発達障害者の適応評価尺度の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200935053A
報告書区分
総括
研究課題名
発達障害者の適応評価尺度の開発に関する研究
課題番号
H21-こころ・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
辻井 正次(中京大学 現代社会学部)
研究分担者(所属機関)
  • 安達 潤(北海道教育大学 旭川校)
  • 市川 宏伸(都立梅が丘病院)
  • 井上 雅彦(鳥取大学大学院 医学系研究科)
  • 内田 裕之(大阪大学大学院)
  • 内山 登紀夫(福島大学大学院)
  • 岩永 竜一郎(長崎大学大学院 医学総合研究科)
  • 小笠原 恵(東京学芸大学)
  • 黒田 美保(国立精神神経センター 精神保健研究所)
  • 杉山 登志郎(あいち保健医療総合センター 心療部)
  • 中村 和彦(浜松医科大学)
  • 萩原 拓(北海道教育大学 旭川校)
  • 原 幸一(徳島大学総合科学部)
  • 村上 隆(中京大学 現代社会学部)
  • 行廣 隆次(京都学園大学 人間文化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本には、幅広い年代のさまざまな生活上の困難を抱えたものの適応行動を測定するための尺度が存在せず、そのために行動上の特徴に配慮した支援サービスが行われにくい状況にある。そこで、本研究では障害児者の福祉的サービスを可能にするための評価尺度の開発を行う。広汎性発達障害の評価尺度であるPARS2の開発と普及の取り組みに加え、3年計画で国際的に最も標準的に活用されている適応尺度であるVineland AdaptiveBehavior Scale Second Edition(以下、VABS-II)の日本版を始めとした,さまざまな発達障害者の行動上の特徴や支援ニーズを測定するための尺度の開発と標準化を目的とした調査研究を行う。
研究方法
VABS-IIについては、原著者との密接な打ち合わせの上で、国内での予備的なデータ収集を定型発達群を対象として実施し、特に原著者からの指示があった、0-2歳台の乳幼児を1ヶ月ごとでデータ収集できるよう、分担研究者に加え、全国28都道府県の研究協力者に呼びかけを行い、乳児から成人まで、合わせて約1500人の男女のデータを収集した。
PARS2については、尺度項目の検討のうえ、全国28ヵ所(25都道府県)において,分担研究者や研究協力者が活動する地域に在住する広汎性発達障害群303名,定型発達群343名のデータを収集した。
結果と考察
VABS-IIについては、各項目得点ごとの分析、各下位尺度ごとの分析を行い、項目の発達に伴う順序性や、下位尺度ごでの分析でも十分な信頼性・妥当性が見出され、成人後の適応行動の個人差を評価するツールとしても有用性を持つことが示された。下位尺度のなかでの不適応尺度においても、いずれの年齢帯でもほぼ同程度の値が示されており,当尺度がいずれの年齢帯にも幅広く適用可能であることを確認できた。
PARS2については、因子分析や、関連要因などの検討の中で妥当性の検討を行い、短縮版も含め、十分な妥当性と信頼性を備えたPARS-IIが作成された。下位尺度構造から4つの下位尺度が得られ,自閉症スペクトラム障害の特徴を包括的に捉え得るものといえる。また,本研究では,カットオフポイントも明らかにした。
結論
発達障害児者の適応行動を把握するための評価尺度の開発を行い、適応行動尺度の開発においては、定型発達の全体像が把握され、次年度の尺度の完成に向けて進めることができた。また、広汎性発達障害の評価尺度においては、全国への普及可能な尺度を開発することができた。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-