文献情報
文献番号
202317047A
報告書区分
総括
研究課題名
失語症者の社会実態を踏まえた障害認定基準の検証と失語症者の自立と社会経済活動への参加に繋がる福祉サービスについての研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23GC2002
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
三村 將(慶應義塾大学 予防医療センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
3,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
失語症は現行の保険福祉制度のもとでは身体障害者手帳の対象疾患である。しかしながら、失語症は身体障害者障害程度等級表においては、「音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害」に分類されるが、この障害領域は他の身体障害領域とは質的に大きく異なっている。失語症が該当する「音声機能、言語機能又はそしゃく機能」においては機能の「喪失」が3級、さらに「機能の著しい障害」が4級相当になっており、失語症の障害認定は他よりも厳しい水準であると言える。そのため、重度失語症者や運動麻痺の少ない失語症者の協力を得て、失語症によって復職や社会参加がどの程度困難になっているかを明らかにし、復職や社会参加のためにはどのような社会福祉サービスが必要であるかを検証すること目的とする。
研究方法
失語症者およびその介護者204名が研究に参加し、質問紙評価を行った。失語症者は20歳から85歳の平均年齢59.8歳の男性150名、女性54名であり、失語症発症から平均51.6カ月経過している。失語症者の60%が脳梗塞であり、約半数が軽度の流暢性失語であった。運動麻痺を有する失語症者は25%であり、麻痺があってもほとんどが移動手段は独歩であり、上肢機能は実用手のごく軽度麻痺であった。失語症発症後6カ月以上経過している対象者(151名)のうち身体障害者手帳を取得しているのは約30%であり、身体障害者手帳を取得していない失語症者の約10%が精神保健福祉手帳を有していた。また、そのうち25%は退職後であったが、約30%が障害者雇用を含む就労をしていた。65歳以上の失語症者77名の約25%がデイサービスなどの介護保険サービスを利用していた。上記をはじめとする失語症者の基礎情報と質問紙結果との関連を調べるため統計解析を行った。
結果と考察
本研究では、運動麻痺の少ない失語症に対し、QOLや社会参加の程度、社会参加を困難にする要因について質問紙を用いて失語症者あるいはその日常生活をよく知る介護者に評価してもらうことで、失語症による社会生活の困難さが明らかとなった。
結論
失語症の重症度は日常生活上のコミュニケーションだけでなく、社会参加、ひいてはQOLに影響する。また、失語症は身体障害者手帳の対象ではあるが、失語症のみで身体障害者手帳を取得することは少なく、他の身体疾患を合併することで取得され、身体障害者手帳の取得や等級区分が失語症重症度に反映されていないと考えられた。失語症重症度に応じた就労を含む社会参加を促す福祉サービスを充実させることで、失語症者の社会参加を促し、QOL向上が期待されると考えられた
公開日・更新日
公開日
2024-06-12
更新日
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