文献情報
文献番号
202318034A
報告書区分
総括
研究課題名
ワンヘルス動物由来感染症サーベイランスの全国展開に向けた基盤構築に資する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23HA2010
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
前田 健(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
- 香月 進(福岡県保健環境研究所)
- 山本 晃久(徳島県食肉衛生検査所)
- 澤 洋文(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター)
- 岡林 環樹(宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター)
- 宇田 晶彦(国立感染症研究所 獣医科学部)
- 鈴木 道雄(国立感染症研究所獣医科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
22,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新型コロナウイルス感染症はコウモリ、サル痘はげっ歯類から由来する動物由来感染症であり、公衆衛生上の問題となっている。国内でもマダニ媒介感染症である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスは人のみならず犬や猫での発症、北海道で新たに発見されたYezoウイルスなど新たな脅威が発生している。また、伴侶動物由来コリネバクテリウム・ウルセランスの動物から人への感染は、ジフテリアに対するワクチンを接種しているために大きな問題となっていないが、ジフテリアと同じ毒素を有しており、今後脅威となる可能性も否定できない。更に、野生動物が保有するレプトスピラ菌は現在も動物および人へ感染し、洪水発生時には問題となることが多い。異常気象が増えてきた昨今、レプトスピラによる動物および人への感染が更なる問題となることも危惧される。また、北海道における地方病と考えられていたエキノコックスが愛知県で見つかるなど、感染拡大が危惧される感染症もある。代表的な感染症を列挙したが、人は感染症法、生産動物は家畜伝染病予防法により感染症の発生が調査されているが、伴侶動物や野生動物における感染症はほとんど報告されていないのが現状である。このような現状に対応するためにOne Healthアプローチが求められている。人・生産動物・伴侶動物・野生動物の感染症を総合的にとらえ、国民・行政・医師・獣医師・研究者が分野横断的に対策をとることが求められる。
研究方法
各研究分担者が以下の項目に関して研究を実施した。
1) 研究総括とワンヘルス推進の拡大に向けた検討
2) 地域のワンヘルス推進に関する取組のモデル事例の検討に関する研究
3) 徳島県内の愛玩動物、野生動物、産業動物におけるSFTSの浸潤状況調査に関する研究
4) ワンヘルスの概念に基づく、特殊検査の実施と資料バンクの構築
5) 宮崎大学のワンヘルス推進に関する取り組み
6) 動物由来感染症発生動向調査のためのシステム開発
7) 動物由来感染症対策マニュアルの検討
1) 研究総括とワンヘルス推進の拡大に向けた検討
2) 地域のワンヘルス推進に関する取組のモデル事例の検討に関する研究
3) 徳島県内の愛玩動物、野生動物、産業動物におけるSFTSの浸潤状況調査に関する研究
4) ワンヘルスの概念に基づく、特殊検査の実施と資料バンクの構築
5) 宮崎大学のワンヘルス推進に関する取り組み
6) 動物由来感染症発生動向調査のためのシステム開発
7) 動物由来感染症対策マニュアルの検討
結果と考察
1)研究班の統括、シンポジウムの開催と動物由来感染症に関する情報発信、ワンヘルスに係る情報収集とその対策、地方における新規ワンヘルスに係る取り組みを推進した。
2)地域のワンヘルス推進に関する取組のモデル事例として、二つの課題「動物由来感染症起因病原体の網羅的探索」と「野生生物生息状況把握手法開発」に取組んだ。また、「動物由来感染症病原体の網羅的探索」では、福岡県におけるワンヘルスアプローチを九州地域に展開するため、九州各県と協力・連携して取り組み地域の課題を共有することができた。
