文献情報
文献番号
202319022A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症の曝露前及び曝露後の予防投薬の提供体制の整備に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23HB1006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
水島 大輔(国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 エイズ治療・研究開発センター)
研究分担者(所属機関)
- 谷口 俊文(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院・感染制御部)
- 生島 嗣(特定非営利活動法人ぷれいす東京)
- 照屋 勝治(国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
13,816,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
先行研究(20HB1007)で、我々は、HIV感染症の曝露前予防(PrEP:pre-exposure prophylaxis)の実証研究を完了し、その予防効果と安全性の高さを報告するとともに、性感染症(STI:sexually transmitted infection)の検査・予防体制の拡充がPrEP導入に必須であることを提言した。また、東京近郊でのPrEP userの急増を鑑み、日本エイズ学会と共同でPrEPの利用の手引きを制定し、情報提供を行ってきたが、地方におけるPrEP提供体制が課題として浮き彫りとなった。先行研究のこれらの結果を受け、PrEPの提供体制の整備に向け、以下の研究を実施する。
研究方法
①PrEPとSTIの実態調査(研究者:水島大輔)
当院に設立された男性間性交渉者(MSM:men who have sex with men)コホートであるSexual Health(SH)外来で実施しているMSMのPrEP利用およびSTI罹患の実態調査を継続する。東京近郊ではSTIクリニックでのPrEP処方体制が充実しておりこれらの施設と共同して実態把握に努める。また今後開設予定である地方のPrEP提供施設と共同して調査する。一方、自己判断でのジェネリック薬の自己輸入者は依然多く、これらのPrEP userの実態把握も引き続き継続する。
②PrEPとSTI介入の海外調査(研究者:谷口俊文)
東京近郊以外の地方でのPrEP提供体制整備を念頭に、海外でのPrEPおよびSTI予防の事例を調査し、国内での知見をとりまとめ、地方でのPrEP提供体制の整備について提言を行う。
③PrEPの情報提供(研究者:生島嗣)
日本国内でのPrEP承認に先立ち、医療機関や行政機関、PrEPユーザーと連携しながら全国のPrEP利用希望者へ情報を発信しつつ、PrEP提供施設の開設希望者やその支援機関など、潜在的なPrEP提供者の掘り起こしや育成活動も行う。
④nPEPの実態調査(研究者:照屋勝治)
日本における非職業従事者の曝露後予防内服(nPEP:non occupational post-exposure prophylaxis)の提供体制に関して東京近郊および地方都市の現状把握を行う。
当院に設立された男性間性交渉者(MSM:men who have sex with men)コホートであるSexual Health(SH)外来で実施しているMSMのPrEP利用およびSTI罹患の実態調査を継続する。東京近郊ではSTIクリニックでのPrEP処方体制が充実しておりこれらの施設と共同して実態把握に努める。また今後開設予定である地方のPrEP提供施設と共同して調査する。一方、自己判断でのジェネリック薬の自己輸入者は依然多く、これらのPrEP userの実態把握も引き続き継続する。
②PrEPとSTI介入の海外調査(研究者:谷口俊文)
東京近郊以外の地方でのPrEP提供体制整備を念頭に、海外でのPrEPおよびSTI予防の事例を調査し、国内での知見をとりまとめ、地方でのPrEP提供体制の整備について提言を行う。
③PrEPの情報提供(研究者:生島嗣)
日本国内でのPrEP承認に先立ち、医療機関や行政機関、PrEPユーザーと連携しながら全国のPrEP利用希望者へ情報を発信しつつ、PrEP提供施設の開設希望者やその支援機関など、潜在的なPrEP提供者の掘り起こしや育成活動も行う。
④nPEPの実態調査(研究者:照屋勝治)
