医療観察法の運用面の改善等に関する研究

文献情報

文献番号
200935058A
報告書区分
総括
研究課題名
医療観察法の運用面の改善等に関する研究
課題番号
H21-こころ・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小山 司(北海道大学 大学院医学研究科精神学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 伊豫 雅臣(千葉大学 大学院医学研究院精神医学)
  • 八木 深(独立行政法人国立病院機構東尾張病院)
  • 角野 文彦(滋賀県健康福祉部健康推進課)
  • 松原 三郎(医療法人松原愛育会松原病院)
  • 山本 輝之(明治学院大学)
  • 三澤 孝夫(国立精神・神経センター病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
18,080,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
心神喪失者等医療観察法(以下、医療観察法)の施行に伴い、高度に専門化された「司法精神医療」が課題となっている。特に本法の執行においては多くの関係機関と職種が連携しており、それぞれの状況把握と問題点を整理した上で、基盤整備を行う必要がある。本研究は医療観察法の運用面における種々の課題について司法精神医学的観点を踏まえて研究するとともに解決方策の提示を行い、医療観察法の運用改善に資するものである。
研究方法
以下の6項目に分け、各々を分担研究者に割り当てた。①司法精神医療に携わる医師の育成と確保に関する研究(伊豫)、②司法精神医療における行政機関の役割に関する研究(角野)、③医療観察法制度全般に対する医学的視点からの評価研究(松原)、④精神保健判定医に必要な知識等の習得方法に関する研究(八木)、⑤医療観察法制度全般に対する法学的視点からの評価研究(山本)、⑥司法精神医療に携わる精神保健参与員の育成と確保に関する研究(三澤)
結果と考察
①司法精神医療に携わる医師の育成と確保に関する研究では、一般精神科医に対する聞き取り調査やアンケート調査、またWebカンファレンスを実施した。②司法精神医療における行政機関の役割に関する研究では、社会復帰を促進する要因としてネットワーク及び医療が重要であることを調査し、また保健所の医療観察制度の運用におけるマニュアル等の活用実態に関する調査を行った。③医療観察法制度全般に対する医学的視点からの評価研究では、法改正に向け改正が必要な項目の集約等を行った。④精神保健判定医に必要な知識等の習得方法に関する研究では、事例研究会を全国6か所で実施および仮想判定事例のひな形の作成を行った。⑤医療観察法制度全般に対する法学的視点からの評価研究では、フランスの法制度及び精神医療体制につき文献調査及び訪問調査を行った。⑥司法精神医療に携わる精神保健参与員の育成と確保に関する研究では、精神保健参与員の業務実態の調査及びその養成課程や研修方法等の検討を行った。
結論
一般精神科医の関心意識を高めることや精神保健判定医及び参与員の研修方法の改善により人材の質向上と確保を図ることが重要である。また各行政機関の役割を明確にし、適切な連携を構築することや制度に関する医学的問題点を明らかにし、その質を高めることも課題である。さらに学際的な法学研究により今後の必要な法整備にを検討すること等が考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-