HIV感染者を含む血友病患者の高齢化に伴う新たな合併症に関する研究

文献情報

文献番号
202319014A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染者を含む血友病患者の高齢化に伴う新たな合併症に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22HB1004
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
木内 英(東京医科大学 臨床検査医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 久美子(東京大学 医学部附属病院 )
  • 藤井 輝久(広島大学 病院輸血部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

概要版(繰越課題)
分担1:研究代表者施設にてパイロット研究を開始、44例(血友病A/B:38/6例)より同意を取得した。年齢の中央値は53歳、HIV感染 11例 (25%)、高血圧 16例 (36.7%)、高脂血症 7例 (15.9%)、糖尿病 7例 (15.9%)であった。冠動脈カルシウムスコア(CACS)100点以上は6例 (13.6%)、このうち3例にカテーテル検査が行われ、うち1例が冠動脈バイパス術を施行された。CACS 100点以上は、糖尿病が4/6例(66.7%)と有意に多く(P=0.003)、HIV感染症は3/6 (50%)であった(p=0.154)。頭部MRIで脳室周囲白質病変および深部皮質下白質病変がともにGrade 2以上は5例(11.4%)、年齢、喫煙、高血圧、糖尿病と関連していた。今後は大阪医療センターなど8施設と全国多施設共同研究を行う予定である。
分担2:研究代表施設でのパイロット研究では29例(血友病A/B:25/4例)の解析を行った。平均年齢53歳、HIV陽性率31%、HJHS28点、SMI7.1kg/m2であった。サルコペニア有病率はAWG(握力)6.9%、AWG(5回椅子立ち上がりテスト:STS)24.1%、AWG(SPPB)20.7%と測定方法により異なり、下肢の有病率が高かった。先行報告では、健常アジア人男性のサルコペニアは平均76歳であったのに対し、本研究では50代からサルコペニア患者が存在し、足関節と歩行能力が有意に関連していた(p=0.024, 0.044)。今後さらに例数を増やす。
分担3:広島大学病院における調査では、対象者は32人(血友病A/B:29/3例)。インヒビター(現在または既往)は6人。HIV陽性は9人。腰椎の骨密度(g/cm2)及びYAM(%)の中央値はそれぞれ0.920、88%、人工関節置換術部位を除く大腿骨頚部では右0.694、80%、左0.690、79.5%であった。YAM 70%未満(骨粗鬆症と診断)は、腰椎ではゼロ、大腿骨頸部では右で5人、左で7人であった。大腿骨頸部で骨粗鬆症とされた10人のうち、8人が同側に膝関節症を有していた。血清P1NP(µg/L), TRACP-5b(mU/dL), 25OHビタミンD(pg/mL)の中央値はそれぞれ55.2, 328, 16.9と、ビタミンD欠乏が多かった。現在、初年度研究参加3施設(広島大学病院など)に加えて、北海道大学病院など7施設で年度内に研究開始予定である。

公開日・更新日

公開日
2025-06-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-06-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202319014Z