大規模災害や犯罪被害等による精神科疾患の実態把握と介入手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200935032A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模災害や犯罪被害等による精神科疾患の実態把握と介入手法の開発に関する研究
課題番号
H20-こころ・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
金 吉晴(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 成人精神保健研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 川上 憲人(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 前田 正治(久留米大学医学部 )
  • 加茂 登志子(東京女子医科大学付属女性生涯健康センター)
  • 小西 聖子(武蔵野大学 人間関係学部)
  • 松本 俊彦(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 自殺予防総合対策センター)
  • 松岡 豊(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 成人精神保健研究部)
  • 中島 聡美(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 成人精神保健研究部)
  • 鈴木 友理子(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 成人精神保健研究部)
  • 栗山 健一(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 成人精神保健研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
16,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
災害、犯罪被害によるPTSD等の精神的被害は国民的関心事であり、データに基づいた実証的な研究、介入法の開発、ガイドラインの作成
研究方法
国際的なガイドラインならびにエビデンス文献の系統的レビュー。日本におけるデータ収集として、3次救急に搬送された交通事故被害者、新潟中越等の地震被災者、DV等の犯罪被害者、トラウマと触法の関係についての実態・追跡調査を実施し、被災者、被害者の精神的被害の自然経過を追跡する。
結果と考察
国際的なPTSD医療ガイドラインの資料収集、WMH調査の結果解析を終え、今後のガイドラインの骨格となるべき情報を収集した。1.交通事故被害者、2.DV被害母子および性暴力被害者、3.新潟中越大地震被災者を対象に、前方視的追跡調査を行っており、1.救急搬送患者の追跡研究は300名の組み入れを終了し、事故後6ヶ月時点における構造化面接結果の解析を進めている。2.DV被害母子は組み入れが予定数に達し解析作業中である。3.新潟中越大地震の3500人被災者の追跡研究の結果が集計され、英文投稿中である。また横断研究として、4.中越沖被災者実態調査、5.触法青少年のトラウマと触法行為に関する調査、6.WHOのWMH研究の面接データによるライフイベントとPTSDおよび併存疾患との関連の解析を行った。治療効果研究としての7.PTSDに対するエクスポージャー療法のRCTは継続中である。8.トラウマ被害後の睡眠剥奪によってPTSD発症を劇的に減じる可能性を示唆する結果を得た。9.日本女性心身医学会に対し、性暴力被害者の治療対応について自記式のアンケート調査を行い、実態の把握を行った。
結論
これまでのエビデンス研究のレビュー並びに得られた研究データからは、トラウマ被害の後でPTSDなどの精神疾患を発症する者の割合は20-30%程度であり、また自然災害ではさらに住民の精神的な回復は良好である。平成22年度は、エビデンスをさらに集積し、トラウマ被害への合理的な対策を立てるとともに、実際の対応のための訓練に生かしたい。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
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