文献情報
文献番号
200935026A
報告書区分
総括
研究課題名
精神科薬物療法アルゴリズムの最適化と均てん化に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-こころ・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 元一郎(慶應義塾大学 医学部精神神経科)
研究分担者(所属機関)
- 大久保善朗(日本医科大学 精神医学教室)
- 本橋伸高(山梨大学 大学院医学工学総合研究部精神神経医学講座)
- 渡邊衡一郎(慶應義塾大学 医学部精神神経科)
- 齊藤卓弥(日本医科大学 精神医学教室)
- 落 裕美(久留米ヶ丘病院)
- 原 広一郎(浅井病院)
- 鈴木健文(井之頭病院)
- 岸本泰士郎(大泉病院)
- 田 亮介(駒木野病院)
- 稲垣 中(慶應義塾大学 大学院健康マネジメント研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
統合失調症とうつ病に関してエビデンスに基づいた薬物療法アルゴリズムを作成し、アルゴリズムによる治療群(ALGO: Algorithm-guided treatment)と従来治療による治療群(TAU: treatment as usual)の比較を行う多施設共同介入研究によって、従来治療に対するアルゴリズム治療の有効性を検討する。これにより、我が国の実情に即した薬物療法アルゴリズムの確立・検証を行い、薬物療法の最適化と均てん化をはかることを目的とする。
研究方法
統合失調症薬物療法アルゴリズムの実施のために、まずアルゴリズムの作成と実行可能性の検討を行い、また、measurement-based careの実現のためのアルゴリズム研究専任のクリニカルコーディネーターの設定、および主治医と独立した評価者による臨床転帰評価の信頼性の検討を行った。本年度は、14名の臨床心理士に特別の訓練を行い、primary measuresであるPANSSの信頼性を確立した。また、臨床心理士および医師によるその他の評価も問題なく実行できることを確認した。
結果と考察
現在のところ、18例の統合失調症例が、同意の上登録され、薬物療法が開始され、追跡的な転帰評価が行われている。ALGO群とTAU群との比較を行う多施設共同介入研究を実行する際には、まず、症例の導入に関する基本的ルールの明確化を行うこと、アルゴリズム運用のための基本的ルールを設定すること、さらに症例の背景データ・処方薬物療法・CGIやPANSSなどの転帰情報・PANSSの改善率の入力・解析システムの開発を行い、そのデータをクリニカルコーディネーターに伝えるシステムの設定を行うこと、そして、クリニカルコーディネーターによるアルゴリズムの運用を管理する方法を明確化することが重要である。現在、これらが完成し、症例のエントリーが続けられている。今後、作成した薬物療法アルゴリズムを多施設でさらに適用し、ALGO群とTAU群の比較により、アルゴリズムの有効性を実証し、我が国の実情に即したアルゴリズムの確立・検証を行うことが重要である。
結論
統合失調症やうつ病に対する精神科薬物療法ガイドラインの早急な整備が必要と思われる。このためには、薬物療法アルゴリズムの確立が必須である。本邦では、アルゴリズムによる治療群と従来治療による治療群の比較を行った研究によってアルゴリズムの有効性を評価した研究は少ない。本研究では、わが国の多剤大量処方の現状を踏まえた上で、科学的データに基づいた薬物療法アルゴリズムの最適化と均てん化を行いたい。
公開日・更新日
公開日
2010-08-31
更新日
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