3)徳島県内の愛玩動物及び野生動物の血清又は血漿を対象として、SFTSV抗体をELISA法により検査した結果、犬1.4%、猫0.6%、イノシシ20.3%で抗体の保有が確認され、検体採取場所を基に、徳島県におけるSFTSVのリスクマップを作成した。さらに、この研究結果等に基づいた啓発用パンフレットを作成し、県内の病院、動物病院及び動物愛護センターなどの施設に配布し、県民への周知を図った。また、ヒト患者発生地域で飼育された産業動物(牛及び豚)の血清を対象として、SFTSV抗体をELISA法により検査した結果、全て陰性であった。
4) ワンヘルスの概念に基づく、特殊検査の実施と資料バンクの構築を行った。
5)宮崎ワンヘルス連携の拡充として「新興再興感染症の研究促進に資する病原体レポジトリの形成と研究基盤整備 」、「宮崎県内で発生する人獣共通感染症病原体の調査及びその性状解析に関する共同研究」による臨床検体及びその情報の共有化システムを確立した。宮崎ワンヘルス研究の推進としてSFTS疑い犬猫の検査を実施し、ネコで27.5%、イヌで2%のSFTS陽性を確認した。また県内の犬猫における抗体調査により、ネコで0.3%、イヌ9.4%の抗体保有率を確認した。マダニにおける調査を実施したが、204匹を対象にした検査では、SFTSV保有マダニは確認できなかった。
6)野生動物死亡個体数調査(DAS)システム改修のおよび愛玩応物の検査管理・集計システムの構築を行った
7)動物由来感染症サーベイランスのガイダンスの種類の拡充、同ガイダンスを活用した各種研修、疫学調査を実施した。
2)地域のワンヘルス推進に関する取組のモデル事例として、二つの課題「動物由来感染症起因病原体の網羅的探索」と「野生生物生息状況把握手法開発」に取組んだ。また、「動物由来感染症病原体の網羅的探索」では、福岡県におけるワンヘルスアプローチを九州地域に展開するため、九州各県と協力・連携して取り組み地域の課題を共有することができた。
3)徳島県内の愛玩動物及び野生動物の血清又は血漿を対象として、SFTSV抗体をELISA法により検査した結果、犬1.4%、猫0.6%、イノシシ20.3%で抗体の保有が確認され、検体採取場所を基に、徳島県におけるSFTSVのリスクマップを作成した。さらに、この研究結果等に基づいた啓発用パンフレットを作成し、県内の病院、動物病院及び動物愛護センターなどの施設に配布し、県民への周知を図った。また、ヒト患者発生地域で飼育された産業動物(牛及び豚)の血清を対象として、SFTSV抗体をELISA法により検査した結果、全て陰性であった。
4) ワンヘルスの概念に基づく、特殊検査の実施と資料バンクの構築を行った。
5)宮崎ワンヘルス連携の拡充として「新興再興感染症の研究促進に資する病原体レポジトリの形成と研究基盤整備 」、「宮崎県内で発生する人獣共通感染症病原体の調査及びその性状解析に関する共同研究」による臨床検体及びその情報の共有化システムを確立した。宮崎ワンヘルス研究の推進としてSFTS疑い犬猫の検査を実施し、ネコで27.5%、イヌで2%のSFTS陽性を確認した。また県内の犬猫における抗体調査により、ネコで0.3%、イヌ9.4%の抗体保有率を確認した。マダニにおける調査を実施したが、204匹を対象にした検査では、SFTSV保有マダニは確認できなかった。
6)野生動物死亡個体数調査(DAS)システム改修のおよび愛玩応物の検査管理・集計システムの構築を行った
7)動物由来感染症サーベイランスのガイダンスの種類の拡充、同ガイダンスを活用した各種研修、疫学調査を実施した。
結論
1) 福岡県・徳島県・北海道・宮崎県で地域ワンヘルスアプローチの取り組みを展開した。
2) 国内の野生動物及び愛玩動物由来感染症サーベイランスのガイダンスに基づき、野生動物・伴侶動物において動物由来感染症の検査体制を構築し、ガイダンスを更新した。
3) 動物における感染症の発生をリアルタイムに情報収集するためのシステムを構築した。
4) 動物由来感染症に関する情報収集と情報提供を行った。
本研究班の全国的な拡大が求められる。
2) 国内の野生動物及び愛玩動物由来感染症サーベイランスのガイダンスに基づき、野生動物・伴侶動物において動物由来感染症の検査体制を構築し、ガイダンスを更新した。
3) 動物における感染症の発生をリアルタイムに情報収集するためのシステムを構築した。
4) 動物由来感染症に関する情報収集と情報提供を行った。
本研究班の全国的な拡大が求められる。
公開日・更新日
公開日
2025-01-06
更新日
-