筋萎縮性側索硬化症・認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症・ユビキチン化封入体を伴う前頭側頭型認知症死後脳脊髄資源の構築

文献情報

文献番号
200935047A
報告書区分
総括
研究課題名
筋萎縮性側索硬化症・認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症・ユビキチン化封入体を伴う前頭側頭型認知症死後脳脊髄資源の構築
課題番号
H20-こころ・一般-024
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
村山 繁雄(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 治彦(医学研究機構 精神医学総合研究所)
  • 清水 潤(東京大学大学院医学系研究科神経内科)
  • 齊藤 祐子(国立精神神経センター臨床検査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋萎縮性側索硬化症(ALS)・認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症(ALSD)・ユビキチン化封入体を伴う前頭側頭葉変性症(FTLDU)を、原発性TAR DNA-binding protein(TDP)43蛋白蓄積症として再評価し、陰性例は、SOD1と、ALS6の責任遺伝子として単離された、FUS/ TLSでさらにスクリーニングすることで、臨床・病理・画像所見による臨床診断基準の確立、研究リソースの蓄積による病因解明と治療法の開発をめざす。
研究方法
抗TAR DNA-binding protein(TDP)43抗体免疫染色で、ALS/ ALSD/ FTLDUの再検討を行った。またTDP43遺伝子変異の有無を検討した。さらに、高齢者ブレインバンク開頭連続剖検例を、抗TDP43抗体免疫染色で網羅的に検索することで、二次性TDP43蛋白蓄積症の生物学的意義の解明を試みた。また、混合型TDP43蛋白蓄積症に分類された、Guam- Kii ALS/ パーキンソン病認知症複合体(PDC)についても検討した。TDP43陰性例にFUS/ TLS, SOD1免疫染色を行い、陽性例に遺伝子変異検索を行った。
結果と考察
 昨年度の検討で、最C末のリン酸化部位を認識する抗体のスクリーニングで、良好の結果が得られることが明らかとなり、409/410部位serineリン酸化に対する単クローン抗体(Pser409/410)によるスクリーニングを開始、コントロール脊髄120例のスクリーニングを終了した。また、ADと臨床診断されたFTLDU二例が抽出され、脊髄病変を欠くが、ALSD型の多系統萎縮を伴うことが明かとなった。抗TDP43陰性例中、FUS/ TLS陽性例として、孤発例であるが、ALS6(R512C変異) 1例、塩基性封入体を伴う若年性ALS 1例が、SOD1染色陽性でSOD1変異(G93S)例が分離された。FTLDU, non TDP43 5例中1例に、ごくわずかなFUS/ TLS陽性所見を認めた。
結論
 短期間であるが、効率よく、ALS- TDP43, FTLD- TDP43、ALS- FUS/ TLS, ALS- SOD1の脳リソース蓄積ができたが、FTLD- FUS/ TLSについては、さらなる検討が必要である。また、コントロール脊髄は一定数蓄積できたが、ALS/ ALSD/ FTLDUの脊髄リソースの枯渇が著しく、全髄節を半分ずつ凍結する方針を次年度は採用予定である。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-