反復磁気刺激によるパーキンソン病治療の確立

文献情報

文献番号
200935046A
報告書区分
総括
研究課題名
反復磁気刺激によるパーキンソン病治療の確立
課題番号
H20-こころ・一般-023
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
宇川 義一(福島県立医科大学 医学部 神経内科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 辻  貞俊(産業医科大学 医学部)
  • 梶  龍兒(徳島大学医学部)
  • 飛松 省三(九州大学 医学部)
  • 中島 健二(鳥取大学医学部)
  • 横地 房子(都立神経病院)
  • 福留 隆泰(国立病院機構長崎神経医療センター)
  • 花島 律子(東京大学医学部)
  • 生駒 一憲(北海道大学医学部)
  • 松永 薫(熊本機能病院)
  • 小森 哲夫(埼玉医科大学医学部)
  • 齋藤 洋一(大阪大学医学部)
  • 杉山 憲嗣(浜松医科大学医学部)
  • 大津 洋(東京大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、パーキンソン病の運動・非運動症状を改善できる、確実な反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)を確立することである。
研究方法
探索的臨床研究(UMIN000001576):平成20年度は統計専門家の指導のもと研究システムを確立し、補足運動野rTMSによるPD治療効果に関する探索的臨床研究を開始した。刺激頻度依存性の探索のため高頻度・低頻度刺激群、シャム刺激群の並行群間比較試験とし、評価項目は運動・非運動症状とした。また、平成19年度までに行った補足運動野rTMS試験のサブ解析を行い、どの症状に効果があったか検討した。
より効果的な刺激方法の確立:当初の計画にあったrTMSの作用機序の解明を発展させ、より効果的な刺激方法の開発も並行して行うこととした。新しい刺激法としてQuadripulse stimulation (QPS)、単相性・2相性rTMSの比較に関する研究を行った。
全国アンケート調査:非運動症状の現状把握のため、頻度・治療状況を全国調査を行った。
結果と考察
探索的臨床研究:実施計画策定・システム構築により信頼性の高いデータの蓄積が可能となった。症例登録数は平成21年度末には約70例の予定で、ほぼ計画通り計画が進行している。またサブ解析では手足の運動に効果があることが判明した(Hamada et al., J Neurol Sci, 2009)
より効果的な刺激法の確立:従来の刺激方法よりも強力な効果を正常者で誘発する新しい単相性不均一rTMS(QPS)を報告した(Hamada et al., J Physiol, 2008)。従来のものより効果も強く、持続時間の長い効果を正常人で誘発できた。またシナプス可塑性の恒常性維持機構として提唱されているBCM理論に合致する形で、運動皮質可塑性が変化することを示し近年注目されているメタ可塑性との類似性を示した(Hamada et al., J Physiol, 2009)。
全国アンケート調査:全国の神経内科学会の評議員599人にパーキンソン病の非運動症状に関するアンケートを実施し、便秘、認知障害、排尿障害、うつ症状、幻視を中心に解析する方針を決定した。
結論
探索的臨床研究については信頼性の高いデータの蓄積が可能となり、これまで以上にエビデンスレベルの高い結果を得られると考えられる。またサブ解析により運動症状のなかでも補足運動野と関連の深い手足の運動に効果がる事が判明した。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-