文献情報
文献番号
202317028A
報告書区分
総括
研究課題名
地域生活支援拠点等におけるコーディネーターに求められる役割や業務等の明確化のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23GC1006
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 直樹(学校法人日本社会事業大学 大学院福祉マネジメント研究科)
研究分担者(所属機関)
- 大村 美保(筑波大学人間系)
- 須江 泰子(日本社会事業大学 専門職大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
10,636,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、自治体や地域生活支援拠点等に対して、拠点コーディネーターの緊急時の受け入れ・対応、地域生活への移行・継続の支援、地域の体制づくり等で果たす役割や業務内容、課題等について調査し、先行研究も踏まえながら拠点コーディネーターの役割や業務、基幹相談支援センターとの役割分担や連携に関するガイドブックを作成し、拠点コーディネーターによる地域生活支援拠点等の効果的な運用に資することを目的とする。
研究方法
1)研究委員会の設置
研究代表者、研究分担者、研究協力者による研究委員会を設置し、アンケートによる量的調査及び臨床研究の結果分析、ガイドブックの内容等について協議する。
(1)アンケート調査
市町村における、地域生活支援拠点等コーディネーターの配置状況、役割と業務内容、課題、基幹相談支援センターとの役割分担について実態を把握する。
(2)調査対象の属性・要件
全国の市区町村(悉皆調査)
1) 全国の拠点整備済み市区町村(令和4年4月1日現在)の障害保健福祉担当部局担当者
2) 1)の市区町村に配置される拠点コーディネーター
(3)調査票の配布数
1,741市区町村
3)拠点コーディネーターと基幹相談支援センターとの連携・協働好事例の収集
(1)事例数 10事例
鹿児島市(鹿児島県)、千葉市(千葉県)、印旛圏域(印西市、酒々井町、栄町)(千葉県)、埼葛北圏域(蓮田市、幸手市、白岡市、宮代町、杉戸町)(埼玉県)、半田市(愛知県)、西宮市(兵庫県)、尼崎市(兵庫県)、北信圏域(中野市、飯山市、木島平村、栄村、山ノ内町、野沢温泉村)(長野県)、八王子市(東京都)、栃木市(栃木県)
(2)調査方法
拠点コーディネーター及び基幹相談しセンター担当者に対してインタビュー調査を行い、録音を逐語録に反訳し、質的に分析した上で概要をまとめた。
4)試行的拠点コーディネーター配置によるガイドブック検証調査
地域生活支援拠点等及び基幹相談支援センター整備済みで、拠点コーディネーター未配置の埼玉県東松山市(人口90,460人)を所在地とする社会福祉法人昴に委託し、拠点コーディネーター1名を試行的に配置し、本研究事業で開発する拠点コーディネーターガイドブックを踏まえた業務を行なわせ、ガイドブックで示した拠点コーディネーターの業務や役割の実行可能性や妥当性、基幹相談支援センターとの役割分担について検証し、アンケート調査、インタビュー調査の結果を反映させてガイドブックを完成させる。
研究代表者、研究分担者、研究協力者による研究委員会を設置し、アンケートによる量的調査及び臨床研究の結果分析、ガイドブックの内容等について協議する。
(1)アンケート調査
市町村における、地域生活支援拠点等コーディネーターの配置状況、役割と業務内容、課題、基幹相談支援センターとの役割分担について実態を把握する。
(2)調査対象の属性・要件
全国の市区町村(悉皆調査)
1) 全国の拠点整備済み市区町村(令和4年4月1日現在)の障害保健福祉担当部局担当者
2) 1)の市区町村に配置される拠点コーディネーター
(3)調査票の配布数
1,741市区町村
3)拠点コーディネーターと基幹相談支援センターとの連携・協働好事例の収集
(1)事例数 10事例
鹿児島市(鹿児島県)、千葉市(千葉県)、印旛圏域(印西市、酒々井町、栄町)(千葉県)、埼葛北圏域(蓮田市、幸手市、白岡市、宮代町、杉戸町)(埼玉県)、半田市(愛知県)、西宮市(兵庫県)、尼崎市(兵庫県)、北信圏域(中野市、飯山市、木島平村、栄村、山ノ内町、野沢温泉村)(長野県)、八王子市(東京都)、栃木市(栃木県)
(2)調査方法
拠点コーディネーター及び基幹相談しセンター担当者に対してインタビュー調査を行い、録音を逐語録に反訳し、質的に分析した上で概要をまとめた。
4)試行的拠点コーディネーター配置によるガイドブック検証調査
地域生活支援拠点等及び基幹相談支援センター整備済みで、拠点コーディネーター未配置の埼玉県東松山市(人口90,460人)を所在地とする社会福祉法人昴に委託し、拠点コーディネーター1名を試行的に配置し、本研究事業で開発する拠点コーディネーターガイドブックを踏まえた業務を行なわせ、ガイドブックで示した拠点コーディネーターの業務や役割の実行可能性や妥当性、基幹相談支援センターとの役割分担について検証し、アンケート調査、インタビュー調査の結果を反映させてガイドブックを完成させる。
結果と考察
拠点コーディネーターガイドブック作成を通して、地域生活支援拠点等に配置される拠点コーディネーターは、緊急事態に対して直接対応する役割から、平時において利用者に関わる障害福祉サービス事業所が緊急事態に対応するための備えを進めることを促進する間接的な役割にシフトしていることを示した。そのための拠点コーディネーターのパトナーとなる「拠点連絡担当者」を障害福祉サービス事業所等において定めておくことが有用なこと、強度行動障害、医療的ケアなど対応が難しい利用者に対しては、特に入念な生活実態の把握と緊急事態への対応案が必要なこと、そのためには、緊急事態に対して受動的に対応するのではなく、平時に能動的に対応することが重要であること、地域生活を継続するために、平時に体験利用を進めることが必要であることを示した。
地域移行の取組を促進するためには、地域移行を待っているのではなく、施設入所者、長期入院患者の地域生活への移行の意向把握を自治体が全利用者に対して積極的に行うことが重要であること、拠点コーディネーターを含め、地域が「ワンチーム」になって地域生活の安心・継続、地域移行を進め、拠点コーディネーター任せにしない体制をつくりあげることが重要であることを示した。
地域移行の取組を促進するためには、地域移行を待っているのではなく、施設入所者、長期入院患者の地域生活への移行の意向把握を自治体が全利用者に対して積極的に行うことが重要であること、拠点コーディネーターを含め、地域が「ワンチーム」になって地域生活の安心・継続、地域移行を進め、拠点コーディネーター任せにしない体制をつくりあげることが重要であることを示した。
結論
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定によって、拠点コーディネーターを配置するための財源が、これまでの地域生活支援事業(市町村任意事業)から、個別給付の加算として位置づけられ、厚生労働省より発出された「地域生活支援拠点等・ネットワーク運営推進事業の実施について」「地域生活支援拠点等の整備の推進及び機能強化について」という2つの通知によって、地域生活支援拠点等の整備推進と拠点コーディネーターの役割の整理と明確化が行われ、地域生活支援拠点等の整備を通じた地域支援ネットワークの強化が示された。本研究事業で作成した拠点コーディネーターガイドブックは、これらの情報も反映させた内容となっており、今後、各市町村において地域生活支援拠点等を整備し、拠点コーディネーターの配置を通じて、機能の充実を図ることができる内容とすることができた。
公開日・更新日
公開日
2024-05-31
更新日
2024-07-08