文献情報
文献番号
202320005A
報告書区分
総括
研究課題名
肝がん・重度肝硬変の医療水準と患者のQOL向上等に資する研究
課題番号
23HC2001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
小池 和彦(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 泉 並木(武蔵野赤十字病院 消化器科)
- 考藤 達哉(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国府台病院 肝炎・免疫研究センター)
- 工藤 正俊(近畿大学 医学部 消化器内科)
- 建石 良介(東京大学大学院医学系研究科 消化器内科)
- 長谷川 潔(東京大学大学院医学系研究科 臓器病態外科学 肝胆膵外科)
- 江口 有一郎(医療法人ロコメディカル ロコメディカル総合研究所)
- 吉治 仁志(奈良県立医科大学 消化器内科学講座)
- 國土 典宏(国立国際医療研究センター)
- 立森 久照(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
39,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業(以下本事業)の利用率を向上させる推進方策を検討・提示し、構築したデータから明らかになる医療ニーズ及びエビデンスを元に、肝がん・重度肝硬変患者への医療水準を高める方策について検証することを目的とする。
研究方法
(1)これまでの研究で得られた本事業の利用率向上に寄与するノウハウを共有し、様々なチャンネルを通して、本事業の普及を図る。(2)制度改定を見据えて、肝胆膵外科領域の本事業の認知度調査を行う。(3) National Clinical Database (NCD)上に構築した肝癌・非代償性肝硬変患者の複数回入院・治療を捕捉できるレジストリシステムを用いて、肝癌・非代償性肝硬変患者の入院実態を調査する。(4)レジストリデータを解析し、COVID-19パンデミックにおける肝癌の診断状況の解析を行う。(5)肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業で収集された臨床個人票上のデータを収集し、解析を行う。
結果と考察
(1)全国肝疾患診療連携拠点病院(以下、拠点病院)、都道府県肝炎政策担当者、厚生労働省肝炎対策推進室(以下、肝炎室)と肝炎情報センターが開催する全国地域ブロック戦略会議(ハイブリッド開催)、肝炎情報センターが主催する拠点病院間連絡協議会(ハイブリッド開催)、肝疾患相談支援センター担当者向け研修会(ハイブリッド開催)等のチャンネルを通じて本事業の周知を図った。(2)制度改訂を見据えて、肝胆膵外科領域の本事業の認知度調査を行うとともに、次年度に向けて外科領域の普及活動への準備を開始した。(3) National Clinical Database (NCD)上に構築した肝癌・非代償性肝硬変患者の複数回入院・治療を捕捉できるレジストリシステムを用いて、2023度末までに172施設200診療科から累計初回治療情報39,922人、入院情報79,376件分の入力を得た。昨年度構築した入力協力施設に対するインセンティブ支払いシステムを用いて登録症例数に従ってインセンティブの支払いを行った。(4)レジストリデータを解析し、COVID-19パンデミックにおける肝癌の診断状況の解析を行った。(5)肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業で収集された臨床個人票上のデータを収集し、解析を行った。2021年4月の制度改訂(通院治療への対象拡大および年間3月以上への要件緩和)により2021年度に登録者数の明らかな伸びが認められたが、その後も着実に登録者数は増加していた。
結論
本事業は、様々なチャンネルを通じた広報活動により、認知率が向上しており、利用者数の増加も認められる。制度改定に対応して、今後は肝胆膵外科領域への周知活動に力を入れる必要がある。肝癌・非代償性肝硬変レジストリは、確実に症例数が増加しており、今後同疾患における医療水準と患者のQOL向上に資するエビデンスを創出する基盤となっていくことが期待される。
公開日・更新日
公開日
2025-01-28
更新日
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