1歳からの広汎性発達障害の出現とその発達的変化:地域ベースの横断的および縦断的研究

文献情報

文献番号
200935027A
報告書区分
総括
研究課題名
1歳からの広汎性発達障害の出現とその発達的変化:地域ベースの横断的および縦断的研究
課題番号
H20-こころ・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
神尾 陽子(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小山 智典(国立精神・神経センター 精神保健研究所 )
  • 稲垣 真澄(国立精神・神経センター 精神保健研究所 )
  • 土屋 賢治(浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター)
  • 高木 晶子(国立秩父学園)
  • 川上 憲人(東京大学大学院医学系研究科)
  • 中井 昭夫(福井大学医学部)
  • 田中 康雄(北海道大学大学院教育学研究院付属子ども発達臨床研究センター)
  • 藤野 博(東京学芸大学 コミュニケーション障害学)
  • 三島 和夫(国立精神・神経センター 精神保健研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders: PDD)の一般児童母集団内での有病率や症状の分布および、注意欠陥/多動性障害、学習障害、発達性協調運動障害などPDD以外の発達障害症候群や情緒・行動の問題との合併を明らかにする疫学データベースを構築することである。
研究方法
対象には2歳から3歳にかけての幼児と、学童、の異なる発達段階にある年齢帯を選んだ。本年度は、本研究の中核となる幼児および学童についてのスクリーニングと評価面接を組み合わせた疫学調査を実施した。研究の方法論については、実施する地域の諸事情を考慮に入れて、精度を高くかつコストを抑制しうる最適な方法論を検討し、計画に反映させた。わが国で使用可能な、信頼性と妥当性が確認された評価尺度が乏しい現状があるため、複数の評価尺度の心理学的検討も本研究の一部として実施した。幼児研究は自治体の母子保健事業と連携して発達障害の早期発見・早期支援システムの導入と表裏一体で実施しているため、自治体のシステムの精度のみならず、制度改善を目的とした取り組みや個別ケースへの評価バッテリーの有用性などについても検討した。疫学情報としては発達面以外にも気質や睡眠についても疫学データを分析した。
結果と考察
一般母集団における気質と育児ストレスの関連、睡眠習慣や睡眠障害の分布や頻度が明らかにされた。学度研究としては本年度の結果からは、PDD様行動を示すと担任教師に評定された児童は、従来のPDD有病率よりも高い数%程度に見出され、2002年の文部科学省の全国調査結果をおおむね支持する。さらに対人的困難を多く持つ児童は、同時に多動・不注意・衝動性、情緒・行動、不器用などの問題も対人的困難の程度と平行して合わせもつという合併の多さを示唆する結果が得られた。
結論
本研究は、疫学研究として精度の高い有病率を推測するという伝統的な疫学研究の目的も実行可能であるが、さらにそれに加えて従来の疫学研究とは異なるユニークな目的のもとに計画・実施され、合併や閾下ケースについての知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2010-08-31
更新日
-