文献情報
文献番号
202317020A
報告書区分
総括
研究課題名
企業等で雇用されている間における就労継続支援等の適正な実施プロセスについての研究
課題番号
22GC1018
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
若林 功(常磐大学 人間科学部)
研究分担者(所属機関)
- 八重田 淳(筑波大学 人間系)
- 前原 和明(秋田大学大学院 教育学研究科)
- 山口 明乙香(山口 明日香)(高松大学 発達科学部子ども発達学科)
- 後藤 由紀子(筑波技術大学 産業技術学部)
- 富田 文子(埼玉県立大学 保健医療福祉学部)
- 永野 仁美(上智大学 法学部)
- 長谷川 珠子(福島大学 行政政策学類)
- 野崎 智仁(国際医療福祉大学 保健医療学部作業療法学科)
- 石崎 由希子(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院)
- 塩津 博康(長野大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,066,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
企業等で雇用されている間における就労系障害福祉サービスの利用(以下、一時利用)についてニーズがあることが、2021年12月「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて(中間整理)」や2021年6月「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会報告書」で指摘された。この一時利用については、自治体の判断等により実施されている事例が散見されるものの、その実態は十分には把握されていない。加えて、一時利用を活用するうえでは、就労アセスメントとの関係や、就労継続支援等から雇用につなげるための仕組みとの関係の検討が必要と考えられるが、これまで十分にこれらの観点から一時利用は検討されてきていない。そこで、本研究では①予備的検討(一時利用に関する法的問題点についての検討を含む)を行ったうえで、②市町村への量的調査、③障害福祉サービス事業所、企業への聴き取り調査を行う。そして、④就労系障害福祉サービスから雇用への移行、就職後のステップアップ、復職、福祉的就労への移行等における課題点や支援ノウハウ・雇用管理ノウハウの整理を行い、さらに⑤実施手引きとして取りまとめを行うことを目的とした。
研究方法
る令和5年度では、1年目で行った予備的検討、市町村への量的調査、障害福祉サービス事業所、企業への聴き取り調査を基に、
(1)市町村への量的調査のデータ分析
(2)障害福祉サービス事業所、企業、市町村、就労支援機関への聴き取りを行った。
そのうえで、①就労系障害福祉サービス事業所、②障害者を雇用する企業等、③支給決定を行う市町村、④ハローワーク等の就労支援機関の各々について当該取組の適切かつ標準的な実施プロセスとはどのようなものか検討を行い、さらに⑤一時利用に関する法的問題点についても取りまとめ、実施手引きを作成した。
(1)市町村への量的調査のデータ分析
(2)障害福祉サービス事業所、企業、市町村、就労支援機関への聴き取りを行った。
そのうえで、①就労系障害福祉サービス事業所、②障害者を雇用する企業等、③支給決定を行う市町村、④ハローワーク等の就労支援機関の各々について当該取組の適切かつ標準的な実施プロセスとはどのようなものか検討を行い、さらに⑤一時利用に関する法的問題点についても取りまとめ、実施手引きを作成した。
結果と考察
令和4年度に行った、市区町村に対する量的調査で得られたデータの分析を行った。調査を実施した結果、556件の回答を得た(回収率32%)。また、この3年弱の期間のうち支給決定件数全体は、就労移行支援28534件、就労継続支援A型34500件、就労継続支援B型127680件であったが、うち一時利用の支給決定件数は移行271件、A型10件、B型242件と、移行およびB型が多いこと等が把握された。また、一時的利用をすでに実施していたり、具体的な例はないものの必要性があると判断される場合は支給決定するという自治体が一定程度あることが示唆された。一方で、障害者総合支援法での定義・趣旨から一律に一時利用を認めないとする自治体も一定数認められ、手引き等による一時利用の進め方について示すことの必要性が示された。
質的調査では、①就労系障害福祉サービス事業所については、休職中の人への復職支援及び雇初めにおける労働時間の段階的支援について複数の事業所から聴き取りを行い、障害者への支援ノウハウや企業、市町村との調整の実際を把握することができた。②企業については、調査時点で一時利用を行っている企業ではなかったものの、障害のある従業員の段階的労働時間の延長や、復職支援に取り組んでいる複数の企業からの聴き取りを行い、就労移行支援事業所との調整方法や、従業員の体調を管理する手法の例について把握することができた。③支給決定を行う複数の市町村から聴き取りを行い、障害者の社会参加などの意義が認められる場合については、申請手続きにおいて書類等に不備がある場合は修正依頼などを経て、支給決定を認めていることが把握された。④就労支援機関からの聴き取りでは、一時利用について直接担当した事例はないものの、障害者の労働時間の延長や復職支援について就労系障害福祉サービス事業所あるいは企業等に支援を行う場合があり、その場合教示するというより提案するなどして関わっていることが把握された。
得られた情報を基に、手引きを作成した。手引きは、読者として、障害福祉サービス事業所、企業、市町村、就労支援機関を想定し、基本的に、段階的時間延長支援型(雇初め時に徐々に労働時間を延長していくことを目指す支援)と、復職支援型(休職時に障害福祉サービス事業所を活用し、復職を目指す支援)の2類型について、各支援プロセスにおける留意点を示したものとなった。また、一時利用支援を行う上で、労働法にも留意する必要があるため、法的側面の留意点を示した章も設けた。
質的調査では、①就労系障害福祉サービス事業所については、休職中の人への復職支援及び雇初めにおける労働時間の段階的支援について複数の事業所から聴き取りを行い、障害者への支援ノウハウや企業、市町村との調整の実際を把握することができた。②企業については、調査時点で一時利用を行っている企業ではなかったものの、障害のある従業員の段階的労働時間の延長や、復職支援に取り組んでいる複数の企業からの聴き取りを行い、就労移行支援事業所との調整方法や、従業員の体調を管理する手法の例について把握することができた。③支給決定を行う複数の市町村から聴き取りを行い、障害者の社会参加などの意義が認められる場合については、申請手続きにおいて書類等に不備がある場合は修正依頼などを経て、支給決定を認めていることが把握された。④就労支援機関からの聴き取りでは、一時利用について直接担当した事例はないものの、障害者の労働時間の延長や復職支援について就労系障害福祉サービス事業所あるいは企業等に支援を行う場合があり、その場合教示するというより提案するなどして関わっていることが把握された。
得られた情報を基に、手引きを作成した。手引きは、読者として、障害福祉サービス事業所、企業、市町村、就労支援機関を想定し、基本的に、段階的時間延長支援型(雇初め時に徐々に労働時間を延長していくことを目指す支援)と、復職支援型(休職時に障害福祉サービス事業所を活用し、復職を目指す支援)の2類型について、各支援プロセスにおける留意点を示したものとなった。また、一時利用支援を行う上で、労働法にも留意する必要があるため、法的側面の留意点を示した章も設けた。
結論
令和5年度は、量的調査で得られたデータの分析、質的調査の本格実施により、障害福祉サービス事業所、企業、市町村、就労支援機関における一時利用やそれに類似する支援の実態・実際を把握することができた。そして得られたノウハウを基に実施手引きとして取りまとめを行った。
今後、本研究で得られた情報・ノウハウについてさらに普及していくことが望まれる。
今後、本研究で得られた情報・ノウハウについてさらに普及していくことが望まれる。
公開日・更新日
公開日
2024-09-19
更新日
-