日本における非職業従事者の曝露後予防内服(nPEP:non occupational post-exposure prophylaxis)の提供体制に関して東京近郊および地方都市の現状把握を行う。
結果と考察
①SH外来全体でPrEPによる95.6%のHIV予防効果(p<0.001)が示された。HIV罹患率は年々減少傾向を示し、初診時の陽性率でも、STIの陽性率は高止まりを続けたのに対し、HIVの陽性率は罹患率と同様に減少傾向を示した。STI罹患率に関し、PrEP userで増加傾向は収束する一方、非PrEP userでは増加傾向が続き、PrEPを開始していない高リスク者が存在することが示唆された。PrEP提供クリニックの現状に関して、東京における協力施設であるプライベートヘルスクリニック(PHC)におけるPrEPジェネリック薬の処方者数は約3647名、2023年6月に開業した大阪のいだてんクリニックでは、11月時点で既にPrEP処方者数は383名に達していた。
②米国におけるPrEPでは政府主導でほとんど費用負担がなく利用できる体制が取られている。費用負担が発生する場合でもクーポンなどにより無料となるため利用しやすい。CDCから出ているガイドラインに沿って診療されており定期的なHIVとSTI検査がセットになっている。州によっては行政主導で無料の郵送検査も実施している。カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、タイにおける現状もほぼ同様であり無料もしくは安価でPrEPが利用されやすい体制が取られている。
③PrEP in JAPANのホームページ上の「見守りリンク集」に掲載する、PrEP提供医療機関の掲載基準を公開した。これにより、PrEP提供者が必要な検査を実施し、提供するPrEPの詳細やクリニック情報を明示することが求められるようになった。また、医療者向けおよび利用者向けのオンラインセミナーを複数回開催した。さらに、PrEPに関する教育資材として「PrEPポケットガイド」を基にした5分間の啓発動画を作成・公開した。
④nPEPの実態把握では、ジェネリック薬のnPEPを処方するSTIクリニックが複数存在し、PHCにおいては2023年11月には1203名にnPEPの処方をしており、nPEP処方を受けたMSMのほぼ全例がPrEPへと移行していた。大阪のいだてんクリニックでは、240名にnPEPを処方していた。
①~④より、PrEPの有効性、当事者のニーズの高さは明らかであり、PrEP提供体制における海外とのギャップは極めて大きい。国内の海外事例の調査と当事者への正しい情報提供が急務であると考えられる。
②米国におけるPrEPでは政府主導でほとんど費用負担がなく利用できる体制が取られている。費用負担が発生する場合でもクーポンなどにより無料となるため利用しやすい。CDCから出ているガイドラインに沿って診療されており定期的なHIVとSTI検査がセットになっている。州によっては行政主導で無料の郵送検査も実施している。カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、タイにおける現状もほぼ同様であり無料もしくは安価でPrEPが利用されやすい体制が取られている。
③PrEP in JAPANのホームページ上の「見守りリンク集」に掲載する、PrEP提供医療機関の掲載基準を公開した。これにより、PrEP提供者が必要な検査を実施し、提供するPrEPの詳細やクリニック情報を明示することが求められるようになった。また、医療者向けおよび利用者向けのオンラインセミナーを複数回開催した。さらに、PrEPに関する教育資材として「PrEPポケットガイド」を基にした5分間の啓発動画を作成・公開した。
④nPEPの実態把握では、ジェネリック薬のnPEPを処方するSTIクリニックが複数存在し、PHCにおいては2023年11月には1203名にnPEPの処方をしており、nPEP処方を受けたMSMのほぼ全例がPrEPへと移行していた。大阪のいだてんクリニックでは、240名にnPEPを処方していた。
①~④より、PrEPの有効性、当事者のニーズの高さは明らかであり、PrEP提供体制における海外とのギャップは極めて大きい。国内の海外事例の調査と当事者への正しい情報提供が急務であると考えられる。
結論
当事者のニーズと世界の先進事例を参照し、速やかなPrEP提供体制の確立が必要である。
公開日・更新日
公開日
2025-05-13
更新日
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