統合失調症の再発予防の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200935051A
報告書区分
総括
研究課題名
統合失調症の再発予防の確立に関する研究
課題番号
H21-こころ・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
三辺 義雄(国立大学法人 金沢大学 医薬保健研究域医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 松原 三郎(医療法人財団 松原愛育会 松原病院)
  • 平田 豊明(静岡県立 こころの医療センター)
  • 小宮山 徳太郎(医療法人 栗山会 飯田病院)
  • 伊豫 雅臣(千葉大学大学院医学研究院 精神医学)
  • 渡邉 博幸(国保 旭中央病院)
  • 関根 吉統(千葉大学社会精神保健教育研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
16,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 地域医療の崩壊で精神科医療の過疎化が急速に進行している。この状況に伴い、統合失調症者が適切な医療を受けられず、再発に至る例が増大している。この事態を克服するには、新しい再発予防法の確立が望まれる。
 本研究の流れは、(1)疾患者及びその家族に再発兆候質問紙(EWSQ)を渡す、(2)患者または家族からEWSQの回答を得る、(3)患者及び家族から送信されてきた回答を解析する、(4)再発兆候が出現した場合、指示薬の内服を促すメッセージを患者及び家族に伝える、というものである。これに既存の医療資源である訪問看護を組み合わせることで、強力な再発予防治療法(CIPERS)を確立することが本研究の目的である。
研究方法
 CIPERSの有効性について検討するため、多施設共同無作為割付プラセボ対照比較試験を遂行中である。臨床試験は次の3群に分け施行される。
(1)CIPERS-PC治療プログラム群
 週に一度、患者さん及びケアギバーに電話連絡し、EWSQの回答を得る。それをCIPERS-PCへと入力する。回答がある閾値を超えると再発兆候の警告がでる。その際、訪問看護を行う。そこで、あらかじめ担当医師が処方した指示薬を内服するよう促し、1週間以内に受診するよう伝える。
(2)CIPERS-PC治療プログラム対照群
 CIPERS-PC治療プログラム群同様、週に一度の頻度で患者さん及びケアギバーに電話連絡する。この間、電話担当者が異常ありと判断した場合には、訪問看護や受診を催促する等といった、状態に応じた対応をとる。
(3)通常診療群
 通常行われている診療形態をとる。
結果と考察
 計57名が臨床試験中である。中途報告となるが、CIPERS-PC治療プログラム群ではアラートが出たものの、指示薬の迅速な内服により現在、再発例は未だ認められない。一方、CIPERS-PC治療プログラム対照群では既に2名が再発、入院となった。この結果から、CIPERS-PC治療プログラムが有効であることが推測された。
結論
 
本法が有効であることが事実であることが明らかとなれば、本法が医師不足・医療過疎化・医療費の増大といった事態を克服する能力を有していることを示唆している。このことは翻って、本法が、行政及び社会への貢献、国民の健康・医療・福祉の向上、全てにおいて貢献することを示している。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-