MRIの補助に基づくFDG-PETによる局在関連性てんかん(部分てんかん)の術前焦点検索精度向上

文献情報

文献番号
200935074A
報告書区分
総括
研究課題名
MRIの補助に基づくFDG-PETによる局在関連性てんかん(部分てんかん)の術前焦点検索精度向上
課題番号
H21-こころ・若手-023
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高屋 成利(京都大学放射性同位元素総合センター)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 理器(京都大学医学研究科臨床神経学)
  • 石津 浩一(京都大学医学研究科人間健康科学系専攻近未来システム・技術創造部門)
  • 三國 信啓(京都大学医学研究科脳神経外科学)
  • 福山 秀直(京都大学医学研究科付属高次脳機能総合研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
てんかん外科手術を成功に導くには、術前における正確な焦点検索が不可欠である。FDG-PETは、MRIに比べて異常部位検出の客観的判断およびその詳細解剖学的位置の同定が難しい。また、てんかん原性領域の検出感度が比較的高い反面、特異度が低く、擬陽性が多いのが難点である。そこで、今回の研究においてはFDG-PETによる異常検出部位を客観的かつ詳細に描出するとともに、MRIの補助下に焦点検出感度を更に高めて特異度も向上させることを目的とする。
研究方法
研究対象は局在関連性てんかんの手術を受ける患者および年齢をマッチさせた健康被験者。術前にFDG-PETおよびMRI解剖画像を撮像した。一次てんかん焦点と想定される領域と遠隔のブドウ糖代謝低下領域の神経線維連絡の有無およびその神経線維上の拡散テンソルパラメータが、術後の発作コントロールと関連するかを調べることで、遠隔のブドウ糖代謝低下領域がてんかん焦点からのてんかん活動の伝播による二次性機能低下なのか、独立したてんかん原性領域なのかについて術前に推定できるかについて、今後検討するために拡散強調画像を撮像した。MRI解剖画像を用いてFDG-PETの部分容積効果補正を行った。
結果と考察
これまでに収集した正常被験者データを用いた患者個人のFDG-PET画像の統計学的解析を、部分容積補正をすることよって精度を向上させる方法についての検討を現在行っている。例えば、薬剤抵抗性難治性てんかんのある女性患者の例では、部分容積効果前には側頭葉のブドウ糖代謝低下はほとんど検出されなかったが、部分容積補正後には内側部を含めて右側頭葉のブドウ糖代謝が検出された。この患者では、非発作時脳波で右側頭葉からてんかん性放電が検出されており、右側頭葉てんかんが強く疑われる。このような例では、側頭葉外側と内側のどちらの(もしくは両方の)てんかん原性の存在を想定して硬膜下電極留置などの侵襲的検査や手術に臨むかを術前に判断することが、開頭方法の選択や患者の予後予測のために重要である。
結論
今後、手術時に記録する皮質脳波もしくは深部電極の結果や、手術による切除範囲と術後の発作コントロールとの関係を検討して、部分容積効果補正によって得られた結果、更には拡散強調画像の結果を検証する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-