スポーツ・運動の統合失調症の認知機能・高次脳機能障害に対する効果に関する研究

文献情報

文献番号
200935070A
報告書区分
総括
研究課題名
スポーツ・運動の統合失調症の認知機能・高次脳機能障害に対する効果に関する研究
課題番号
H20-こころ・若手-025
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 英彦(独立行政法人 放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター 分子神経イメージング研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 大久保 善朗(日本医科大学)
  • 加藤 元一郎(慶應義塾大学)
  • 松浦 雅人(東京医科歯科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
6,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
統合失調症患者対象に運動プログラムを実施し、特にスポーツに参加することが、スポーツ関連動作を見ている際の脳活動にどのような影響を与えるか検討することを目的とした。
研究方法
慢性期の統合失調症患者13名を対象に3カ月の縦断的研究を行った。患者はすべて抗精神病薬を服用しており、この間は処方は一定とした。患者に対して医師・臨床心理士・作業療法士らによる3カ月にわたる運動プログラムを実施した。プログラムは週三回の身体測定、ストレッチから汗ばむ程度の軽度な運動で構成され、特にスポーツとしては普段なじみの薄いバスケットボールを用いた。プログラムの前後で昨年度使用したバスケットボール関連動作(フリースロー、ドリブル、ディフェンス)とバスケットボール無関連動作の動画を見ている最中の脳活動をfMRIで測定した。
結果と考察
前年度の報告したように、統合失調症患者が3か月の運動プログラムに参加する前は、あまり馴染みのないバスケットボール関連動作を見ている際の体の部分に反応するextrastriate body area(EBA)が活動が健常者と比べて低い状態であった。それが運動プログラムを3カ月継続し、スポーツ関連動作を見ている際のEBAの活動の程度が増大した。EBAの活動の程度が増大したことは、前年度の結果を踏まえると精神症状や運動・認知機能の改善に結びつく可能性を示唆する。
結論
統合失調症患者のスポーツの参加が精神科リハビリテーションに有用である可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-