研修と実地教育(OJT)が有機的に連動した相談支援専門員養成体制の構築手法の確立のための研究

文献情報

文献番号
202317026A
報告書区分
総括
研究課題名
研修と実地教育(OJT)が有機的に連動した相談支援専門員養成体制の構築手法の確立のための研究
課題番号
23GC1004
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
相馬 大祐(長野大学 社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤 温(筑波大学 人間系)
  • 大村 美保(筑波大学人間系)
  • 鈴木 敏彦(淑徳大学)
  • 岡田 隆志(福井県立大学 看護福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,295,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では先行研究の知見を踏まえ、研修の実施主体である都道府県と業務実施地域での実地教育体制の整備主体である市町村や事業所が、有機的・効果的に連動するための方策を明らかにすることを目的とする。
研究方法
2023年度は質問紙調査とインタビュー調査を実施した。質問紙調査は都道府県、市町村、基幹相談支援センターと相談支援専門員の人材育成を行う機関に対して、人材育成の取り組み状況について明らかにする調査を行った。インタビュー調査では、法定研修と業務実施地域でのOJTを連動させながら取り組んでいる4県及び6市町・圏域における自治体職員及びアドバイザー、基幹相談支援センター職員等を対象に行った。
結果と考察
都道府県、市町村、基幹相談支援センターには相談支援専門員の人材育成に関して、それぞれに期待される役割が先行研究により指摘されている(小澤2023)。その役割と本質問紙調査の結果を比較すると、基幹相談支援センターは期待される役割を担っている実態がうかがえた。一方、都道府県、市町村には課題が明らかになった。まず、都道府県である。市町村調査により相談支援専門員が不足していると77%の市町村が回答している実態にも関わらず、市町村支援として、相談支援専門員の配置状況や人材育成について関わる都道府県が少ない傾向にあることがうかがえた。次に、市町村は、基幹相談支援センターによる人材育成の取り組み内容について把握しているのは42%にとどまっていた。また、法定研修のインターバル実習の関わりについては無回答の市町村が多い傾向にあり、関心の低さがうかがえた。このように、都道府県、市町村は相談支援専門員の人材育成の取り組みへの関心は低調と言わざるを得ない実態が明らかになった。その中で、相談支援専門員の人材育成の実績のある都道府県、市町村を対象にした質的研究を実施し、取り組みが低調な都道府県、市町村に対して情報提供をしていくことが効果的であると考えられる。
本調査の結果から法定研修と業務実施地域における実地教育の連動していくための要素として、3点を考察した。まず、1点目は①人材育成ビジョンが地域全体の構造を示しており、行政計画と関連させているかどうかである。次に、②法定研修を軸に支援者支援等を担える人材を育成するという点である。3点目に、③業務実施地域におけるOJTを多様な主体が担うとともに、受講者の環境に配慮した方法で提供することである。これら3点はそれぞれが連動しているとも考えられる。
結論
質問紙調査およびインタビュー調査を実施した結果として、3点を指摘したい。
まず、質問紙調査の結果として、基幹相談支援センターが業務実施地域の実地教育を行っている実態がうかがえた。一方、都道府県、市町村は相談支援専門員の人材育成の取り組みへの関心は低調と言わざるを得ない実態が明らかになった。
次に、インタビュー調査からは法定研修と業務実施地域における実地教育が連動していくための要素として、①人材育成ビジョンが地域全体の構造を示しており、行政計画と関連させている、②法定研修を軸に支援者支援等を担える人材を育成する、③業務実施地域におけるOJTを多様な主体が担うとともに、受講者の環境に配慮した方法で提供することの3点を指摘した。これらの3点が連動することにより、法定研修と業務実施地域の実地教育の連動が可能になると考えられた。
最後に、相談支援専門員の人材育成に関する取り組みが低調な都道府県、市町村に対し、上記のような要素を伝える手段を開発する必要性が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2024-05-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202317026Z