強度行動障害者支援のための指導的人材養成プログラムの開発および地域支援体制の構築のための研究

文献情報

文献番号
202317017A
報告書区分
総括
研究課題名
強度行動障害者支援のための指導的人材養成プログラムの開発および地域支援体制の構築のための研究
課題番号
22GC1015
研究年度
令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関)
日詰 正文(独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園 総務企画局研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 安達 潤(北海道教育大学旭川校教育学部障害児臨床教室)
  • 井上 雅彦(鳥取大学 大学院医学系研究科)
  • 會田 千重(国立病院機構 肥前精神医療センター 統括診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
9,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、強度行動障害者支援のための広域的支援人材(=指導的人材)の確保・養成および地域支援体制構築のためのモデルを整理し、モデルの試行・検証を行い社会実装に向けたプロセスを明らかにすることを目的とした。
3年計画の2年目である令和5(2023)年度は、中核的人材養成研修の実施、広域的支援人材養成内容の整理、教育分野を含めた地域支援体制の状況の把握を通し、人材養成・地域支援体制モデルの改善を目的とした。
研究方法
令和5(2023)年度は大きく以下4つの調査を行った。
①広域的支援人材の養成を見据えた中核的人材養成研修の試行
研修効果を把握するため、受講者40名を対象に複数尺度を用いて研修前後の変化の比較を行った。また、研修の改善点を把握するためアンケート調査を行った。
②広域的支援人材の養成に関する調査
令和5(2023)年度中核的人材養成研修のディレクターおよびトレーナー等17名を対象に、コンサルテーションの概要、広域的支援人材の養成方法等についてヒアリング調査を行った。
③地域支援体制の課題に関する調査
令和5(2023)年度中核的人材養成研修のサブ・トレーナー面接記録等より強度行動障害の状態にある人を地域で支援する上での課題等を抽出し、分析した。
④強度行動障害支援者養成研修の教育分野における活用に関する調査
令和5(2023)年度に国立のぞみの園が実施した強度行動障害支援者養成研修を受講した教師8名を対象に、研修の効果、研修内容の活用状況等についてヒアリング調査を行った。
結果と考察
①中核的人材養成研修の試行により、受講者がチームで検討・支援しやすくなったと感じていることや事例対象者の課題となる行動の改善等の効果がみられた。アンケート調査より、課題点について「研修時間が足りない」「課題量が多い」「全体像が見えにくい」等の回答があった。本研修の改善点として、「研修の全体像や実施内容をわかりやすく可視化すること」「アセスメント・支援方針検討・支援立案を1回ごとのテーマとし、PDCAサイクルのペースを落とすこと」「講義はオンデマンドとし、研修当日のグループ討議時間を確保すること」などが必要と考えられる。
また、広域的支援人材の養成について、中核的人材養成研修は事業所での支援を支える視点を学ぶ内容となっており、地域づくりの視点については研修内容に含めていないため、別途学ぶ機会が必要であると考えられる。
②中核的人材と広域的支援人材の役割を、「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会報告書」と本研究の結果から、4象限マトリクス(事業所マネジメント・チームマネジメント・地域マネジメント・支援マネジメント)で整理した。地域のチーム・支援マネジメントについて、教わる機会が少ないことから、広域的支援人材養成研修の中で取り扱う必要があると考えられる。
③令和5(2023)年度の中核的人材研修のサブ・トレーナーは、特に強度行動障害支援の支援技術の定着や資源の確保に苦慮していることがわかった。広域的支援人材養成研修(中核的人材養成研修受講者の事業所へのコンサルテーションへの同行を含む)等の実施により確保が進むと考える。
④教育分野においても強度行動障害支援者養成研修の効果(受講した教師の支援の見立ての変化、強度行動障害や障害福祉分野に関する理解促進等)はみられた。しかし、効果的な活用、普及・定着には課題があることがわかった。強度行動障害支援者養成研修の活用・普及・定着には、学校組織として取り組む体制づくりや管理職や自治体(教育委員会)の理解促進も必要であると考えられる。
結論
本研究により、①中核的人材養成研修の試行と普及に向けた改善点の把握、②広域的支援人材の養成の視点の整理、③強度行動障害者支援に関する地域支援体制整備および多分野との連携促進の視点の整理、④教育分野における強行研修の活用可能性の検討等を行うことができた。
令和5(2023)年の中核的人材養成研修は限られた地域でのモデル実施であったため、普及に向け、内容の改善を行い、全国規模での実施が必要である。
広域的支援人材養成について、中核的人材養成研修で事業所への支援・助言技術等を学ぶ機会を継続しつつ、広域的支援人材研修の中で地域づくりの視点を取り扱う必要があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2024-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202317017Z