  • 千葉 滋(筑波大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
38,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本調査研究班は、原発性免疫不全症候群患者のQOLと医療水準の向上に貢献するため努力している。今回、最新の疾患分類に基づいて24年ぶりに、成人を含め全国疫学調査を行い集計解析する。この結果を含めホームページでの患者登録を行い、主治医に対する情報提供体制を作る。XLA患者のQOL調査を行い、問題点を抽出し改善方法を検討する。解明されていない疾患の原因や病態を最新の分子生物学的手法を用いて解明し、早期診断法を確立し、より良い治療法を開発する。
研究方法
2007年の原発性免疫不全症候群の新分類に従い、全国疫学調査を行う。新たな早期診断法を開発し、TREC, KREC測定によるSCID、XLAのスクリーニング法を検証する。理化学研究所・かずさDNA研究所と協力して遺伝子診断を行い、新たな責任遺伝子を同定する。病態解析はヒト化マウスモデルを積極的に利用する。造血幹細胞移植など最適な治療法をホームページに公開し、ヒト化マウスモデルを用いて、遺伝子治療の有効性や安全性を検討するなど新たな治療法を開発する。講演会や相談会等により患者家族会と連携し、主治医への情報提供により医療水準の向上に努める。
結果と考察
2,894施設を抽出して全国疫学調査を実施した。小児科と内科、計814施設から、合計1,305例が報告された。我が国における有病率は2.7人/人口10万人対であり、抗体産生不全症が37.6%で最も多かった。二次調査で合併症など臨床像の特徴を明らかにした。IPEX、MSMD、家族性地中海熱に関しては、臨床像や遺伝的背景を明らかにした。SCID、XLAのスクリーニング法の有効性を明らかにし、家族性血球貪食症候群3型の迅速診断法を確立した。多くの症例の遺伝子診断を行い、高IgE症候群など多くの疾患の病態解析を行った。XLA、IPEXのヒト化マウスモデルを作成し、これを用いてより良い遺伝子治療法を開発している。CGD、WASの造血幹細胞移植ガイドラインをホームページに公開した。SCIDも近く公開する。原発性免疫不全症候群に関する最新の情報を研究会、ホームページ等で医師、患者家族に提供した。XLA患者のQOL調査の結果、成人患者は、身体的、精神的健康度ともに低下しており、精神的ケア、疾患教育、生活指導が重要であることを確認した。患者家族会との連携を深め、講演会・相談会を実施した。
結論
疫学調査やQOL調査から原発性免疫不全症患者の状態を把握し患者QOLの向上に役立てたい。原因や病態の解明を基に、適切な早期診断、最適な治療を受けられる体制をさらに構築する。

公開日・更新日

公開日
2010-05-14
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-03-01
更新日
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