障害者自立支援機器開発コーディネーター育成プログラムの開発に資する研究

文献情報

文献番号
202317025A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者自立支援機器開発コーディネーター育成プログラムの開発に資する研究
課題番号
23GC1003
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
二瓶 美里(国立大学法人東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 芳賀 信彦(国立障害者リハビリテーションセンター )
  • 松田 雅弘(順天堂大学 保健医療学部)
  • 西浦 裕子(岩元 裕子)(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 蜂須賀 知理(有光 知理)(東京大学 大学院情報学環(兼任:大学院新領域創成科学研究科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,943,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 障害者のための自立支援機器の開発は、ニーズや障害種別、心身機能特性、生活環境が多様化しており個々の市場が小さいため、アイデア創出から製品化までの工程の効率化が必要である。しかし現状では、アイデア創出から実現可能性評価、試作機器の製作、安全性評価、モニター評価等、開発工程における次の段階へ進む際の検証項目について有効なステージゲートやその基準が設定されておらず、製品化及び事業化を阻害する要因となっている。
 また、ステージゲートを通過するために技術者を支援する医療従事者が求められるが、開発工程や評価項目を理解し、開発者と現場との懸け橋となる人材は限られている。そこで、各ステージで適切な支援を行うことができ、異業種連携かつチームアプローチの管理ができるコーディネーター人材を育成する必要がある。
 コーディネーター人材は、臨床現場での専門性に加え機器開発の知識や経験が求められるが、全てを習得するにはワークショップやモニター評価等の実践経験を要す。評価が可能な人材を増やし、経験や知識を積むための評価人材データベースや、コーディネーターの活動を支援するツールの開発が求められる。
 そこで本研究では、ステージゲート法を支援機器開発に援用し、各ステージにおける検証項目の明確化と、それらを運用するための各ステージに適した支援を行うコーディネーターの人材育成プログラム及び支援ツールの開発を行うことを目的とする。
研究方法
本研究では、1. 自立支援機器の開発段階ステージゲート基準の作成、2. 自立支援機器開発コーディネーターの人材育成プログラムの開発を実施する。
1. 自立支援機器の開発段階ステージゲート基準の作成:自立支援機器開発促進事業等の評価経験者に対してステージゲート評価基準に関するヒアリング調査を実施する。同時に当該分野においてステージゲート法を用いた国内外の調査を実施し、基準の設計と工学・医学専門家の議論を踏まえた基準の作成を行う。作成した基準は実際の評価等での試験的利用することで妥当性の検証を行い、またコーディネーター経験者によるステージゲート基準の評価改良を行う。
2.自立支援機器開発コーディネーターの人材育成プログラムの開発:支援機器開発に関わる医療職の現状と実態調査を行い、学校教育やリカレント教育など領域別の普及戦略を提案する。また、地域人材の充足率や必要人数などについても議論し、目標を設定する。コーディネーターの人材育成については、コーディネーター経験者への調査を実施し、各ステージに必要な能力や知識を明確化し、チェックシートを作成する。さらに、これらの調査結果を基に、コーディネーター用の教育教材、人材教育e-learning、コーディネーター支援のための評価人材データベースを含む人材育成プログラムを開発し、各職能団体や学会等を通じて人材の登録及びコーディネーター経験者への試験的運用を目指す。
結果と考察
先行事業等調査により3Phaseの開発段階、3つのステージゲートからなる開発段階ステージゲート案が提案された。また、それらに必要な12の評価項目が抽出された。アンケート調査では、コーディネーター人材に必要とされる知識や専門性は、工学や医学だけでなく、障害や生活まで幅広い知識が必要であることが明らかになった。また、支援機器コーディネーター育成における有望なターゲットや学習機会の提供方式や運用方式も示唆された。加えて、インタビュー調査から、コーディネーターに必要なスキルとして、「技術開発とイノベーション」「プロジェクト管理とリーダーシップ」「ユーザ中心の設計とニーズ分析」「コミュニケーションと協働」「マーケティングと事業戦略」「産学官連携と社会貢献」の6つのタイトルが抽出された。e-leaning システムにおいては、学習コンテンツと確認テストの機能を追加実装した。さらに、要求機能抽出を目的としたアンケート調査で得られた内容を反映することで、コーディネーター用e-learningコンテンツを付加するシステムのフレームワークの設計と開発を行うことができた。
結論
本研究では、ステージゲート法を支援機器開発に援用し、各ステージにおける検証項目の明確化を行うにあたり、開発段階ステージゲート案を作成した。また、それらを運用するための各ステージに適した支援を行うコーディネーターの人材育成プログラムに必要なコーディネーターに求められる知識やスキル、学習機会の提供方式が示唆された。さらに、支援ツールとしてコーディネーター用e-leaningシステムのコンテンツ設計開発を行った。今後さらに調査、分析、開発を進める予定である。

公開日・更新日

公開日
2024-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-06-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202317025Z