発達障害者の特性別適応評価用チャートの開発

文献情報

文献番号
200935072A
報告書区分
総括
研究課題名
発達障害者の特性別適応評価用チャートの開発
課題番号
H21-こころ・若手-021
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
船曳 康子(京都大学医学部附属病院 精神科神経科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達障害に支援が必要なことは周知されてきたが、診断がないと支援をしにくいという現状がある。しかし、専門家の少なさから診断までに時間を要する、診断後も個人差の大きさもあいまって要支援事項がわかりにくい、診断閾値以下でも支援を必要とする、などの理由で現場の混乱は続いている。専門家の評価が診断で終わらず現場の支援につながるよう、多忙な支援者に一目でわかりやすいチャートを開発している。
研究方法
発達障害者が有しやすく、困りやすい特性を14項目、要支援度を各特性別に9段階評価で表した。診断に関係がなく重要視されない項目でも、支援に重要な特性はあえて取り上げた。一目で全体を把握する目的で、特性の数を絞りレーダーチャートにまとめた。21年度は児童精神科外来にて試行しながら、複数の児童精神科医による評価の妥当性・安定性について検討し、毎週の議論でブラッシュアップを重ねてきた。171例につき特性解析を行い、自閉症、アスペルガー障害、特定不能型広汎性発達障害、AD/HDと診断された159例について、診断名ごとに比較解析を行った。
結果と考察
21年度には計22回会議を開き、チャート自体はほぼ安定した状態となった。評価者間一致率は、平均0.935(0.834-0.983)と十分な成績であった。外来での使用においては、自己の特性理解にまず役立ち、医療者との信頼関係、診断までの流れ、今後の見通しのいずれにも有用と考えられた。また、家族や周囲からの共通理解にもつながり、周囲との摩擦の減少にも役立った。特性解析の結果は、診断名ごとに特徴が見られたが、やはり、同診断内でも個人差の大きさは目立った。
結論
発達障害者の理解を自他共に促進し、トラブルを未然に防ぎ、ストレスを軽減して生活できるよう、特性別要配慮度を図示するレーダーチャートを開発した。現在、児童精神科医間で一致率を確立し、チャートの原案自体もほぼ安定している。また、得られたデータで、各特性における診断名別の解析を行い、各群の特徴を示した。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-