文献情報
文献番号
202319017A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症及びその併存疾患や関連医療費の実態把握のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23HB1001
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
- 横幕 能行(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 感染症内科)
- 今橋 真弓(柳澤 真弓)(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター 感染・免疫研究部)
- 町田 宗仁(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
- 野上 恵嗣(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部小児科学講座)
- 荻原 建一(奈良県立医科大学 小児科)
- 稲垣 有佐(奈良県立医科大学 医学部)
- 谷口 俊文(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院・感染制御部)
- 佐藤 大介(藤田医科大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
21,697,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年の抗HIV療法(ART)普及によりHIV感染症は慢性疾患化しつつあり、中長期的な対応が臨床上、患者支援上の大きな課題となっている。
また、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)は国民皆保険制度を有する我が国における保険診療の全数調査であり、生活保護の医療扶助や感染症法に基づく公費医療などを除く、1億1千万人前後の医療受療状況のデータがほぼすべて格納されている。NDBは病院だけでなく、診療所のデータも取得されており、また、適切な名寄せを行うことで、同一患者の医療機関や都道府県をまたいだ受診を追跡できる。このようにNDBは既存の集計値にはない強み(全国悉皆性)を有するため、既存統計と補完的に用いることで精緻な実態把握が可能となる。
本研究は、わが国の保険診療の全数(悉皆)調査であるNDBを活用し、HIV感染症及びその併存疾患の「医療状況」と「医療費」の2つの実態把握を目的としている。
また、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)は国民皆保険制度を有する我が国における保険診療の全数調査であり、生活保護の医療扶助や感染症法に基づく公費医療などを除く、1億1千万人前後の医療受療状況のデータがほぼすべて格納されている。NDBは病院だけでなく、診療所のデータも取得されており、また、適切な名寄せを行うことで、同一患者の医療機関や都道府県をまたいだ受診を追跡できる。このようにNDBは既存の集計値にはない強み(全国悉皆性)を有するため、既存統計と補完的に用いることで精緻な実態把握が可能となる。
本研究は、わが国の保険診療の全数(悉皆)調査であるNDBを活用し、HIV感染症及びその併存疾患の「医療状況」と「医療費」の2つの実態把握を目的としている。
研究方法
研究班の初年度である2023年度は、 (1)HIV/AIDSの検査・治療状況の推計、(2)抗HIV薬に関する医療経済分析、(3) NDBにおける血友病の新定義と受診者数、(4)血友病患者への画像検査の施行率を主に分析した。
結果と考察
(1)については、2021年12月~2022年3月の4ヶ月間で継続的に抗HIV薬の処方を受けたHIV感染者は、全国で25632 ⼈(男性 23924 ⼈、⼥性 1708 ⼈)であることや、2021年1~12月に、新規に抗HIV薬の処方が開始された新規患者は1657人であること、2013~2021年に抗HIV薬を処方された33222人を対象にした2014~2020年における各年の死亡数は90名前後~135人の範囲であることなどが推計された。(2)については、先発品を含む3剤併用療法による治療戦略における年間医療費が736億円であるのに対し、2剤併用療法の年間医療費は621億円、後発医薬品を含む3剤併用療法は584億円であることや、1次治療の薬剤費はそれぞれ、376億円、260億円、225億円、2次治療の治療費用は335億円、341億円、225億円であることなどが明らかとなった。(3)については、29歳以下の男性血友病患者2483人において、2015~2021年にX線検査を施行された患者は30%台であり、10歳代が40%台と他の年齢階級より多い傾向にあることが明らかになった。
結論
本研究により、HIV感染者及び血友病患者の医療状況について、NDBを用いて様々な指標を把握する技術が確立され、HIVについては国のエイズ動向委員会に資料を提供するとともに、国のオンライン公表資料(API-Net)に追加されるなどエイズ統計の基幹的な資料を提供するなどの社会実装が行われた。
公開日・更新日
公開日
2025-05-13
更新日
-