神経・筋疾患のRNAiを用いた画期的治療法の開発

文献情報

文献番号
200935042A
報告書区分
総括
研究課題名
神経・筋疾患のRNAiを用いた画期的治療法の開発
課題番号
H20-こころ・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 脳神経病態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 横田 隆徳(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 脳神経病態学分野 )
  • 木村 展之(独立行政法人医薬基盤研究所・霊長類医科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、アルツハイマー病などの神経変性疾患や脳血管障害、多発性硬化症、ウイルス感染症などに対するsiRNAを用いた画期的治療法の開発を推進する。
研究方法
対象疾患に対する特異的siRNAを設計し培養細胞にてその効果を評価するとともに、ベクターとデリバリーの改良を進め動物モデルの治療を目指す。また、様々な副作用を検証しそれを克服しつつ臨床応用へ近づける。
結果と考察
家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)の遺伝子治療のために、shRNA発現AAV8の静脈投与でカニクイザルの肝臓の内因性SOD1の発現を、顕著にかつ安全に抑制することに成功し、shRNAのFAPへの臨床応用に大きく前進した。また、カニクイザルの頸髄前角細胞にAAV1ベクターで野生型TDP-43を過剰発現させ、進行性の前肢運動麻痺、電気生理学的な正中神経の運動神経軸索興奮の消失、脊髄前角細胞におけるTDP-43局在等の異常を惹起させることに成功し、遺伝子治療研究に活用可能な孤発性 ALSの霊長類モデルへの道を拓いた。
結論
FAPに対するsiRNA遺伝子治療のためにカニクイザルにて、標的臓器である肝臓の内因性分子を効率よく抑制し副作用のないAAVベクターの開発に成功した。また、TDP-43過剰発現による孤発性ALSのカニクイザルモデルを開発し、siRNAによる遺伝子治療研究においてさらなる発展が期待される。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-