サルコメア配列異常を主病変とする筋ジストロフィーの病因・病態の解明と治療法の開発

文献情報

文献番号
200935060A
報告書区分
総括
研究課題名
サルコメア配列異常を主病変とする筋ジストロフィーの病因・病態の解明と治療法の開発
課題番号
H21-こころ・一般-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
林 由起子(国立精神・神経センター 神経研究所疾病研究第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 西野 一三(国立精神・神経センター 神経研究所疾病研究第一部)
  • 野口 悟(国立精神・神経センター 神経研究所疾病研究第一部)
  • 松田 知栄(独立行政法人 産業技術総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
36,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
サルコメアの配列の乱れを主病変とし、細胞内異常タンパク質の蓄積を伴う筋原線維性ミオパチー(MFM)の病因・病態解明を進めることを目的とする。
研究方法
サルコメア配列の異常を主病理変化とする本邦88家系を抽出し、MFMの既知7原因遺伝子の変異スクリーニングを行った。
変異の見いだされた症例については詳細な臨床病理学的解析を行った。
また、モデル動物を用いた効果的な変異遺伝子の機能解析法の確立を目指し、マウスを用いたin vivo エレクトロポレーション法の確立を図った。
一方、モデル動物として活用するメダカは、正常メダカを用いて骨格筋に関する基礎データの集積を行うとともに、MFMの一関連遺伝子に変異を有するメダカの発生・発育、病理解析も開始した。
結果と考察
既知の7MFM関連遺伝子についての変異スクリーニングを行い、これまでに、新規MYOT変異による日本人初のLGMD1A家系をみいだし報告した(JNEN, 2009)。
また4例のZASP変異例を見いだし臨床筋病理学的多様性を明らかにした(論文投稿準備中)。
一方、FHL1変異がMFMと極めてよく似た筋病理像をとりうること(論文投稿準備中)や臨床的に顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーと鑑別困難な症状を取り得ること(論文投稿準備中)などを明らかにした。
これまでのヒトMFM患者変異スクリーニングの結果では、各遺伝子変異の頻度はこれまで報告されている米国のそれとは頻度が異なる。
今後、スクリーニングを進め、本邦における変異頻度を明らかにしていく。
一方、エレクトロポレーション法を用いて野生型及び変異型タンパク質をマウス骨格筋に導入・解析する基礎実験を行い、ヒト骨格筋で認められるものと同様の筋病理変化を再現しえた。
本方法はMFMの病因のスクリーニングのみならず、発症機序の解明にも非常に有用な手段であることが示唆された。
また、メダカ骨格筋に関する基礎データを得るとともに、MFM原因遺伝子の1つに変異のあるメダカについて、筋病理学的解析を行っている。
結論
MFMは近年増加傾向にある疾患であり、発症年齢や臨床症状も多彩であることから、本邦における本疾患の特徴を明らかにすることは重要である。
モデル動物を利用し、今後もMFMの病態を明らかにすべく、研究を進めてく。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-